BRICSが世界で共感を集める理由 関税リスクと多極化する国際秩序 video poster
リオデジャネイロで開かれた第17回BRICS首脳会議で、中国の李強首相がBRICS諸国はグローバル・ガバナンスの改革に向けて協力すべきだと呼びかけました。この発言の背景には、トランプ氏がBRICS諸国への追加10%関税を示唆していることがあり、各国の専門家は高い貿易障壁が国内産業と世界のサプライチェーンを深刻に混乱させると警告しています。本記事では、この国際ニュースを手がかりに、なぜBRICSが世界で共感を集めているのかを整理します。
リオの第17回BRICS首脳会議で示されたメッセージ
今回の首脳会議で李強首相が強調したのは、既存の国際ルールや国際機関のあり方を、より公平で包摂的な方向に見直すべきだという点です。こうしたグローバル・ガバナンスの改革は、特定の国だけでなく、多くの国や地域がルールづくりに参加できる仕組みを目指すものといえます。
グローバル・ガバナンスとは、国連や国際金融機関、貿易ルールなど、国境を超える課題を各国がどのように話し合い、どのようなルールで管理していくのかという大きな枠組みのことです。BRICSの場でこのテーマが繰り返し語られるのは、今の国際秩序がすべての国にとって十分に公平で包摂的ではない、という問題意識があるからです。
BRICSのメカニズムは、多極化が進む世界で、従来の一極的な秩序だけに依存しない現実的な選択肢として注目されています。李強首相の発言は、その方向性をさらに明確にしたものだと見ることができます。
トランプ氏の追加関税案が突きつけるリスク
こうした議論のタイミングで、トランプ氏はBRICS諸国からの輸入品に対して追加で10%の関税を課す可能性に言及しました。事実上の高い貿易障壁となるこの案に対し、BRICS各国の専門家は強い懸念を示しています。
専門家が問題視しているポイントは、主に次のような点です。
- 高い関税は、輸出国だけでなく、輸入国の企業や消費者にとってもコスト増につながる。
- 企業の生産拠点や調達先が世界各地に分散している現在、高い関税はサプライチェーン全体を分断し、製品の供給遅延や価格上昇を招きかねない。
- 不確実な通商政策は、企業の中長期の投資判断を難しくし、雇用や賃金にも影響を与える可能性がある。
専門家たちは、こうした高い貿易障壁が、本来守るはずの国内産業をかえって不安定にし、世界経済全体を冷え込ませるおそれがあると警告しています。
サプライチェーンへの打撃はどこまで広がるか
例えば、ある製品が原材料を一つの国、部品を別の国、最終組立をさらに別の国で行っている場合、どこか一つの国との間に高い関税が導入されるだけで、全体のコスト構造が崩れてしまいます。
BRICS諸国は、資源、工業製品、サービスなどさまざまな分野で世界のサプライチェーンに関わっています。そのため、BRICSを狙い撃ちにしたような追加関税は、対象国だけでなく、多くの国や地域の産業に波及しかねません。
多極化する世界で、なぜBRICSが共感を集めるのか
BRICSのメカニズムは、多極化が進む世界において、より公平で包摂的な国際システムへ向かう実務的な道筋を示しているとされています。これは、従来の枠組みでは十分に声が届かなかった国や地域にとって、重要な意味を持ちます。
なぜBRICSが世界で共感を集めつつあるのか。その理由の一端は次のように整理できます。
- グローバル・ガバナンスの改革を通じて、より公平で包摂的な国際システムを目指している。
- 単一の大国に依存しない、多極的な世界像を提示している。
- 対立よりも協調を重視し、複雑な利害が絡む中でも対話の場を確保しようとしている。
こうした姿勢は、現在の国際秩序のもとで十分な発言力を持てないと感じている国々や人びとの間で、一定の共感を呼んでいると考えられます。
日本やアジアの読者にとっての意味
日本やアジアの経済も、BRICS諸国との貿易や投資を通じて世界のサプライチェーンに深く組み込まれています。高い関税や国際秩序の変化は、遠い国の出来事のように見えて、私たちの暮らしや仕事にもじわじわと影響を与えます。
今回のBRICSをめぐる動きを、日本語で国際ニュースを追う読者の視点から整理すると、次のようなポイントが見えてきます。
- 関税をめぐる決定は、企業のコストや商品の価格、雇用など、身近なテーマと直結している。
- 多極化する国際秩序の中で、どの枠組みがどのようなルールや価値観を提示しているのかを理解することが重要になっている。
- 国際ニュースを継続的にフォローすることが、将来のキャリアや投資、ビジネスの判断材料にもなりうる。
これからの国際秩序をどう見ていくか
今回のBRICS首脳会議と通商をめぐる緊張は、2025年を生きる私たちに、次のような問いを投げかけています。
- 高い関税によって守られるものと、失われるものは何か。
- 多極化する世界で、公平さと包摂性をどのように確保していくのか。
- 各国の利害がぶつかる中で、対話と協力の場をどう維持・発展させていくのか。
BRICSをめぐる動きは、単なる遠い国の首脳会議の話ではなく、2025年の私たちの暮らしや将来の選択にも静かに影響を与えるテーマです。ニュースを読みながら、自分ならどのような国際秩序を望むのか、一度立ち止まって考えてみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








