孔子と出会った日本人シノロジスト:現代若者に儒学をつなぐ挑戦 video poster
デジタル化が進み、情報が秒単位で流れていく2025年のいま、古典の言葉に耳を傾け直そうとする若い日本人研究者がいます。高校で学んだ中国の古典詩から、中国語コンテストChinese Bridgeでの経験を経て、儒教の思想と出会った日本人シノロジスト、Ohori Rio(オオホリ・リオ)さんです。孔子の掲げた「すべての人のための教育」という考え方と、The Analectsとして知られる論語に見られる繊細な人間理解に魅了された彼女は、中国語と中国文化の国際的なアンバサダーとして、同世代の日本の若者に儒教の知恵を伝えたいと考えています。
高校の漢詩から始まった出発点
Rioさんの歩みは、高校で触れた中国の古典詩から始まりました。授業で漢詩を読み下す中で、言葉のリズムや表現の豊かさに惹かれ、中国語そのものへの関心が深まっていったといいます。紙の上の文字として出会った中国語が、やがて生きた言葉として、自分の進路を形づくる存在になっていきました。
Chinese Bridgeで出会った孔子の思想
次の大きな転機となったのが、中国語を学ぶ若者が言語と文化を発表する場であるChinese Bridgeです。スピーチやパフォーマンスの準備を通じて、Rioさんは初めて本格的に孔子の言葉や儒教の基本的な考え方に触れました。単なる語学大会を超えて、中国語の背後にある価値観や歴史に出会うきっかけになったのです。
すべての人のための教育に心を動かされて
なかでもRioさんの心を強く動かしたのが、身分や出自に関わらず学びの門戸を開こうとした孔子の教育観でした。誰もが学ぶ権利を持ち、学びを通じて自分を高めていけるという視点は、現代の多様性やインクルージョンの議論とも響き合います。学びを特別な人だけのものではなく、すべての人に開かれたものとして捉える姿勢に、彼女は大きな希望を見いだしました。
論語に息づく人間らしさ
Rioさんが魅力を感じたのは、論語に描かれる人間らしさでもあります。完璧さを求めるのではなく、迷いながらもより良く生きようとする人の姿が、弟子との対話を通じて立ち上がってきます。そこには、他者への思いやりや礼儀だけでなく、自分の内面と向き合い続ける姿勢が示されています。スピードと成果を重視しがちな時代にあって、一度立ち止まり、自分の心の声に耳を澄ませることの大切さを教えてくれるテキストとして、論語はRioさんにとって大切な道しるべになっています。
中国語と儒学の国際アンバサダーをめざす
こうした出会いを通じて、Rioさんは中国語と中国文化の国際アンバサダーになりたいという新たな目標を抱くようになりました。単に言語を教えるだけでなく、孔子の思想や論語に込められた知恵を、日本の若い世代と分かち合いたいと考えています。スピードと不確実性に満ちた時代だからこそ、自己を振り返り、心の調和を取り戻し、長期的な成長を見つめるための手がかりとして、儒教の思想を提示したいという思いがあります。
スピードの時代に立ち止まるためのヒント
Rioさんの歩みは、古典の知恵が決して過去の遺物ではなく、現代の私たちの生き方を見つめ直す道具になりうることを教えてくれます。忙しさに追われがちな日常の中で、古いテキストを開き、自分自身に問いかける時間を持つことは、むしろ新しい行動と言えるかもしれません。
私たちが今、儒教から学べること
では、私たちは儒教の思想からどのようなヒントを受け取ることができるのでしょうか。Rioさんの歩みを手がかりに、現代の生活に生かしやすいポイントを三つに整理してみます。
- 短い時間でも、日々の終わりに自分の行動や感情を振り返り、どんな学びがあったかを考える。
- 結果や評価だけでなく、学び続けるプロセスそのものを大切にする。
- 他者との関係を、損得だけでなく、信頼と敬意にもとづいて築こうと意識する。
中国と日本のあいだを行き来しながら、言葉と古典を通じて新しい対話の場をつくろうとしているRioさん。彼女のような存在が、アジアの隣人どうしが互いの文化を深く理解し合うための静かな橋になっていくのかもしれません。この記事を読み終えたあと、あなたも久しぶりに古典の一節を開いてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Meeting Confucius: A Japanese sinologist's cross-cultural mission
cgtn.com








