AI孔子が教える中国式ビジネス倫理 利益は「義」の上に成り立つ video poster
AIが古代中国の思想家・孔子の姿を借りて、現代ビジネスのあり方を語る――。中国の国際メディアCGTNの番組に登場したAI生成の「孔子」が、利益と原則のバランスについて語り、注目を集めています。また、山東省東部の曲阜市では2025年7月9〜10日にニ山フォーラムが開かれ、世界各地から思想家やリーダーが集まりました。AIと古典、そして国際フォーラムという二つの動きから、中国式ビジネスの倫理観をのぞきます。
CGTN番組で「AI孔子」が語ったビジネスの道義
番組では、CGTNの司会者がAI生成の孔子に対し、現代の商取引における「利益」と「原則」のバランスについて問いかけました。これに対し孔子は、利益そのものを否定せず、しかし「利益は正しく、道義にかなった形で追求されるべきだ」と強調しました。
このメッセージは、儒教の伝統的な価値観とも響き合います。儒教では、個人や組織が利益を求めること自体は認めつつも、それが他者や社会への配慮、公正さ、誠実さと両立しているかどうかが重視されます。単に「どれだけ儲かるか」ではなく、「どのように儲けるのか」が問われているのです。
なぜ今、「利益は正しく追求すべき」なのか
急速なデジタル化とグローバル化が進むなか、企業はこれまで以上に短期的な利益を追いやすい環境にあります。その一方で、不正会計や情報漏えい、環境問題など、利益優先の行動が社会の批判を浴びるケースも世界各地で相次いでいます。
こうした背景のなかで、「利益は正しく追求されるべきだ」というAI孔子の言葉は、次のような問いを投げかけているように見えます。
- 短期的な利益の最大化だけを追っていないか
- 取引先や顧客、従業員との信頼関係を損なっていないか
- 法令順守や透明性、説明責任を十分に果たしているか
- AIやデータを活用する際、人権やプライバシーへの配慮を忘れていないか
AIという最新技術を通じて、あえて古典の言葉を問い直す構図は、ビジネスに携わる人々に「原点回帰」を促しているとも言えます。
曲阜のニ山フォーラム:世界の「考える人」が集う場
AI孔子をめぐる議論と並行して、山東省東部の曲阜市でも、思想や価値観をめぐる国際的な対話が進んでいます。2025年7月9〜10日に同市で開かれたニ山フォーラムには、世界各地から思想家や各界のリーダーが集まりました。
参加者たちは、社会や文化、経済など幅広いテーマについて意見を交わし、互いの視点を持ち寄りました。このような場は、中国発のアイデアや価値観が世界と共有される窓口であると同時に、世界の多様な経験や問題意識が中国に伝わる回路にもなっています。
AIを使ったCGTNの試みと、曲阜でのニ山フォーラムのような対話の場は、いずれも「どのような未来をめざすのか」という問いを、ビジネスや社会に投げかけている点で共通しています。
日本のビジネスパーソンへの示唆
日本から中国やアジアのビジネスに関わる人にとって、AI孔子のメッセージは決して他人事ではありません。日本社会でも、コンプライアンスや持続可能性、ステークホルダー(利害関係者)との信頼関係が重視される傾向は強まっています。
中国の企業やパートナーと仕事を進める際にも、次のような視点が有効かもしれません。
- 「いくら儲かるか」だけでなく、「どのような方法で儲けるか」を共有する
- 契約条件だけでなく、互いの価値観や優先順位を事前に話し合う
- 短期の成果だけではなく、長期的な信頼関係を重視する
- AIやデジタル技術の活用において、倫理や社会的影響にも目を向ける
利益と道義のバランスをどう取るかという問いは、国や文化を超えて共通するテーマです。そこに古典の言葉を重ねることで、ビジネスの議論に一段深みが加わる可能性があります。
AI時代に古典から学ぶという選択
AI生成の孔子という試みは、エンターテインメントとしても目を引きますが、それ以上に「AI時代に人間らしさとは何か」を考えるきっかけになり得ます。アルゴリズムによって生成されたキャラクターが、数千年前の思想を現代の文脈に当てはめて語る――このギャップこそが、私たちに新しい問いを突きつけています。
どの社会も、効率や競争だけでは立ち行きません。利益を追いつつも、人として、社会として守るべき一線をどこに引くのか。AI孔子の一言は、その線引きを改めて考えるためのヒントとして受け止めることができそうです。
もしあなたがAI孔子に質問できるとしたら、ビジネスや働き方について、どんな問いを投げかけるでしょうか。その問いこそが、これからの時代を生きる私たち自身の価値観を映し出しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








