中国青島で初の海上浮体式太陽光発電 完全海水環境で稼働開始 video poster
中国の沿海都市・青島で、完全な海水環境で稼働する中国初の浮体式太陽光発電プロジェクトが運転を開始しました。約6万平方メートルの海面を活用し、海の上からグリーン電力を生み出す新しい取り組みとして注目されています。
中国初の「完全海水」浮体式太陽光発電とは
今回稼働したのは、海の上に太陽光パネルを浮かべて発電する「浮体式(フローティング)太陽光発電」のプロジェクトです。設置場所は中国・青島沖の海域で、特徴は完全に海水環境の上で運転される点にあります。
プロジェクトの概要は次の通りです。
- 設置場所:中国・青島の沖合
- 発電方式:完全な海水環境で稼働する浮体式太陽光発電
- 設置面積:約6万平方メートルの海面
- 設備容量:7.5メガワット(MW)
- 年間発電量:約1,670万キロワット時(16.7 million kWh)のグリーン電力
年間1,670万キロワット時という規模は、産業用・業務用を含め、さまざまな用途に使えるまとまった量の電力です。海上という新しい場所から、再生可能エネルギーを安定して供給していく試みだといえます。
海に浮かべるメリット:冷却効果で発電効率アップ
このプロジェクトの重要なポイントは、単に「海に浮かべた」というだけでなく、発電効率を高める設計が採用されていることです。
太陽光パネルは高温になると発電効率が下がる性質があります。そこで今回のプロジェクトでは、可動式の浮体構造(フローティング構造)を使い、パネルを海面に近い位置に保つよう工夫されています。これにより、海水による冷却効果を得やすくし、パネル温度の上昇を抑えています。
この設計によって、発電効率はおよそ5〜8%向上するとされており、同じ容量の設備でもより多くの電力を生み出せることになります。限られた設備容量でどれだけ多く発電できるかが重要になる中で、この効率向上は小さくない意味を持ちます。
なぜ海上の浮体式太陽光が注目されるのか
今回の中国・青島の事例は、次のような点で国際ニュースとしても注目されています。
- 土地制約の回避:陸上の用地不足を補い、海面という新たなスペースを活用できる
- 冷却による効率向上:水面に近い設計と海水の冷却効果で、5〜8%の発電効率アップが見込まれる
- グリーン電力の安定供給:年間約1,670万キロワット時の再生可能エネルギーを継続的に生み出せる
世界的にエネルギー転換や脱炭素が課題となる中で、「どこに、どのように発電設備を置くか」は大きなテーマになっています。陸上だけでなく、海上にまで発電インフラを広げていく今回のプロジェクトは、その問いに対する一つの具体的な答えと言えます。
技術と環境の両立はどう図られるか
完全な海水環境での運転には、技術的にも環境的にもさまざまな論点があります。例えば、次のようなポイントが今後の議論の焦点になりそうです。
- 塩分や腐食への対策:海水による設備の劣化をどう抑えるか
- 波や風への耐性:高波や強風といった海上ならではの条件にどう備えるか
- 海洋環境への配慮:設置や運転が海洋生態系に与える影響をどう最小化するか
今回のプロジェクトは、こうした課題に向き合いながらも、実際に商業運転をスタートさせたという点で一歩先を行く事例です。今後、運転実績が蓄積されることで、技術面や環境面での知見が共有され、他地域のプロジェクトにも生かされていく可能性があります。
日本やアジアにとっての示唆
海に囲まれた国や地域にとって、海上の浮体式太陽光発電は、将来の選択肢の一つとして意識しておきたいテーマです。
今回の中国・青島の事例は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 再生可能エネルギーをどこまで海や水面に広げていくのか
- 技術革新によって、これまで難しいとされてきた環境でも発電は可能になるのか
- エネルギー政策や地域開発とどう結びつけていくのか
通勤時間のニュースチェックや、友人とのオンラインでの会話の中で、「海の上の太陽光」という新しいキーワードが出てきてもおかしくありません。中国青島で始まったこの試みは、今後のエネルギーとテクノロジーの議論に、静かに、しかし確実に影響を与えていきそうです。
Reference(s):
China launches first offshore floating PV project in Qingdao
cgtn.com








