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関税ショックに揺れる自動車部品 中国安徽の工場はどう生き残るか
世界で関税引き上げの動きが広がる中、中国・安徽省の自動車部品メーカーがどのように事業を守り、成長の道を探っているのかに注目が集まっています。2025年のいま、この国際ニュースは日本企業や日本の読者にとっても他人事ではありません。
高まる関税圧力と不透明な世界貿易
近年、自動車や電気自動車関連製品に対する関税をめぐり、各国の政策が揺れ動いています。貿易の不透明感が増す中で、輸出に依存する自動車部品産業は、コスト増や受注減のリスクにさらされています。
とくに、中国の自動車産業は世界市場との結びつきが強く、関税の変化がそのまま現地の工場や雇用に影響しやすい構造です。安徽省の自動車部品産業も、こうした国際環境の変化の直撃を受けています。
安徽省はなぜ重要なのか
安徽省は、完成車メーカーと多数の部品サプライヤーが集積する中国内陸部の重要な製造拠点です。国内向けの供給だけでなく、海外ブランド向けの部品輸出も行うハブとしての役割を担っています。
国際経済を伝える番組BizFocusの取材で、記者の徐毅(Xu Yi)さんは、この安徽省の工場群を訪ね、現場の経営者たちがどのように関税ショックを乗り越えようとしているのかを取材しました。
戦略1 高付加価値・電動化部品へのシフト
安徽の企業がまず取り組んでいるのは、価格競争に陥りやすい汎用部品から、高付加価値の電動化部品や先進安全技術向け部品へのシフトです。
- 電気自動車向けのモーター部品やバッテリー関連部品
- 自動運転や運転支援システムに使われる精密センサー部品
- 軽量化素材を活用した高性能シャシー部品
これらは技術力や品質が重視されるため、単純な低価格競争だけでは決まりません。関税によるコスト増をある程度吸収できるだけの付加価値を、製品そのものに持たせる戦略だといえます。
戦略2 デジタル化と自動化でコストを吸収
もう一つの柱が、工場のデジタル化と自動化です。安徽省の工場では、生産ラインにセンサーやロボットを導入し、稼働状況や不良率をリアルタイムで把握する取り組みが進んでいます。
データに基づいて生産計画を組み直すことで、在庫を減らし、材料費やエネルギーコストを抑えることができます。これは、関税によるコスト増を相殺するための内側からの改革とも言えます。
人手不足や人件費の上昇に備えて、省人化を進める動きも見られます。ただし、単に人を減らすのではなく、技能が必要な工程に人材を集中させることで、品質を維持しながら効率を高める方向が模索されています。
戦略3 市場の多角化でリスク分散
関税ショックが教えた最大の教訓は、特定の国や地域に輸出を集中させるリスクの大きさです。安徽の自動車部品企業の中には、輸出先をアジアや中東、アフリカなどに広げる動きを強めるところも出てきています。
同時に、中国国内市場の需要をより重視し、内需と輸出のバランスを取ることで、国際情勢の変化による影響を和らげようとする企業も少なくありません。
現場の経営者たちが感じる危機感と手応え
徐毅さんの取材に応じた安徽の経営者たちは、関税の引き上げや貿易摩擦を、厳しい一方で「変化を迫るきっかけ」として受け止めているといいます。
短期的には受注の変動や採算悪化に直面しつつも、技術開発への投資、人材育成、品質管理の高度化など、企業体質を強くするための取り組みを加速させています。単なるコストカットにとどまらず、長期的な競争力の強化に目を向けている点が特徴的です。
日本の読者への示唆 関税の時代に何を学ぶか
関税ショックに揺れる安徽省の自動車部品産業の動きは、日本にとっても重要な示唆を与えます。
- 特定市場や特定企業への依存度をどう下げるか
- サプライチェーン全体でリスクをどう分散するか
- デジタル化や自動化を、単なるコスト削減ではなく価値創造につなげられるか
2025年のいま、国境を越えるモノづくりは、以前にも増して政治や貿易政策の影響を受けやすくなっています。その中で、安徽の工場が示すような「技術と戦略で生き残りを図る姿勢」は、日本企業にとっても参考になる点が多いといえるでしょう。
関税という一見ネガティブなニュースの裏側で、どのようなイノベーションと適応が生まれているのか。そうした視点から国際ニュースを読み解くことが、これからの時代の情報リテラシーの一部になりつつあります。
Reference(s):
cgtn.com








