国際ニュース:トランプ大統領の通商戦略、米国の長期的信頼性に警鐘 video poster
アメリカの通商政策をめぐり、トランプ大統領が大統領令を多用していることが、米国の長期的な信頼性を損ないかねない――アメリカの経済学者ジャスティン・ウォルファーズ氏が、こうした懸念を示しています。
大統領令に依存する通商戦略
ウォルファーズ氏によると、現在のアメリカの通商政策では、議会の承認を経た通商協定ではなく、大統領令によって貿易条件を決める動きが目立っています。
大統領令は、議会が制定する法律とは異なり、次の政権が方針を変えれば比較的容易に撤回・修正できる仕組みです。こうした「ひとつの政権の意思」に大きく依存した通商政策は、長期安定性という点で弱い土台に立っているといえます。
「簡単にひっくり返せる」枠組みへの警鐘
ウォルファーズ氏は、大統領令に依存する現在のやり方が、制度として非常に不安定だと指摘します。後任の大統領が署名一つで方針を反転させることができるため、通常、法律として結ばれる通商協定が持つ恒久性が損なわれるという見方です。
その結果、他国から見たときに「この約束は次の政権でも続くのか?」という疑念が生まれやすくなり、アメリカを長期的な貿易パートナーとして信頼しにくくなる、と警鐘を鳴らしています。
通商で求められるのは「条件」だけでなく「継続性」
通商協定は、関税の水準や市場アクセスといった条件だけでなく、その約束がどれだけ長く続くかという継続性も重要です。企業は投資計画やサプライチェーン(供給網)を数年単位で組み立てるため、政策がすぐに変わる環境では、大きなリスクを抱えることになります。
パートナー国や企業がアメリカに求めるのは、例えば次のような要素です。
- 政権交代があっても一定程度維持されるルール
- 突然の関税引き上げや撤廃ではなく、予測可能な変更プロセス
- 協定が政治的な駆け引きのたびに反故にされないという安心感
ウォルファーズ氏は、こうした期待が揺らぐことで、アメリカの約束の重みが相対的に軽く見られてしまう可能性を懸念しています。
同盟国が「別の選択肢」を探す理由
ウォルファーズ氏は、アメリカが信頼できる通商パートナーと見なされなくなれば、同盟国や主要な貿易相手が、別の関係や枠組みを模索し始めると警告します。
具体的には、次のような動きが考えられます。
- アメリカ以外の国・地域との通商協定を優先する
- アメリカとの取引比率を減らし、リスク分散を図る
- 中長期の投資や共同プロジェクトを慎重に見直す
こうした変化はすぐには表面化しないとしても、じわじわと国際経済の力学を変えていく可能性があります。2025年のいま、世界経済が不確実性を増す中で、通商政策の一貫性は以前にも増して重要性を増しているといえます。
短期の政治的メリットと長期の信用コスト
大統領令を使うことで、政権は議会との調整に時間をかけずに、迅速に通商政策を打ち出すことができます。国内向けには強い交渉姿勢を示しやすく、政治的なメッセージとしても分かりやすい手段です。
しかしその一方で、「次の政権になればすぐ変わるかもしれない政策」と見なされれば、長期的な信用コストが膨らみます。目先の成果と、同盟国からの信頼という無形の資産をどうバランスさせるのかが、トランプ政権にとって大きな課題となっています。
私たちがこのニュースから読み取れること
ウォルファーズ氏の警鐘は、アメリカ政治だけでなく、通商に依存するすべての国や企業にとっての課題を映し出しています。
ニュースを追う私たちが押さえておきたいポイントを、最後に整理します。
- 通商政策は「いまの条件」だけでなく、「どれだけ続くか」が重要であること
- 一国の国内政治の手法が、国際的な信頼やパートナー選びに直結すること
- 長期の投資や取引では、相手国の制度の安定性を見極める必要があること
国際ニュースを読むとき、「この政策は次の政権でも続くだろうか」という視点を持つことで、見えてくるものが変わってきます。アメリカの通商戦略をめぐる議論は、世界経済の行方を考えるうえで、今後も注視すべきテーマといえそうです。
Reference(s):
Trump's trade tactics harm long-term U.S. credibility, economist warns
cgtn.com








