日本語で読む国際ニュース:日米貿易協定は「全く良い取引でない」 video poster
日米貿易協定について、静岡県立大学の教授が「全く良い取引でない」と強く批判しました。国際ニュースとして注目される日米関係の中で、この発言は「関税さえ動かせば貿易不均衡は解消する」という単純な見方に疑問を投げかけています。
日米貿易協定は「全く良い取引でない」──日本の専門家の見方
日米貿易協定をめぐり、静岡県立大学大学院マネジメント研究科のセイジロウ・タケシタ教授は、この協定を「全く良い取引でない」と厳しく批判しています。
教授は、この日米貿易協定が「文脈も理由も欠いた、筋の通らない一手」だと指摘し、政策としての位置づけや、長期的な戦略が見えない点を問題視しています。単に数字合わせのために合意したように見える協定は、日本にとっても米国にとってもプラスにならないという見立てです。
「関税が悪者」というストーリーへの疑問
国際ニュースでは、貿易不均衡の原因としてしばしば「関税」が取り上げられます。米国の貿易赤字をめぐる議論でも、関税引き上げや引き下げが大きく報じられてきました。
しかしタケシタ教授は、「関税が貿易不均衡の主因だ」という見方を退けています。教授によれば、日本の自動車市場では、米国車の関税はすでにゼロであり、それにもかかわらず米国車は売れていないからです。
この指摘は、「関税さえ下げれば(あるいは上げれば)貿易不均衡は解消する」というストーリーが、現実を十分に説明できていないことを示しています。
米国車が売れない理由は「関税」ではなく「魅力不足」
教授は、日米貿易協定に対する批判の中で、日本の消費者が米国車を選ばない理由として「関税」ではなく「魅力の欠如」を挙げています。つまり、日本の消費者は米国車を「欲しい」と感じていないという見方です。
自動車の購入は、多くの人にとって高額な意思決定です。購入の判断材料は、次のように多面的です。
- デザインやブランドイメージ
- 燃費や維持費
- 日本の道路事情や駐車環境との相性(車体サイズなど)
- 販売店ネットワークやアフターサービスの安心感
関税がゼロの米国車が十分に売れていない現状は、これらの要素で日本市場のニーズに十分応えられていない可能性を示唆します。タケシタ教授の発言は、「売れない理由を関税のせいにするよりも、商品そのものの競争力や戦略を見直すべきだ」というメッセージとも読めます。
貿易不均衡は「関税」だけでは語れない
日米貿易協定をめぐる議論は、しばしば「どちらの国がどれだけ関税を譲歩したか」に焦点が当たりがちです。しかし、教授の指摘は、貿易不均衡がもっと構造的で、深い問題であることを示しています。
貿易のバランスには、例えば次のような要因が影響します。
- 各国企業の製品力やブランド力
- 消費者の嗜好や生活スタイルの違い
- 流通・販売網、サービス体制の差
- 為替やマクロ経済の動き
関税だけに注目して「これで貿易不均衡を是正した」と考えるのは、こうした要因を見落とす危険があります。タケシタ教授の批判は、日米双方の通商政策が、問題をあまりに単純化していないかを問い直すものと言えます。
日本の消費者の選択から見えるもの
今回の議論の中心には、「日本の消費者は何を求めているのか」という視点があります。教授が強調するのは、日本の消費者が米国車を選ばないのは「関税のせいではなく、消費者の評価の結果だ」という点です。
この視点から見えてくるポイントは次の通りです。
- 市場は最終的に消費者の選択で形づくられる
- 政府間の合意だけでは、商品の魅力そのものは変わらない
- 企業側の工夫(商品・価格・サービス・情報発信など)が問われている
貿易協定はあくまで「ルール」を決める枠組みにすぎません。その枠組みの中で、実際に選ばれるかどうかを決めるのは、日々の生活の中で判断する消費者一人ひとりです。
2025年の視点から考える日米貿易協定
2025年12月の今も、通商政策やサプライチェーンの見直しは、日本経済と日米関係の重要なテーマです。そうした中で、タケシタ教授の「全く良い取引でない」という評価は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 日米貿易協定は、本当に両国の消費者と産業にメリットをもたらしているのか
- 関税調整に偏った議論になっていないか
- 日本市場で選ばれない製品の課題を、制度ではなく商品側から見直しているか
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、この発言は「どちらの国が得をしたか」という勝ち負けの視点だけでなく、「本当に中身のある取引とは何か」を考えるきっかけになります。
「読みやすいのに考えさせられる」日米貿易の論点
まとめると、今回の専門家の批判が浮き彫りにしたのは、次の3点です。
- 日米貿易協定は、説明不足のまま進められた「良くない取引」と見なされていること
- 貿易不均衡の原因を関税だけに求める見方に限界があること
- 日本の消費者が米国車を選ばないのは、関税ではなく商品としての魅力の問題だという指摘
日米関係や国際ニュースを追ううえで、「関税」という分かりやすいキーワードの背後に、どんな消費行動や市場の現実があるのか。こうした視点を持つことで、ニュースの読み方は少し変わってきます。
日々の通勤時間やスキマ時間に、こうした論点を頭の片隅に置きながらニュースを読むことで、日米貿易協定のニュースも、より立体的に見えてくるのではないでしょうか。
Reference(s):
U.S.-Japan trade deal 'not a good deal at all,' says Japanese expert
cgtn.com








