米国の新関税は「相互主義」か脅しなのか 東京の研究者が読むリスク video poster
トランプ米大統領が木曜日に発動した新たな関税は、本当に「相互主義」と言えるのでしょうか。CGTNの対談に登場した東京の研究者は、「これは相互主義ではなく混乱だ」と厳しく指摘しました。
木曜日に発動した「新関税」の中身
国際ニュースとして注目されているのが、トランプ米大統領が発動した新しい関税措置です。関税率は10〜41%と幅があり、複数の品目について、数多くの貿易相手国からの輸入に上乗せされました。
ホワイトハウスは、これを米国と相手国の税率をそろえる「相互主義関税(reciprocal tariffs)」と位置づけています。米国が他国に課されているものと同水準の関税を課すことで、公平さを取り戻すという説明です。
東京の研究者が感じる違和感
こうした米国の動きについて、東京のNational Graduate Institute for Policy Studiesの教授であるYuqing Xing氏は、CGTNの番組で疑問を投げかけました。インタビューを行ったのは、同局の司会者であるTian Wei氏です。
Xing氏は、いわゆる「相互主義関税」には経済学的な論理が欠けていると指摘しました。貿易は多くの国と企業が関わるネットワークであり、二国間の税率だけを切り取って調整しても、全体としてのバランスは説明できないという視点です。
さらにXing氏は、「米国は自らの力を使って他国に圧力をかけながら、相手には報復するなと求めている。これは相互主義ではなく、混乱だ」とコメントしました。
「相互主義」が成り立たない3つの理由
Xing氏の批判を手がかりに、今回の関税ロジックをもう少し整理してみます。
- 力の非対称性が大きい:米国は世界最大級の市場を背景に強い交渉力を持ちます。その立場から一方的に関税を引き上げ、相手には譲歩だけを求める構図は、「対等な交換」とは言いにくい面があります。
- 多角的な貿易構造を無視しがち:現代のサプライチェーンでは、一つの製品に複数の国が関わります。特定国との関税だけを上げても、実際には第三国経由の部品やサービスにも影響が波及します。
- 報復の連鎖を招きかねない:どの国も国内産業を守る責任があります。米国が高い関税を導入しながら「報復するな」と求めることは、政治的にも受け入れられにくく、むしろ応酬関税のリスクを高めます。
日本とアジアへの波紋
新しい関税は、対象となる国々だけでなく、日本やアジアの経済にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。米国向け輸出品の一部は、対象国で生産された部品や素材を使っているためです。
関税が上がることで、最終製品のコストが増え、米国の消費者価格が上昇するだけでなく、日本企業のサプライチェーンの再構築を迫るシナリオも考えられます。企業にとっては、調達先の分散や在庫の積み増しなど、リスク管理がいっそう重要になりそうです。
私たちが注目したいポイント
今回の措置は、単なる数字の引き上げ以上の意味を持ちます。今後しばらくは、次の点に注目する必要があります。
- 関税を課された国々が、どのような対抗措置をとるのか
- 世界貿易秩序の中で、「相互主義」の名の下に何が正当化されるのか
- 米国内で、関税のコストが誰の負担として可視化されていくのか
Xing氏の「これは相互主義ではなく混乱だ」という言葉は、米国の通商政策だけでなく、私たちが「公平さ」をどう定義するのかという問いも投げかけています。国際ニュースとしての関税問題を追いながら、自分なりの「公正な貿易」の姿を考えてみるタイミングと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








