中国映画『Dead To Rights』 第二次世界大戦描く作品が世界興行1位 video poster
中国の第二次世界大戦映画『Dead To Rights』が、中国本土での興行収入17億元(約2億4,000万ドル)を突破し、公開直後の週末には世界の興行収入ランキングで首位に立ちました。なぜ今、この中国映画が世界で支持を集めているのか。その背景には「自分たちの声で歴史を語る」試みがあります。
中国本土で17億元超、世界興行ランキング首位
『Dead To Rights』は、2025年7月25日に中国本土で公開された中国映画です。公開から間もなく、国内興行収入は17億元を超え、世界全体の週末興行収入ランキングで首位を記録しました。国際ニュースとしても、中国映画が世界興行のトップに立った事実は大きな話題となっています。
1本の映画が中国本土だけでなく世界市場でも成果を上げたことは、中国映画産業の存在感の高まりを象徴する出来事といえます。アジア発の作品が、ハリウッド中心だった戦争映画のイメージを少しずつ塗り替えつつあるとも受け取れます。
第二次世界大戦を「自分たちの声」で描く中国映画
本作は、第二次世界大戦を題材にした中国映画であり、「国の声に舞台を与える」ことをテーマにした作品として位置づけられています。第二次世界大戦を描いた映画は、これまで欧米や日本の視点からの作品が国際的に広く知られてきましたが、中国本土の経験や感情に焦点を当てた作品が、ここまで大きな規模で世界に届くことはまだ多くありませんでした。
『Dead To Rights』が目指しているのは、単に歴史上の出来事を再現することではなく、その時代を生きた人びとの記憶や感情を、自国の言葉と視点で語り直すことだと考えられます。戦争の「正しさ」や「勝ち負け」だけでなく、恐怖、不安、選択の迷いといった個々人の経験を描くことは、歴史をより立体的に捉えるきっかけになります。
脚本家Zhang Keが見つめる「物語の力」
メディアは、脚本家のZhang Ke氏にインタビューを行い、作品に込められた「深い意味」について話を聞いています。インタビューでは、なぜ今あらためて第二次世界大戦を描くのか、中国本土の観客と海外の観客の双方にどのようなメッセージを届けたいのかといった問いが投げかけられています。
戦争映画は、大規模な戦闘シーンや歴史的事件を描くだけであれば、スペクタクルとして消費されてしまう危険もあります。一方で、物語を通じて「誰の視点から語られているのか」「どんな感情が置き去りにされてきたのか」を丁寧に描こうとする作品は、歴史をめぐる対話の入り口にもなり得ます。
『Dead To Rights』のように、自国の歴史を自分たちの言葉で語ろうとする試みは、国内向けのナショナルな物語であると同時に、世界に向けた一つのメッセージでもあります。異なる立場や記憶を持つ人びとに対して、「まずはこの視点から見てほしい」と静かに呼びかける役割を担っているとも言えるでしょう。
8月7日から国際公開 物語は国境を越えられるか
『Dead To Rights』は、8月7日からオーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダなどの国際市場でも公開が始まりました。英語圏を含む複数の国と地域で上映されることは、この作品が中国本土向けの戦争映画にとどまらず、より広い観客を想定した国際的な作品として制作されていることを示しています。
異なる歴史教育やメディア環境で育った観客が、同じ映画を通じて第二次世界大戦に向き合うことで、歴史に対するイメージや感情は少しずつ変化していきます。中国本土から発信された物語が、他地域の観客にどのように受け止められるのか。そのプロセス自体が、国をこえた「歴史の共有」の試みと見ることもできます。
日本の読者にとっての意味
日本でも、第二次世界大戦を扱う映画やドラマは数多く制作されてきましたが、中国本土の視点から描かれた作品に日常的に触れる機会は、まだそれほど多くありません。だからこそ、中国映画が世界の興行で大きな成功を収めたというニュースは、日本の観客にとっても無関係ではない話題です。
他国の歴史映画を観ることは、その国の「正しさ」に同調するためではなく、「どのような不安や恐れ、どんな願いを抱いて歴史を語っているのか」を理解するための一つの手がかりになります。『Dead To Rights』の成功は、中国映画の勢いを示すニュースであると同時に、私たち自身が第二次世界大戦をどう記憶し、どのように次の世代へ語り継いでいくのかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








