ブラジル産コーヒー、中国市場へシフト 米国関税で変わる取引地図 video poster
ブラジル産コーヒーの行き先が静かに変わりつつあります。米国による高関税を背景に、中国市場がブラジルの主要な輸出先として浮上し始めているためです。国際ニュースとして、コーヒー一杯の裏側で起きているサプライチェーンの変化を追います。
183社が一括承認 中国市場への扉が開く
今年7月30日付で、中国当局がブラジルのコーヒー輸出企業183社を承認しました。この承認は7月30日から有効となっており、ブラジル側にとっては中国本土向け輸出のハードルが大きく下がった形です。
これまで輸出できなかった企業も中国市場に直接アクセスできるようになり、ブラジル産コーヒーの取扱量や銘柄の多様化が進むことが期待されています。2025年12月現在、この動きはブラジルのコーヒー業界にとって重要な転機とみられています。
米国の50%関税がもたらす市場シフト
一方、米国はブラジル産のコーヒーを含む製品に50%の関税を課しています。関税がこれほど高い水準になると、ブラジル企業にとって米国市場での価格競争力は大きく低下します。
その結果として、ブラジルの輸出業者は次のような動きを強めていると考えられます。
- 米国への依存度を下げ、輸出先を分散する
- 成長が期待される中国市場を「主力候補」として位置づける
- 関税リスクの小さい市場で中長期的なパートナーを探す
中国市場が「ブラジル産コーヒーの重要な受け皿」として浮上している背景には、こうした関税環境の変化があります。
上海のコーヒー取引ハブに見る熱気
中国の国際メディアであるCGTNの鄭松午(Zheng Songwu)記者は、上海にあるコーヒー取引ハブを訪れ、現地の状況を取材しました。番組では、中国の輸入業者とブラジルの関係者が行き交う現場の様子が伝えられています。
倉庫にはブラジル産の生豆が並び、品質を確かめる担当者や、今後の契約について話し合うビジネスパーソンの姿があるとされています。ブラジル側の生産者や輸出担当者は、中国市場の規模と成長性に期待を寄せているとみられます。
なぜ中国市場が「鍵」になるのか
ブラジルにとって、中国市場が重要度を増している理由は複数あります。
- 成長する需要:都市部を中心に、コーヒーを日常的に楽しむ人が増え、カフェや専門店も拡大しているとされます。
- 多様な価格帯への対応:高級豆から日常使いのブレンドまで、幅広い価格帯の商品にニーズがあります。
- 制度面での後押し:今回のように183社が承認されることで、輸出手続きが明確になり、企業が参入しやすくなります。
ブラジル側から見れば、単に「米国の代わり」ではなく、「長期的な成長パートナー」として中国市場を位置づけていく流れが強まりそうです。
ブラジル企業の戦略転換:リスク分散から成長市場志向へ
米国の高関税と、中国での承認拡大。この二つの動きは、ブラジルのコーヒー業界に戦略の転換を促しています。
- これまで米国向けが中心だった企業が、中国向けのラインを強化する
- 中国の消費者の好みに合わせたブレンドやブランドづくりに力を入れる
- 価格だけでなく、ストーリー性やサステナビリティ(持続可能性)を打ち出す
関税リスクを避けるための「守り」の分散から、成長市場でブランドを育てる「攻め」の姿勢へという変化が、今後より鮮明になっていくかもしれません。
日本の一杯にも影響する?価格と調達の行方
では、日本のコーヒー好きにとって、この国際ニュースはどんな意味を持つのでしょうか。直接すぐに変化が出るとは限りませんが、次のような点は注目に値します。
- 調達競争の激化:ブラジル産の良質な豆が中国に多く向かうほど、日本の商社やロースターは調達先や銘柄の組み合わせを工夫する必要が出てきます。
- 価格の変動リスク:世界的な需要の偏りが進めば、ブラジル産豆の国際価格が動きやすくなる可能性があります。
- 選択肢の広がり:逆に、中国市場向けに開発された新しいブレンドやブランドが、日本に逆輸入されるような形で紹介される可能性もあります。
普段飲んでいる一杯の背景には、国際貿易や関税政策、企業の戦略といったさまざまな要素が絡み合っています。今回の動きは、その関係性が大きく組み替わりつつあることを示しています。
コーヒーから見える世界の動き
ブラジル産コーヒーをめぐる中国市場の台頭は、単なる「産地と消費地の組み合わせの変化」にとどまりません。関税政策が企業の行動を変え、その結果として貿易の地図が書き換わっていくプロセスそのものを映し出しています。
コーヒーという身近なテーマを通じて、国際ニュースや経済のダイナミクスに目を向けてみると、自分の暮らしと世界経済が意外なところでつながっていることに気づきます。次にカフェで一杯を選ぶとき、その豆がどのようなルートで手元に届いたのかを想像してみると、新しい発見があるかもしれません。
Reference(s):
China set to become a key market for Brazilian coffee suppliers
cgtn.com








