国際ニュース:中国の深海探査機ハイチン、南シナ海で新たな節目 video poster
中国が自国開発した深海遠隔操作無人探査機ハイチンが、2025年8月23日に南シナ海で実施された試験航海で深度4,140メートルへの潜航に成功しました。同時に別の深海無人潜水機ハイドウ1と協働運用を行い、深海探査技術の新たな節目となりました。
ハイチンとはどんな深海探査機か
ハイチンは、最大6,000メートル級の深海で活動できる遠隔操作無人探査機(ROV)です。電動式の深海ROVシステムとして設計されており、母船からのケーブルを通じて操縦されることで、海底の映像取得や観測機器の設置、サンプル採取など、多様な作業をこなせることが想定されています。
この深海電動ROVシステムは、上海交通大学が設計・建造したものです。研究機関が自ら設計から関わることで、深海という極限環境に対応したきめ細かなカスタマイズや改良がしやすくなります。
南シナ海での試験航海:深度4,140メートルに到達
2025年8月23日未明に行われた南シナ海での試験航海では、ハイチンが深度4,140メートルまで潜航しました。設計上の最大潜航深度である6,000メートルの約3分の2に相当する深さで、システムの信頼性を確認するうえで大きなステップといえます。
この深さでは、水圧は地上の数百倍に達し、低温と暗闇が支配する環境になります。そこで安定して動作し、母船との通信を維持しながら運用できたことは、今後さらに深い海域での本格的な科学調査や長時間運用に向けた重要な実績です。
ハイドウ1との協働運用が意味するもの
今回の試験で注目されたもう一つのポイントは、ハイチンが別の深海無人潜水機ハイドウ1と同時に運用されたことです。公式には「初めて」協働したとされており、複数の無人機を連携させて深海を探査する新しいステージに入ったことを示しています。
複数の無人潜水機を組み合わせる「協調運用」には、次のような利点があります。
- 広い海底エリアを効率的にカバーできる
- 一方がトラブルになっても、もう一方がバックアップとして機能できる
- 役割分担(観測、撮影、サンプル採取など)により探査の質を高められる
今回のハイチンとハイドウ1の連携は、こうした協調運用の実験としても重要な一歩となりました。
深海探査技術が世界にとって重要な理由
深度4,000メートルを超える海底は、高圧・低温・光の届かない極限環境です。しかし、そこにはまだ知られていない生態系や、地球内部の活動を映し出す地形、将来の資源となり得る鉱物が存在すると考えられています。
深海探査技術の進展は、次のような分野に影響を与えます。
- 地震や津波の仕組み解明など、防災・減災に役立つ地球科学研究
- 気候変動と海洋循環の関係を理解するための長期観測
- 環境への配慮を前提とした資源調査や、海底インフラの維持管理
各国や地域が深海技術の開発を進める背景には、こうした科学的・実務的な重要性があります。今回のハイチンの成功も、その流れの一部として位置づけられます。
日本やアジアの読者が押さえておきたい視点
日本を含むアジアの国々と地域は、広い海域に囲まれ、海底ケーブルや海洋資源、海運ルートなど、海と深く結びついた経済・社会構造を持っています。その中で、南シナ海のような主要海域での深海探査技術の進展は、間接的に私たちの生活ともつながっています。
今回のニュースは、次のような問いを私たちに投げかけます。
- 深海の知見をどのように防災や環境保全に生かしていくか
- 技術の競争だけでなく、国際的な協力やデータ共有をどう進めるか
- 海を利用する側として、環境への負荷をどう抑えていくか
通勤時間にスマホでさっと読むニュースであっても、「海の底で何が起きているのか」を一度イメージしてみると、日常のニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。
今日のまとめ
- 中国の自国開発深海ROVハイチンが、南シナ海で深度4,140メートルへの潜航に成功した
- ハイチンは最大6,000メートル級の電動式深海ROVとして、上海交通大学が設計・建造した
- 深海無人潜水機ハイドウ1との初の協働運用は、複数無人機による深海探査の可能性を示した
Reference(s):
cgtn.com







