粤港澳大湾区初の大型蓄エネ 梅州ポンプ蓄電所2期が稼働開始 video poster
広東省で進むクリーンエネルギー拡大の中核となる新しいポンプ蓄電プロジェクトが動き出しました。粤港澳大湾区で第14次五カ年計画の下では初となる本格的な大型エネルギー貯蔵事業であり、地域の電力安定と脱炭素を支える象徴的な動きとして注目されています。
2025年8月、梅州ポンプ蓄電所2期の1号機が運転開始
2025年8月26日、梅州ポンプ蓄電所第2期プロジェクトの1号機が商業運転を開始しました。このプロジェクトは、第14次五カ年計画の枠組みの中で粤港澳大湾区において初となる大型エネルギー貯蔵プロジェクトと位置づけられています。
新たに稼働した1号機は、毎時30万キロワット時の電力を生み出す能力があり、これは1日あたり約5万世帯の電力需要をまかなえる規模とされています。電力系統の安定化とクリーンエネルギーの有効活用に直結するインパクトの大きい数字です。
ポンプ蓄電とは何か なぜ「見えないバッテリー」と呼ばれるのか
今回の梅州ポンプ蓄電所2期は、いわゆる「ポンプ蓄電」方式の発電所です。ポンプ蓄電とは、電力需要の少ない時間帯に余った電力で水を上部のダムにくみ上げ、需要が高い時間帯にその水を流して発電する仕組みを指します。巨大な「水のバッテリー」として機能することで、再生可能エネルギーの変動を吸収し、電力供給をなめらかにする役割を果たします。
太陽光や風力などのクリーンエネルギーは天候に左右されやすく、出力が安定しないという課題があります。ポンプ蓄電は、この不安定さを補うための基盤技術となっており、アジアや世界のエネルギー転換をめぐる国際ニュースの中でも注目されている分野です。
広東省と粤港澳大湾区にとっての意味
梅州ポンプ蓄電所2期の稼働は、広東省全体のエネルギー構造にも直接影響を与えます。今回の1号機運転開始により、広東省のポンプ蓄電設備の合計容量は150万キロワットに達しました。
電力系統の安定性がステップアップ
エネルギー貯蔵能力が高まることで、ピーク時の電力需給ひっ迫を緩和し、停電リスクを低減できます。特に、産業集積が進む粤港澳大湾区では、安定した電力供給は経済活動の「インフラ中のインフラ」です。
大湾区では、今後も再生可能エネルギーの比率を高めていく方針が打ち出されていますが、その前提条件として、変動する出力を吸収できる十分な蓄電能力が不可欠です。今回のプロジェクトは、まさにその土台づくりの一環といえます。
電力市場で取引されるクリーン電力
梅州ポンプ蓄電所2期で生み出される電力は、すべて電力市場で取引される計画です。市場を通じて電力が売買されることで、価格シグナルが働き、需要が高い時間帯に効率的に電力を供給できるようになります。
これは、単なる発電インフラの拡充にとどまらず、電力市場の高度化や、クリーンエネルギーの価値を価格に反映させる試みとしても意味を持ちます。
数字で見るプロジェクトのインパクト
今回のプロジェクトを、いくつかの数字で整理してみます。
- 2025年8月26日:梅州ポンプ蓄電所2期の1号機が運転開始
- 毎時30万キロワット時:1号機が生み出す電力量
- 約5万世帯:1日分の電力需要をまかなえるとされる世帯数
- 150万キロワット:プロジェクト稼働後の広東省全体のポンプ蓄電容量
- 120万キロワット:梅州ポンプ蓄電所2期が全面稼働した際の総設備容量
プロジェクトが全面稼働すると、粤港澳大湾区全体のポンプ蓄電容量は1,000万キロワットを突破すると見込まれています。これは、大湾区のエネルギーレジリエンス(エネルギー面での強靱性)を一段と高めることにつながります。
地域のエネルギーレジリエンスをどう変えるか
エネルギーレジリエンスとは、災害や需給ひっ迫などのショックに対しても、エネルギー供給を維持・回復できる力を指します。産業、物流、デジタルサービスが密集する粤港澳大湾区では、その重要性が年々増しています。
梅州ポンプ蓄電所2期のような大型蓄エネ拠点が増えることで、次のような変化が期待されます。
- 猛暑や寒波時のピーク需要にも対応しやすくなる
- 再生可能エネルギーの導入余地が広がる
- 停電リスクの低減を通じて、企業活動や住民生活の安心感が高まる
これからを考えるための視点
エネルギー転換や脱炭素は、数字や技術の話になりがちですが、実際には私たちの日常生活や、アジアの経済構造と密接に結びついています。今回のようなポンプ蓄電プロジェクトは、その変化を支える「裏方」の存在です。
通勤電車の明かり、オフィスのサーバー、家庭でのオンライン学習や動画視聴。その裏側で、どのように電力が貯められ、必要なときに放出されているのか。梅州ポンプ蓄電所2期の動きは、そうした視点から国際ニュースを読み解くための良い入口にもなりそうです。
今後、粤港澳大湾区では、さらに多様なクリーンエネルギーと蓄電技術が組み合わされていくとみられます。その動向を追うことは、日本を含むアジア全体のエネルギー政策やビジネスチャンスを考えるうえでも、大きなヒントを与えてくれるはずです。
Reference(s):
GBA's 1st major energy storage project under 14th Five-Year Plan
cgtn.com







