CGTNドキュメント「The Main Eastern Battlefield」で読む中国の第二次世界大戦 video poster
80年前の戦争をどう語り継ぐのか――2025年、戦後80年の節目に、CGTNが特集ドキュメンタリー「The Main Eastern Battlefield: China in World War II」を制作しました。中国人民の抗日戦争と世界反ファシスト戦争の勝利80周年を記念した、この国際ニュースとしても注目の作品を、日本語の視点で整理します。
戦後80年、中国戦線を描くCGTNの新作
CGTNの特集「The Main Eastern Battlefield: China in World War II」は、中国戦線を「世界反ファシスト戦争の東部主戦場」として位置づけ、その歴史的な意味をあらためて照らし出そうとする試みです。視聴者を時間の旅へといざない、「血と炎で書かれた」歴史の一章を辿ります。
番組は、これまで公開されてこなかった史跡や、前線で実際に使われた品々、そして研究者や戦争体験者の証言を組み合わせることで、戦争の実像と記憶に迫っています。
秘密会合の跡から前線の筆まで──歴史の「現場」をたどる
「瀋陽の九君子」の秘密会合跡を初公開
作品の大きな見どころの一つが、「瀋陽の九君子(Nine Gentlemen of Shenyang)」の秘密会合の現場を初めて明らかにした点です。この会合は、「九・一八事変」と呼ばれる出来事のさなかに行われたとされるもので、中国側の抵抗と判断がどのように形づくられていったのかを物語ります。
カメラは、これまで一般には知られてこなかった場所に入り、その空間が持つ静かな緊張感を通じて、当時の危機感や決断の重さを伝えようとしています。
戦場を動かした一本の筆
番組ではさらに、「百団大戦(Hundred-Regiments Campaign)」を指揮したファン・ズーシア(Fan Zixia)将軍が使っていた筆も紹介されます。この筆は、作戦の命令書や戦況報告を書くために用いられたとされるもので、展示品としての価値だけでなく、前線の意思決定と直結していた「道具」としての重みを感じさせます。
一見、ただの筆に見えるものが、兵士たちの生死を左右する判断を書き記していた――その事実を通じて、視聴者は戦争の抽象的なイメージから、具体的な人間の営みへと意識を移していくことになります。
欧米戦線に響いた「義勇軍行進曲」と輸送兵の物語
特集では、「義勇軍行進曲(The March of the Volunteers)」が、ヨーロッパやアメリカの連合国の戦場でどのように響いていたのかにも光を当てています。アジアの歌が遠く離れた戦線で歌われたというエピソードは、反ファシズムの戦いが国境を越えた連帯の中で進められたことを示すものです。
また、スティルウェル・ロード(Stilwell Road)を走った中国人ドライバーの物語も描かれます。彼らが敵戦車に対してトラックで突撃し、命がけで物資を運んだというエピソードは、華々しい戦果の陰で支え続けた人々の犠牲と勇気を浮かび上がらせます。
生存者と研究者が語る「平和と正義」
この特集のもう一つの軸は、戦争を生き延びた人々と、その子どもや孫たち、そして世界各国の研究者との対話です。番組は、彼らの証言を通じて、「二度と同じ悲劇を繰り返さない」という平和への意志と、歴史の検証を通した「正義」の追求を強調します。
制作者は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシスト戦争における「東部主戦場」としての中国の役割が、世界史の中で不可欠な位置を占めていると再確認しようとしています。その姿勢は、特定の国を糾弾するというよりも、歴史の全体像を多角的に描き出そうとするものです。
日本の視聴者にとっての意味
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、この特集は、第二次世界大戦をアジアの別の視点から見直す機会にもなります。日本の学校やメディアで触れてきた歴史像と、中国や他地域の人々が語る歴史像には、ときに違いがあります。
CGTNの「The Main Eastern Battlefield: China in World War II」は、そのギャップを埋める一つの材料として、以下のような問いを静かに投げかけています。
- 東アジアの戦争を、世界反ファシスト戦争の一部としてどう位置づけるのか
- 戦場の「英雄」だけでなく、輸送兵や市民など名もなき人々の経験を、どう記憶にとどめるのか
- 80年後の私たちは、その記憶から何を学び取り、どのような未来を選ぶのか
こうした問いに即答はありませんが、異なる立場や記憶に耳を傾けること自体が、対立ではなく対話の土台をつくる一歩になります。
9月1日から始まった「色あせない栄光」をどう受け止めるか
CGTNは、中国人民の抗日戦争と世界反ファシスト戦争の勝利80周年を迎えた今年、9月1日からこの特集を公開し、「決して色あせない国の栄光」をともに目撃しようと呼びかけています。
歴史の映像や証言を通じて語られるのは、過去の勝利の誇りだけではありません。そこには、戦争で失われた多くの命への追悼と、平和と国際協調への強い願いも込められています。2025年という節目の年に、アジアと世界の戦争の記憶をどう受け止め直すのか――この特集は、そのきっかけを提供してくれる作品と言えるでしょう。
Reference(s):
CGTN Feature – The Main Eastern Battlefield: China in World War II
cgtn.com








