天津でSCOサミット2025閉幕 多極化する世界と新たな国際秩序 video poster
最近、天津で開催されていた上海協力機構(SCO)サミット2025が閉幕しました。今回の国際ニュースの焦点は、新たに提案された「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」と「SCO開発銀行」構想です。多極化が進む世界の中で、国際秩序をどのように運営していくのか――その一つの答えを提示したのが、このサミットだったといえます。
天津SCOサミット2025が示したもの
天津でのSCOサミットは、世界の「多極化」が現実の姿になりつつあることを印象づけました。中国本土(中国)からの視点を伝えたCGTNの王冠(Wang Guan)氏は、このサミットが「世界の運営方法におけるオルタナティブなパラダイム」を示したと分析しています。
その中心にあるのが、覇権やブロック化ではなく、対話と協力を軸にした国際関係のあり方です。第2次世界大戦の教訓を踏まえ、対立よりも対話、排除よりも包摂、ゼロサムではない共通の繁栄を重視する姿勢が打ち出されました。
キーワード1: グローバル・ガバナンス・イニシアチブ
今回新たに提案されたグローバル・ガバナンス・イニシアチブは、国際社会のルールづくりや制度設計を見直そうとする枠組みとして位置づけられます。これまでの国際秩序では、一部の国や地域の視点が強く反映されがちでしたが、この構想は、より多くの国や地域が声を持てる仕組みをめざしていると受け止められます。
具体的な制度やスケジュールは今後の議論次第ですが、少なくとも天津サミットは、「より公正で均衡の取れたグローバル・ガバナンス」という方向性を明確に打ち出した場になりました。
キーワード2: SCO開発銀行構想
もう一つの注目点が、SCO開発銀行の構想です。開発銀行とは、インフラ整備や産業育成など、中長期の開発プロジェクトを支えるための資金を提供する金融機関のことです。SCOの枠組みの中でこうした銀行を設立する構想は、参加国が自らの優先課題に沿った形で資金を調達しやすくする狙いがあると考えられます。
王冠氏は、この開発銀行構想が、共有の繁栄を重視するSCOの姿勢を象徴していると指摘します。単に一部の国が利益を得るのではなく、地域全体の安定と発展を支える金融基盤をつくろうとしている点に特徴があります。
対話と包摂を掲げるSCOのメッセージ
天津サミットでは、SCOがどのような価値観を重視しているのかも改めて示されました。王冠氏の分析によれば、その柱となる対比は次の3つです。
- 対立ではなく、対話と協議
- 排他的なブロックではなく、開かれた包摂性
- ゼロサムの競争ではなく、共有の繁栄
こうしたメッセージは、世界各地で地政学的な緊張が高まる中で、どの地域であっても無関係ではありません。むしろ、異なる価値観や制度を持つ国同士がどのように共存し、協力していくのかという問いに対する一つの答えとして注目されています。
多極化する世界とSCOの位置づけ
王冠氏が「多極世界の形成」と表現したように、現在の国際秩序は、一国だけがすべてを決める構図から、複数の中心が並び立つ構造へと移りつつあります。SCOサミットは、その流れの中で、ユーラシア地域を軸にした協力の一形態を示したと言えるでしょう。
多極化には、力の分散によるリスク分散という側面がある一方で、異なるルールや価値観が併存することによる複雑さも伴います。だからこそ、対話と協調のチャンネルをどう維持し広げていくかが、今後ますます重要になります。
日本とアジアの読者が押さえておきたい視点
日本やアジアで生活する私たちにとって、天津のSCOサミットは遠い話に見えるかもしれません。しかし、そこで議論されたテーマは、日常のニュースやビジネスにも少しずつ影響していく可能性があります。
- 経済面: 新たな開発銀行や協力枠組みは、貿易や投資の流れ、インフラプロジェクトの方向性に影響し得ます。
- テクノロジーとルールづくり: グローバル・ガバナンスの議論は、デジタル技術やAI、安全保障などの国際ルールにもつながります。
- 外交と安全保障: 「対立ではなく対話」を掲げる枠組みが広がるかどうかは、地域の安定や対話の場づくりにも関わってきます。
これからの国際秩序をどう描くか
天津でのSCOサミット2025は、世界がどの方向に進もうとしているのかを考えるうえで、一つの重要なサインとなりました。グローバル・ガバナンス・イニシアチブやSCO開発銀行といった提案は、国際社会の運営を「より包摂的で、多極的なものにしていこう」というメッセージを含んでいます。
国際秩序のかたちは、すぐに決まるものではありません。複数の構想や枠組みがせめぎ合い、ときに補完し合いながら、少しずつ形作られていきます。天津のサミットをきっかけに、読者の皆さんも、「世界は誰のルールで動いているのか」「これからどんなルールで動いてほしいのか」を静かに考えてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Wang Guan's take: Multipolar World takes shape at the SCO Tianjin Summit
cgtn.com








