上海の「八百壮士」をたどるシティウォーク 戦跡を歩く記憶の旅 video poster
中国本土の金融ハブ・上海で今年9月3日、「八百壮士」の足跡をたどる特別なシティウォークが行われました。1937年の激しい防衛戦の舞台となった四行倉庫周辺を歩き、参加者は日本軍の侵攻に4日間抵抗した中国兵士の記憶をたどりました。
この国際ニュースは、日本語で世界の動きを追っている読者にとって、戦争の記憶と都市の現在がどのように重なり合うのかを考えるきっかけになります。
上海・四行倉庫から始まる「街歩き」ツアー
今回のシティウォークは、上海中心部にある四行倉庫の近くからスタートしました。ここは1937年、激しい防衛戦が繰り広げられた場所として知られています。
参加した観光客の一行は、かつて中国兵士が駆け回ったとされる周辺ルートを、ガイドの案内とともにゆっくりと歩きました。高層ビルが立ち並ぶ現代的な街並みの中で、わずか数十メートルごとに歴史のエピソードが紹介され、過去と現在が交互に立ち上がってきます。
スマートフォン片手に写真やメモを残しながら歩くスタイルは、まさに都市を「読み直す」フィールドワークのようです。
「八百壮士」と四日間の防衛戦
四行倉庫の戦いでは、1937年、日本軍の侵攻に対して中国兵士たちが4日間にわたり防衛を続けました。彼らは後に「八百壮士」と呼ばれ、その抵抗の姿が語り継がれてきました。
今回のシティウォークは、その「八百壮士」がたどったとされる道筋を、観光客が自らの足でなぞる試みです。同じ場所に立ち、同じ方向を見つめることで、教科書や映像だけでは掴みきれない戦時の空気に、少しでも近づこうとする動きとも言えます。
戦争の記憶を「観光」で引き継ぐということ
歴史を学ぶ方法は、教室での授業だけではありません。実際の場所を歩く「シティウォーク」や「歴史ツアー」は、近年、世界各地で広がりを見せています。
今回の上海の試みには、少なくとも次のような意味が込められているように見えます。
- 都市のなかに埋もれつつある戦争の痕跡を可視化する
- 当時の兵士や市民の日常に思いを馳せるきっかけをつくる
- 観光と学びを組み合わせ、幅広い世代に歴史を伝える
単なる「戦跡巡り」ではなく、現在の街の姿と重ねながら過去を考えることで、参加者それぞれが自分なりの問いを持ち帰る場になっていると考えられます。
日本の読者にとっての「他人ごとではない」ニュース
日本に暮らす私たちにとって、このニュースは決して遠い国の出来事ではありません。日本軍の侵攻とそれに対する抵抗をめぐる歴史は、日中双方にとって、今もなお現在の社会や感情に影響を与えています。
同時に、戦争の記憶をどう語り継ぐかという課題は、日本も中国本土も共有するテーマです。海外の都市で行われるこうした取り組みを知ることは、日本の街での記憶の継承を見直すヒントにもなり得ます。
- 海外の戦争関連の場所を訪れるとき、私たちは何を感じ、どのような言葉を選ぶべきか
- 自国の歴史を学ぶことと、他国の歴史に耳を傾けることを、どうバランスさせるか
- 対立ではなく、共通の記憶や悲しみを基盤にした対話は可能なのか
こうした問いを心に留めながらニュースを読むことで、国際ニュースは単なる「海外の話」から、自分の暮らしや価値観に関わるテーマへと変わっていきます。
歩いて学ぶ歴史、これからのかたち
今年9月の上海でのシティウォークは、「八百壮士」という具体的な出来事を手がかりに、戦争の記憶を現在の都市空間の中でどう位置づけるかを考えさせる試みでした。
短い通勤時間やスキマ時間にニュースを読む私たちも、次にどこかの街を歩くとき、その場所に刻まれた過去に少しだけ意識を向けてみることができるかもしれません。
歴史と観光、記憶と日常。そのあいだを行き来するこうした取り組みは、今後もアジアや世界のさまざまな都市で、静かに広がっていきそうです。
Reference(s):
Retracing the path of the 'Eight Hundred Warriors' in Shanghai
cgtn.com








