世界の経済重心はGMT+8へ? シンガポール教授が2050年を予測 video poster
世界の経済重心はこれからどこへ向かうのか――。シンガポール国立大学のダニー・クア教授は、最近の単独インタビューで「2050年ごろまでに、その重心はGMT+8の時間帯へと大きく移動する」と予測しました。本稿では、この見方のポイントと、日本を含むアジアにとっての意味を整理します。
シンガポールの経済学者が描く「東へのシフト」
ダニー・クア教授は、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院で経済学を教える研究者です。教授は最近のインタビューで、世界の経済活動の中心が今後さらに東へと移動し、早ければ2050年にもその流れが現実になる可能性があると指摘しました。
クア教授が語るのは、世界全体の生産や所得を地理的に平均して考える「世界の経済重心」が、ゆっくりと東へ動き続けているというイメージです。これは、単に一つの国が強くなるという話ではなく、世界経済の重みそのものが別の地域へ移りつつあるという見方だといえます。
アメリカの相対的な地位低下と「東側」の成長
教授によれば、この「東へのシフト」を動かしている要因は大きく二つあります。
- アメリカ合衆国の相対的な強さが、これまでに比べて低下しているとみられること
- 一方で、東側の地域が力強い発展のモメンタム(勢い)を維持していること
ここでいう「相対的な低下」とは、アメリカが急に弱くなるというよりも、他の地域がそれ以上のペースで成長しているため、世界全体に占める比重が相対的に小さくなる、というイメージに近いと考えられます。
2025年の今、世界経済は依然としてアメリカの動きに強く影響を受けていますが、クア教授はより長い時間軸で見た場合、「重心」はゆっくりと別の場所へ移っていくとみています。
成長ペースが落ち着いた中国、それでもなお大きな存在感
クア教授は、中国の経済成長についても言及しています。かつてのような2桁成長の時代は終わったものの、中国の年間成長率はなお世界経済に大きな影響を与え続けており、世界の国内総生産(GDP)への貢献は依然として「かなり大きい」と評価しています。
つまり、成長率そのものは落ち着いてきたとしても、経済規模が大きくなった分だけ、世界全体の成長に与える寄与は大きい状態が続いている、という理解です。このような動きが、東側の経済的な重みを一段と高めていると考えられます。
GMT+8の時間帯に経済重心が「落ち着く」とは
クア教授は、現在の発展の流れが続いた場合、「世界の経済重心は最終的にGMT+8の時間帯に落ち着く」と述べています。GMT+8とは、世界標準時(GMT)より8時間進んだ時間帯を指し、アジアの一部が属する時間帯です。
この予測が意味するのは、2050年ごろには、世界の生産や所得の中心が、現在よりもさらに東に移動し、GMT+8の時間帯にある国や地域が、経済的な重みの面でより大きな役割を果たすようになる、というシナリオです。
日本の読者にとって重要なのは、この時間帯の変化が、金融市場の取引時間や、ビジネスの「標準時間」、政策協調の軸足といった、日常的な経済活動のリズムにも影響しうる、という点です。世界の経済的な重みが東へ移るほど、アジアの時間帯が世界の「主戦場」となる場面は増えていくかもしれません。
日本・アジアの読者が考えたい3つの視点
こうしたクア教授の予測は、アジアに暮らす私たちにいくつかの問いを投げかけています。たとえば次のような視点です。
- ビジネス戦略:世界の経済重心が東へ移るとすれば、日本やアジアの企業は、どの地域との連携や投資を優先すべきでしょうか。
- 政策とルールづくり:経済の重みが東側に傾くほど、国際的なルールメイキングや議論の場にも変化が生じる可能性があります。そこにどう関わるのかが問われます。
- 個人のキャリア:どの地域の需要が伸びるのか、どの時間帯で仕事をする人材が求められるのか。若い世代にとっては、学ぶべき分野や言語の選び方にも影響してきそうです。
「東へのシフト」をどう読み解くか
2050年という年は、2025年に暮らす私たちから見れば、まだ約四半世紀先の未来です。クア教授のシナリオどおりに進むかどうかは、今後の政策選択や技術革新、予期せぬショックなど、多くの要因によって左右されるでしょう。
それでも、「世界の経済重心がどこにあるのか」という視点で世界を眺めてみると、ニュースの見え方が少し変わってきます。アメリカやヨーロッパだけでなく、東側の動きが世界全体にとってどんな意味を持つのか。クア教授の予測は、そうした長期的な視野でニュースや統計を見るきっかけを与えてくれます。
世界の時計の針がどの時間帯に合わせられていくのか――。GMT+8に向かうとされる経済重心のシフトは、アジアに暮らす私たちが自分自身の立ち位置を見直す上でも、これから注目していきたいテーマといえそうです。
Reference(s):
cgtn.com








