「死の海」タクラマカン砂漠が緑のオアシスに 新疆・于田県の挑戦 video poster
「死の海」タクラマカン砂漠が緑のオアシスに 新疆・于田県の挑戦
かつて「死の海」と恐れられたタクラマカン砂漠の縁辺で、この1年あまりのあいだに景色が大きく変わりつつあります。新疆ウイグル自治区・于田県では、砂漠の縁に広がる荒れ地が緑地へと姿を変え、世界の砂漠化対策や気候変動対策を考えるうえでも注目されています。
「死の海」と呼ばれたタクラマカン砂漠
タクラマカン砂漠は、古くから「死の海」とも呼ばれ、旅人を寄せつけない過酷な環境として知られてきました。極端に乾燥した気候と、果てしなく続く砂丘が行く手をはばみ、多くの人が迂回するほかなかった土地です。
こうした厳しい自然条件のため、砂漠の縁に広がる地域も長く利用が難しく、農地や居住地としては見過ごされがちでした。しかし近年、砂漠とどう向き合い、共存していくかという問いに対して、さまざまな地域で新しい挑戦が始まっています。
新疆・于田県で進む「砂漠の縁」の再生
新疆ウイグル自治区の南部に位置する于田県では、タクラマカン砂漠の縁に沿って広がる荒れ地の再生が進んでいます。ここ1年の取り組みによって、かつては何も育たなかった土地の一部が、緑の帯のような景観へと変わりつつあります。
荒れ地が緑の帯へと変わるプロセス
砂漠の縁を緑地に変える作業は、一度に劇的な成果が出るものではありません。植樹や低木の植え付け、土壌を守るための草の植栽など、小さなステップを積み重ねていく地道なプロセスです。
とくに乾燥地帯では、水をどう確保し、無駄なく植物に届けるかが鍵になります。滴下灌漑と呼ばれる、水を少しずつ根元に届ける方法や、乾燥に強い樹木や草を組み合わせる工夫などが、こうした取り組みを支えています。
人の暮らしと結びつく砂漠の緑化
砂漠の縁に緑が広がることは、景観が変わるだけではありません。風や砂ぼこりをやわらげ、周辺の農地や道路、集落を守る役割も期待されています。緑地の一部は果樹や牧草地として活用され、地域の暮らしと経済にもつながっていきます。
タクラマカン砂漠のような大規模な砂漠の周縁部で緑化が進むことは、局所的な試みをこえて、広い地域の環境を安定させる一歩にもなります。
なぜタクラマカン砂漠の緑化が世界の関心を集めるのか
タクラマカン砂漠の縁で進む緑化は、中国の地域政策という枠を超え、国際ニュースとしても注目されています。その背景には、次のような理由があります。
- 砂漠化の進行を抑え、周辺地域の暮らしを守る取り組みであること
- 緑地の拡大を通じて、気候変動対策や生態系の回復にも貢献しうること
- 乾燥地帯を抱える他の国や地域にとって、具体的な参考事例となりうること
砂漠を完全になくしてしまうことは現実的ではありませんが、その広がりを抑え、周縁部に「人が暮らせる空間」をつくることは可能だと示しつつある点に、タクラマカンの取り組みの意義があります。
「死の海」から「共生の砂漠」へ
かつて「死の海」と恐れられたタクラマカン砂漠のイメージは、いま少しずつ更新されつつあります。砂漠そのものを征服の対象とみなすのではなく、その縁で人と自然が折り合いをつけながら暮らしていく、という発想への転換です。
新疆・于田県で進む砂漠の縁の再生は、気候変動が進む時代に、世界各地の地域社会がどのように環境と向き合うべきかを考えるヒントにもなります。緑の帯の広がりを追いかけることは、「これからの土地利用やエネルギー、農業をどう変えていくのか」という、より大きな問いを私たちに投げかけています。
通勤時間やちょっとしたスキマ時間に、こうした国際ニュースを日本語でたどることは、自分の暮らしと遠い砂漠の風景とを静かにつなぎ直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








