トランプ米大統領、H-1Bビザ申請料10万ドルとゴールドカード導入 video poster
2025年12月、アメリカの移民政策を巡って大きな転換となりうる決定が出ました。トランプ米大統領が、高度人材向けのH-1Bビザ申請料を10万ドルに引き上げるとともに、多額の支払いでビザ手続きが加速されるゴールドカード制度を発表したのです。
何が決まったのか:H-1Bビザ申請料10万ドル
今回の大統領命令で、アメリカの就労ビザの中でもとくにITや研究職が多いH-1Bビザに、申請時点で10万ドルの手数料が課されることになりました。トランプ大統領は、悪用を抑えつつ有能な外国人採用は維持できると説明しています。
H-1Bビザとは
H-1Bビザは、高度な専門知識を持つ外国人労働者が、アメリカ企業で働くために利用する代表的な就労ビザです。エンジニア、研究者、コンサルタントなどが多く利用し、シリコンバレーを中心としたテック企業にとって重要な制度になっています。
新しい申請料のポイント
アメリカの移民政策の中核にあるH-1Bビザに対し、今回の決定では次のような変更が打ち出されています。
- 申請1件ごとに10万ドルの手数料を新たに課す
- 企業が負担するのか、申請者個人が負担するのかは、企業ごとの契約によって変わる可能性がある
- 低コストで大量の申請を行う慣行を抑え、不正や悪用を防ぐ狙いがあると説明されている
日本円で見れば、1件あたり数千万円に相当する規模の金額であり、中小企業やスタートアップには大きな負担になりそうです。一方で、大企業は資金力を背景に、引き続き優秀な人材獲得を続けられる可能性があります。
ゴールドカード制度とは
同時に発表されたゴールドカード制度は、一定額以上を支払った移民に対して、ビザ審査を大幅にスピードアップする新しい仕組みです。アメリカ移住を希望する富裕層や起業家に向けた、いわば優先レーンといえる制度です。
金額と条件
今回公表されたゴールドカードの条件は次の通りです。
- 個人で100万ドルを支払うと、ビザ取得プロセスが優先的に進む
- 企業がスポンサーとなる場合は、合計200万ドルの支払いで対象となる
- 通常のビザよりも迅速な審査と、入国までの期間短縮が期待できる
金銭的なハードルは極めて高い一方で、時間をお金で買う形の制度となっており、アメリカの移民政策が能力だけでなく資金力も重視する方向にシフトしている姿が浮かび上がります。
誰がこの制度を使うのか
想定される利用者としては、世界中の富裕層の起業家や投資家、大規模なテック企業で高い報酬を得ているエンジニアなどが挙げられます。中国本土やインド、日本を含むアジア各国から、アメリカでのビジネス展開やキャリア形成を狙う人々にとって、一つの選択肢になりそうです。
テック産業と外国人労働者への影響
H-1Bビザ申請料の引き上げとゴールドカード制度は、いずれもアメリカのテック産業やスタートアップエコシステムに直結するテーマです。移民政策の変化は、グローバルな人材獲得競争にも波及します。
大企業とスタートアップの明暗
申請料10万ドルという水準は、資本力のある巨大テック企業にとっては痛手ではあるものの、支払い不可能な水準とは言えません。一方、資金に余裕のないスタートアップや中堅企業は、外国人採用を絞らざるを得なくなる可能性があります。
結果として、アメリカの高度人材市場がより大企業偏重になり、イノベーションの担い手が一部の企業に集中する懸念も指摘されています。
日本のエンジニア・企業への意味
アメリカでのキャリアを目指す日本のエンジニアにとって、H-1Bビザのコスト上昇は、企業選びにこれまで以上の影響を与えます。十分な資金を持つ企業でなければ、そもそも採用のテーブルにつかないという状況も生まれかねません。
一方で、リモートワークや海外拠点の活用により、アメリカの仕事をしつつ日本に住むというモデルを選ぶ企業も増えるかもしれません。アメリカ側のビザのハードルが上がるほど、他国や他地域の人材活用の余地が広がる可能性があるからです。
日本企業にとっても、現地採用や駐在員派遣のコスト構造が変わるため、中長期的な人事・採用戦略の見直しが必要になるでしょう。
これからの注目ポイント
今回のトランプ政権の決定は、2025年以降のアメリカの移民政策を方向付ける一手になる可能性があります。今後、次のような点が焦点となりそうです。
- アメリカ国内での世論や産業界からの反発・支持の行方
- テック企業が採用戦略や拠点配置をどのように変えるか
- カナダや欧州、アジア各国が高度人材の受け皿として存在感を高めるかどうか
- 個人レベルで、どの国で働きどこに住むかをどう選び直すか
移民政策は、単なるビザの手続きの話ではなく、国や企業がどのような人材を歓迎し、どのような価値観を重視するかを映し出す鏡でもあります。H-1Bビザ申請料10万ドルとゴールドカード制度という大胆な一手を、私たちはどう受け止めるのか。ニュースをきっかけに、自分自身の働き方やキャリアの選択についても考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
Trump imposes $100,000 fee on H-1B visas, unveils 'gold card' pathway
cgtn.com








