中国初の国産サブミリ波望遠鏡「XSMT」建設開始 ブラックホール観測へ新拠点 video poster
中国で、自国開発としては初となる高度なサブミリ波望遠鏡「XSMT」の建設が土曜日に始まりました。ブラックホールの動く姿をとらえる国際的な観測プロジェクトに、新たな拠点が加わろうとしています。
中国初の国産サブミリ波望遠鏡「XSMT」とは
国際ニュースとして注目されているのが、中国で建設がスタートした「Xueshanmuchang 15-meter SubMillimeter Telescope(XSMT)」です。口径15メートルのサブミリ波望遠鏡で、中国が自ら開発した高度なサブミリ波望遠鏡としては初めてのプロジェクトとされています。
今回の着工によって、中国はサブミリ波観測の分野で存在感を高めるだけでなく、ブラックホール研究に向けた国際的な連携にも本格的に参加していくことになります。
サブミリ波望遠鏡は何がすごいのか
サブミリ波とは、電波と赤外線の中間にあたる波長の電磁波のことです。可視光では見えない、冷たいガスや塵(ちり)、ブラックホール周辺の高エネルギー環境などを観測できるのが特徴です。
サブミリ波望遠鏡には、次のような強みがあります。
- 宇宙の塵に邪魔されにくく、銀河の中心部やブラックホール周辺を観測しやすい
- 星や惑星が生まれる現場、ガスや磁場の動きなど「ダイナミックな変化」を追いやすい
- 他の波長の望遠鏡と組み合わせることで、宇宙の姿を多面的にとらえられる
XSMTは、こうしたサブミリ波観測の利点を活かしつつ、ブラックホールの活動をより詳細に調べることが期待されています。
次世代イベント・ホライズン・テレスコープに参加へ
今回の望遠鏡建設で特に注目されているのが、XSMTが「次世代イベント・ホライズン・テレスコープ(Event Horizon Telescope, EHT)」計画に参加する見通しだという点です。
EHTは、世界各地にある電波・サブミリ波望遠鏡を同時に動かし、地球全体を一つの巨大な仮想望遠鏡のように扱う国際プロジェクトです。これにより、単独の望遠鏡では到底得られないほど高い解像度で、ブラックホールなどの極端な天体を観測することを目指しています。
ユーザーの入力によれば、XSMTは完成後、この次世代EHT網に参加し、ブラックホールの「動的な画像」、つまり時間とともに変化する姿の観測に貢献することが期待されています。
「動くブラックホール」をとらえる意味
これまでブラックホール観測では、その姿を一枚の画像としてとらえることが大きな目標とされてきました。次のステップとして注目されているのが、時間変化まで含めた「動的な」観測です。
ブラックホールの周囲では、ガスが高速で回転しながら落ち込んだり、強力な重力や磁場によって、物質や光が激しく揺さぶられています。その変化を連続的にとらえることで、次のような理解の深化が期待されます。
- ブラックホール周辺で物質がどのように流れ込み、エネルギーを放出しているのか
- 重力の理論が、極限状態の宇宙でも成り立つのかを検証する手がかり
- 銀河の中心にある巨大ブラックホールが、銀河全体の進化にどう影響しているのか
XSMTは、こうした問いに迫るための「時間軸を含んだ観測」に参加することが期待されているという点で、国際的にも重要な意味を持ちます。
中国の科学技術と国際協力にとっての意味
中国で初めての自国開発による高度なサブミリ波望遠鏡の建設は、国内の天文学・宇宙科学の研究基盤を一段押し上げる動きといえます。同時に、次世代EHTという国際ネットワークへの参加によって、観測データや技術の共有を通じた協力も進むことが期待されます。
国際ニュースとして見たとき、このプロジェクトには少なくとも次のようなポイントがあります。
- アジア発の観測拠点が増えることで、地球規模での「仮想望遠鏡」の性能が高まる可能性
- 宇宙観測技術やデータ解析など、関連分野での人材育成と技術交流の加速
- ブラックホール研究という人類共通のテーマを通じた、国際的な協力の広がり
宇宙科学の分野では、一国だけで完結する研究よりも、多くの国や地域が参加する大規模プロジェクトが主流になりつつあります。XSMTも、そうした流れの中で位置づけられる計画だといえるでしょう。
私たちが押さえておきたい3つのポイント
通勤時間やスキマ時間でこの記事を読んでいる読者の皆さんにとって、今回のニュースで押さえておきたいポイントを3つにまとめると、次のようになります。
- 1. 中国で初の国産サブミリ波望遠鏡が建設開始
口径15メートルのXSMTが土曜日に着工し、中国のサブミリ波天文学に新たな一歩となります。 - 2. 次世代EHTに参加し、ブラックホール観測に貢献へ
完成後は、地球規模の仮想望遠鏡ネットワークに加わり、ブラックホールの動的な画像取得に関わることが期待されています。 - 3. アジア発の観測拠点が国際プロジェクトを強化
観測点が増えることで、ブラックホールの姿をより鮮明かつ立体的に描き出す可能性が高まります。
ブラックホールという一見遠い宇宙の話題ですが、その観測技術や国際協力のあり方は、データサイエンスや通信技術、さらには各国がどのように科学に投資していくのかといった、私たちの身近なテーマともつながっています。
今後、XSMTの建設進捗や、次世代EHTプロジェクトの具体的な観測計画が明らかになれば、ブラックホール研究の最前線はさらに加速していくはずです。続報にも注目していきたいところです。
Reference(s):
China's 1st homegrown submillimeter wave telescope begins construction
cgtn.com








