アッバス氏「ガザ統治できるのは自治政府だけ」国連ビデオ演説 video poster
パレスチナ自治政府を率いるマフムード・アッバス氏が、国連に向けたビデオメッセージでガザの将来像を語り、「ガザを統治できるのはパレスチナ自治政府だけだ」と強調しました。ガザの統治問題と中東和平の行方をめぐり、国際ニュースとして改めて国際社会の注目が集まっています。
国連に直接出席できず、ビデオで発言
今回のメッセージは、アッバス氏と複数の高官に米国ビザが発給されず、国連の場に直接出席できなかったことを受けて出されたものです。現地に足を運ぶことはできなかったものの、アッバス氏は映像を通じて、自身の構想と訴えを国際社会に示しました。
「ガザを統治できるのはパレスチナ自治政府だけ」
アッバス氏はビデオメッセージの中で、ガザの統治を担う資格があるのはパレスチナ自治政府だけだと主張しました。これは、ガザの政治的な行方と、パレスチナ内部の力学をめぐる強いメッセージでもあります。
メッセージのポイントは次の通りです。
- ガザの統治を担う唯一の主体として、パレスチナ自治政府の役割を強調
- ハマスなど他の勢力に対し、武器の引き渡しを要請
- ガザを含むパレスチナ全体で「一つの国家、一つの法、一つの治安機構」を目指す構想を提示
- パレスチナの国連「完全加盟」を求め、国際社会での地位向上を訴え
- 全ての側による民間人の殺害を非難し、イスラエルに和平交渉への復帰を促す
ハマスなど武装勢力への「武器引き渡し」要求
特に注目されるのが、ハマスやその他の勢力に対する武器の引き渡しの呼びかけです。これは、ハマスや他の勢力が独自の武装組織を持っている現状を前提に、それらを一つの枠組みに統合したいという意思表示と受け止められます。
アッバス氏は、ガザを含むパレスチナの地域を「一つの治安機構」のもとに置くことで、統治の責任を明確にし、武力ではなく政治と法に基づく秩序を取り戻したい考えをにじませています。
「一つの国家、一つの法、一つの治安機構」というビジョン
アッバス氏が掲げた「一つの国家、一つの法、一つの治安機構」という言葉は、分断された統治や重なり合う権力構造を整理しようとする試みと見ることができます。
このビジョンが実現すれば、
- 誰が最終的な統治責任を持つのかがより明確になる
- 複数の武装組織が並立する状態から、統一された治安体制へ移行しやすくなる
- 国内の法制度と治安のルールを一本化しやすくなる
といった効果が期待されます。一方で、実際に武装勢力がどこまで応じるのか、自治政府がガザでどの程度受け入れられるのかなど、多くの課題が残るのも事実です。
国連完全加盟の要求と和平交渉への呼びかけ
アッバス氏は、パレスチナの国連における「完全加盟」を改めて求めました。これは、パレスチナが国際社会で他の加盟国と同等の地位を得るべきだという強いメッセージです。
同時に、全ての側による民間人の殺害を明確に非難し、イスラエルに対して和平交渉のテーブルに戻るよう求めました。暴力の連鎖を断ち、外交と対話の枠組みに戻ることが、ガザと地域全体の安定につながるという考え方です。
ビザ拒否が映す外交上の緊張
アッバス氏と高官への米国ビザ不発給により、今回の国連での発言は対面ではなくビデオという形になりました。この出来事は、パレスチナ側と米国との間に横たわる外交上の緊張を改めて印象づけるものでもあります。
それでもアッバス氏は、ガザ統治のあり方、国連加盟、和平交渉という三つのテーマを軸に、自らの立場とビジョンを明確に示しました。直接現地に赴くことが難しい状況でも、国際舞台でメッセージを発信し続ける姿勢がうかがえます。
このニュースから私たちが考えたいこと
今回のビデオメッセージは、ガザの統治を誰が、どのような枠組みで担うのかという根本的な問いを投げかけています。国際ニュースとしてのパレスチナ問題は遠い話に見えますが、国家と武装勢力の関係、法と安全保障のバランスなど、多くの社会に共通する論点も含んでいます。
例えば、次のような問いは、私たち自身の社会を考えるヒントにもなり得ます。
- 「一つの法」とは、誰にとって公正なルールであるべきなのか
- 安全を守るための「治安機構」は、どこまで武力に依存してよいのか
- 国際社会は、ガザの統治や和平プロセスをどう支えるべきなのか
ニュースを追うとき、単に対立構図を見るだけでなく、そこで提示されているビジョンや問いを自分なりに咀嚼してみることが、情報との新しい付き合い方につながります。日本語で読める国際ニュースとして、この動きを今後も丁寧にフォローしていきたいと思います。
Reference(s):
Abbas says Palestinian Authority the only body qualified to run Gaza
cgtn.com








