黄金の棚田に国慶節観光客 中国・江西の「エコ+観光」が農村を変える video poster
中国・江西省崇義県の棚田が黄金色に染まる季節を迎え、2025年の国慶節(中国の建国記念日に合わせた大型連休)には、多くの旅行者がこの地を訪れました。日本語で国際ニュースを追う読者にとっても、観光と農村振興、環境保全が交わる現場として注目したい動きです。
朝日に輝く「Shangbao Hakka」千年の棚田
崇義県にあるShangbao Hakka(シャンバオ客家)棚田は、千年以上の歴史を持つとされる古い棚田です。朝日を浴びると、山の斜面に幾重にも広がる棚田一面が黄金色に輝き、まるで階段状の光の帯のように見えると伝えられています。
今年も稲穂は順調に実りを迎えており、地元の農家は「今年は豊作になりそうだ」と期待を語っています。黄金色に色づいた棚田と、収穫を控えた稲穂の風景は、国慶節の人気フォトスポットとして国内外の旅行者を引きつけています。
国慶節観光ラッシュが地方へ向かう理由
中国の国慶節は、毎年、国内移動と観光がピークを迎える時期です。2025年も、多くの人びとが都市部から離れ、自然や伝統文化に触れられる農村エリアへと向かいました。その一つの目的地が、このShangbao Hakka棚田です。
旅行者たちは、棚田が見渡せる高台に登り、朝焼けとともに黄金色に染まる田んぼを眺めたり、動画を撮影してSNSで共有したりしているとされています。スマートフォン一つで世界に発信できる時代だからこそ、こうした絶景は瞬く間に拡散し、次の旅行需要を生み出しています。
「エコロジー+観光」モデルとは何か
地元では、豊かな自然と歴史ある棚田の景観を守りながら、観光と結びつける「エコロジー+観光」モデルが進められています。これは、環境への負荷を抑えつつ、農業と観光を両立させ、地域の収入源を多様化しようとする取り組みです。
具体的には、棚田の景観を活かした散策ルートづくりや、地元ならではの食文化を生かした飲食サービス、農家と連携した体験型のプログラムなどを通じて、観光収入を安定的なものにしようとしています。美しい棚田の風景そのものが、農家にとって新たな「作物」となりつつあるとも言えます。
農村振興と収入の「二つの実り」
地元の農家は、今年の稲作で豊作が期待される一方で、観光客の増加による収入増も見込んでいます。実りの秋に、田んぼと観光の両方で「二つの実り」が生まれている構図です。
観光収入は、農業だけでは賄いきれないインフラ整備や生活環境の改善に回され、地域全体の暮らしを底上げする役割も果たします。農村振興を進めるうえで、農業の生産性向上とともに、こうしたサービス産業の育成が重要になっていることがうかがえます。
世界の地方とつながる視点
中国・江西省の棚田のニュースは、日本の地方やアジア各地の農村が抱える課題とも重なります。人口減少に悩む地域で、自然環境を守りながら観光と組み合わせて新たな収入源を生み出すという発想は、多くの国と地域で共通するテーマになりつつあります。
日本でも、棚田や里山の景観を活かしたツーリズムや、地域の食と文化を組み合わせた取り組みが各地で進んでいます。Shangbao Hakka棚田の事例は、中国の農村振興を理解するうえだけでなく、持続可能な観光や地方創生を考えるヒントとしても捉えることができるでしょう。
私たちが考えたい3つのポイント
- 観光が「風景を消費する」だけでなく、「景観を守る力」にもなりうること
- 農業と観光を組み合わせることで、気候変動や価格変動に左右されにくい地域経済をつくれる可能性
- 旅行者一人ひとりの選択が、農村の未来や環境保全に影響を与えるという視点
国際ニュースとして伝えられる中国の棚田の風景は、単なる絶景スポットではなく、農村の暮らしや環境、経済が交差する現場です。次に旅先を選ぶとき、こうした背景にも思いを馳せてみると、いつもの旅行が少し違って見えてくるかもしれません。
Reference(s):
China's iconic rice fields gleam in gold as National Day tourism peaks
cgtn.com








