宇宙で迎える中秋節:神舟20号クルーの「月見」ディナー video poster
2025年の中秋節、地球を回る軌道上でも家庭の味を囲むささやかな団らんが生まれました。中国の有人宇宙船「神舟20号」のクルーが、特別メニューの宇宙食で中秋節を祝ったのです。
この日、クルーの食卓には、いつものメニューに加えて、きのこ料理や湯葉巻き、えび団子、特製の宇宙用月餅(げっぺい)、金木犀(キンモクセイ)風味のチーズおこわなど、故郷の味が並びました。さらに、豚の角煮、スパイシーなラム肉、黒こしょうビーフといったボリュームのある肉料理も用意され、地上の人びとと同じように節句のごちそうを楽しんだとされています。
中秋節を「上から」眺めるという体験
中秋節は、本来は家族や大切な人と月を眺めながら団らんを楽しむ日です。伝統的には月餅を分け合い、「同じ月を見上げている」ことに、距離をこえたつながりを感じます。
今回の神舟20号クルーは、まさにその「距離」を極端に広げた存在です。地球の上空から、同じ月と同じ日付の中秋節を迎えつつ、地上の人びとと同じタイミングで祝う──その姿は、宇宙開発と伝統文化が静かに交差する象徴的な場面と言えます。
神舟20号クルーの「宇宙中秋メニュー」
国際ニュースとしても注目される今回の宇宙中秋ディナーは、「味」だけでなく「気持ち」を支える工夫が詰まったラインナップでした。
前菜・点心のメニュー
- きのこ料理(マッシュルームなどを使った一品)
- 湯葉巻き(豆腐の皮で具材を巻いたロール)
- えび団子
- 特製スペース月餅(宇宙空間でも食べやすい工夫をした月餅)
- 金木犀チーズおこわ(金木犀の香りをまとったチーズ風味の米料理)
メインの肉料理
- 豚の角煮のような煮込み料理(braised pork)
- スパイシーなラム肉料理(spicy lamb)
- 黒こしょうビーフ(black pepper beef)
いずれも「しっかり噛めて、崩れにくく、味がはっきりしている」という、宇宙食に求められる条件と、家庭の味・節句の味を両立させたメニューと考えられます。
宇宙飛行士の心を支える「家庭の味」
長期にわたる宇宙滞在では、栄養バランスだけでなく、「気持ちの健康」を保つことが大きな課題になります。そこで重要になるのが、文化や記憶と結びついた食べ物です。
今回のように、中秋節に合わせて月餅や家庭的な肉料理が用意されることは、クルーにとって心理的な支えになります。地上の家族や友人と同じ行事を「同じ日に」「同じような料理で」祝うことができるからです。
宇宙から中秋節を祝うというニュースは、宇宙開発が「技術の競争」という側面だけでなく、「人が暮らし、文化を持ち込む場」へと広がっていることを静かに示しています。
宇宙開発と日常がつながる瞬間
今回の神舟20号クルーの中秋の食卓は、私たちの日常とも意外なところでつながっています。日本でもお月見やお団子など、月と食べ物をめぐる習慣がありますが、「空を見上げる行事」に食文化が結びついている点は共通しています。
宇宙飛行士が宇宙で中秋節を祝う姿は、遠い世界の出来事のようでいて、実は「家で家族とごちそうを囲む」私たちの光景と地続きです。違うのは、窓の外に広がる景色が、街の夜景ではなく、青く丸い地球であるということだけかもしれません。
読者が持ち帰れる問い
この宇宙での中秋節のニュースから、私たちが考えてみたい問いもあります。
- もし自分が長期の宇宙滞在に行くとしたら、「これだけは持っていきたい」と思う一皿は何か。
- テクノロジーが進んでも、「行事と食」を通じてつながりを感じるという、人間らしい感覚はどう変わり、どう残っていくのか。
神舟20号のクルーが宇宙で囲んだ中秋の食卓は、国際ニュースであると同時に、私たち自身の暮らしや価値観を静かに映し返す鏡にもなっています。
Reference(s):
cgtn.com








