中国国慶節の映画興行、『The Volunteers: Peace at Last』が首位に video poster
2025年の中国本土の国慶節連休で、歴史戦争大作『The Volunteers: Peace at Last』が映画興行を牽引し、国際ニュースとしても注目を集めています。戦争映画でありながら、普通の人々の視点と感情に焦点を当てた物語が、多くの観客の共感を呼んでいるようです。
国慶節連休の興行収入は15億元超え
2025年10月6日時点で、中国本土の国慶節連休の累計興行収入は15億元(約2億1000万ドル)を超えました。そのなかで興行ランキングのトップに立ったのが、『The Volunteers: Peace at Last』です。
国慶節連休は、中国本土の映画市場にとって年間でも重要な書き入れ時です。今回、この歴史戦争映画が興行の主役になったことは、国内観客が歴史や国際情勢をテーマにした作品に高い関心を持ち続けていることを示していると言えます。
『The Volunteers: Peace at Last』はどんな作品か
『The Volunteers: Peace at Last』は、いわゆる「抗美援朝戦争」(朝鮮戦争)を題材にした歴史戦争大作です。作品では、激しい前線の戦闘シーンと並行して、舞台裏で進む緊張感のある外交交渉が描かれます。
銃弾が飛び交う塹壕の最前線と、交渉の一言一言に国の行方がかかる会議室。その両方を描くことで、戦争を「戦場の物語」だけでなく、「外交と政治の駆け引き」が絡み合う総体として捉えようとする姿勢がうかがえます。
歴史の中の「普通の人」を描く視点
この作品の特徴として指摘されているのが、歴史の大きな流れに巻き込まれた「普通の人々」を丁寧に描いている点です。名のある指導者や司令官だけでなく、一兵士や家族、交渉の現場で葛藤する担当者など、名もなき人々の選択と感情が物語の軸になっています。
戦争映画はともすると勝敗や戦略に焦点が当たりがちですが、『The Volunteers: Peace at Last』は、歴史の結果だけでなく、その裏側で何を感じ、何を失い、どのように耐えたのかという人間ドラマを重ねることで、感情的な深みを生み出しているといえます。
観客の心をつかんだ3つのポイント
国慶節の激しい興行競争の中で首位に立った背景には、次のような要素がありそうです。
- 歴史性と娯楽性の両立
実際の戦争と外交交渉を基にしながらも、物語としての起伏や緊張感のある展開を重ねることで、「学び」と「エンターテインメント」を両立させています。 - 感情の描写の厚み
前線の兵士や家族、交渉に臨む人々の迷いや恐れ、覚悟が描かれ、観客が自分ごととして感情移入しやすい構成になっています。 - 「平和」をタイトルに掲げるメッセージ性
タイトルにある「Peace at Last(ついに訪れた平和)」という言葉は、激しい戦闘の描写と対照的に、戦争の終わりと平和への希求を強く意識させます。単なる勝利の物語ではなく、「なぜ戦い、何を得て、何を失ったのか」を問い直す視点につながっています。
中国本土映画が映す歴史認識と現在地
歴史戦争映画が国慶節の興行をリードしたことは、中国本土の観客が、自国の近現代史や国際関係をテーマにした作品に対して、今も強い関心を持っていることを物語っています。
同時に、『The Volunteers: Peace at Last』が、前線と外交、そして普通の人々の視点を組み合わせていることは、歴史を一面的ではなく、多層的に捉えようとする最近の作品傾向の一例とも言えます。
日本語で国際ニュースや中国映画の動きを追いかける読者にとって、この作品の興行的成功は、東アジアの歴史認識や物語の語り方が、2025年の今どのようにアップデートされているのかを考える良いきっかけになりそうです。
私たちはこのニュースから何を読み取るか
国慶節のボックスオフィスで『The Volunteers: Peace at Last』が首位となったというニュースは、単なる「ヒット映画」の話題にとどまりません。戦争や外交、平和という重いテーマを扱いながらも、多くの観客が劇場に足を運んだ事実は、社会全体が「歴史」をどう受け止め、次の世代にどのように語り継ぐのかという問いともつながっています。
SNSで感想を共有したり、友人や家族と「もし自分がその場にいたらどうするか」を語り合ったりすることは、歴史を現在の自分の問題として考える小さな一歩です。ニュースとしての数字の裏側にある、こうした「考えるきっかけ」こそが、この作品がもたらした大きな意味のひとつと言えるのではないでしょうか。
Reference(s):
'The Volunteers: Peace at Last' leads the holiday film box office
cgtn.com








