CNNアナリスト「州兵動員は政治的敗北」トランプ政権と米世論 video poster
米国で、ドナルド・トランプ大統領の政権が全米の都市への州兵などの派遣を進めようとする中、この方針は世論の中で「政治的な負け試合」になりつつある――そんな分析を、米ニュース専門局CNNのデータアナリストが示しています。
CNNのデータアナリストが読む世論
米CNNのチーフ・データアナリストであるハリー・エンテン氏は、トランプ政権による州兵の追加派遣方針に対する世論の反応を、最新の世論調査にもとづいて検証しています。
エンテン氏によると、複数の世論調査で、およそ60%のアメリカ人が、州兵や現役の軍隊を都市に派遣することに反対しているという結果が出ています。彼は、この強い反対世論を踏まえ、この政策は有権者から見てpolitical loser(政治的な負けを招く一手)になっていると指摘しました。
多数が反対する政策はなぜ「政治的に不利」なのか
民主主義の下では、大きな反発を招く政策は、たとえ一部の支持層には歓迎されても、全体としては政治的なリスクを高めます。エンテン氏がpolitical loserと表現した背景には、次のような計算があると考えられます。
- 賛成より反対が多い政策は、選挙で「失う票」の方が「得る票」より多くなりやすい
- とくに無党派層や中間層が反対に回ると、政権にとって打撃となる
- 治安対策としての強硬策は、短期的には支持を集めても、長期的な不信感を生むおそれがある
こうした点から、世論データを専門とするエンテン氏は、州兵派遣の拡大は「政治的には割に合わない」という判断を示しているといえます。
州兵・現役軍の「都市派遣」が持つ重さ
州兵(ナショナルガード)は、各州ごとに編成される部隊で、災害対応や治安維持などで動員されます。これに加え、現役の軍隊まで都市部に投入するとなれば、人々の受け止め方は一段と重いものになります。
エンテン氏が紹介した世論調査の数字は、アメリカ社会の多くの人が、この種の武力をともなう治安対策に慎重であることを示しています。安全を守る必要性を認めつつも、「軍を街に出す」という段階までは踏み込むべきではない、という感覚が広がっている可能性があります。
なぜ政権は不人気な政策を進めようとするのか
それでもトランプ政権が州兵派遣を進めようとする背景には、いくつかの思惑があると見ることもできます。
- 熱心な支持層に対して、「治安に厳しい強いリーダー」を強調したい
- 混乱や不安が続く中で、「秩序回復」に向けて具体的な行動を示したい
- 短期的には支持率が下がっても、長期的には「決断力」を印象づけられると計算している可能性
ただし、エンテン氏の分析が示すように、全体の6割が反対する政策は、選挙や政権運営の視点から見れば、やはり大きな賭けであることは否めません。
日本の読者への問いかけ:世論と安全保障をどう両立させるか
今回のCNNの分析は、アメリカ政治の話であると同時に、日本の私たちにとっても考えるヒントを与えてくれます。国家の安全や治安を守るために、政府がどこまで強い手段をとってよいのか。そして、その判断において世論やデータをどう位置づけるべきなのか――。
強硬な治安対策を求める声もあれば、自由や人権を守るべきだという声もあります。エンテン氏が示したような世論データは、その間でバランスを取るための重要な手がかりとなります。
トランプ政権の州兵派遣をめぐる議論は、「安全」と「自由」、「政治的な計算」と「市民の感覚」がぶつかり合う場面が、いま世界各地で生じていることをあらためて映し出していると言えるでしょう。
Reference(s):
CNN analyst calls National Guard deployment a 'political loser'
cgtn.com








