中国の旅行ブーム、人気スポットから「穴場」へ 国慶節8連休の変化 video poster
今年の中国の国慶節の8日間にわたる連休期間中、高速道路の1日あたりの交通量は平均6200万台に達し、そのうち1250万台が新エネルギー車でした。前年と比べて約3割増加したこの数字は、中国本土の旅行ブームが今も続きつつ、その中身が変わり始めていることを示しています。本稿では、日本語で読める国際ニュースとして、この旅行ブームの変化を整理します。
今年の国慶節8連休、高速道路は1日6200万台
今回の国慶節連休では、中国本土の高速道路での1日平均交通量が6200万台に上りました。そのうち1250万台が新エネルギー車(電気自動車などの環境負荷を抑えた車)で、前年同期比でほぼ30%増加しています。
自家用車を使った移動がこれだけの規模に達していることは、国内旅行が日常的な消費行動として定着していることを示します。同時に、新エネルギー車の比重が高まっていることは、移動手段の選択にも変化が起きていることを物語っています。
人気観光地から「穴場」へ 旅行先の重心がシフト
ユーラシア・グループの中国ディレクターである王丹氏は、こうした旅行ブームの中身が変わりつつある点に注目しています。従来のように有名な観光地や大都市だけに人が集中するのではなく、より小さな県や、あまり知られていない目的地に向かう旅行者が増えていると指摘します。
これは、旅行需要が「量の拡大」から「分散とバランス」へと移行しつつあることを意味します。いわゆる観光の「穴場」が見直され、より多様な地域が旅行先の選択肢として浮上しているのです。
交通インフラとデジタルが支える「安心して行ける地方」
王氏が背景として挙げるのが、中国本土で進んだ交通インフラとデジタルインフラの整備です。高速道路網が張り巡らされ、移動時間が短縮されたことで、以前は行きづらかった地域にも足を運びやすくなりました。
あわせて、通信ネットワークの広いカバー率により、地方でもネット接続や位置情報の利用がしやすくなっています。王氏は、中国本土の旅行の安全性の高さと、こうしたネットワーク環境が「旅のしやすさ」を高めていると述べています。
スマートフォンを通じて、目的地の情報収集、予約、支払い、道案内までが一体化することで、旅行者にとっての心理的なハードルは下がります。その結果、「はじめて行く小さな町」や「名前は聞いたことがあるが行ったことのない県」へも、安心して出かけやすくなっているといえるでしょう。
地域観光と経済へのじわりとした効果
旅行者が小さな県や知られざる目的地に向かうようになると、消費が一部の大都市や有名観光地に偏らず、より広い地域に分散するようになります。王氏は、こうした動きが地域観光を押し上げ、結果として各地の経済成長にもつながっていると指摘します。
宿泊、飲食、小売り、移動サービスなど、地方の中小事業者にとっては新たな需要が生まれます。旅行ブームが「一部の観光地だけが潤う」構図から、「各地にじわじわと広がる」段階に入りつつあることは、中国本土の地域経済にとっても重要な変化といえます。
日本の読者にとっての示唆
中国本土の旅行トレンドは、日本を含む他の国や地域にとっても参考になる点が多いテーマです。インフラとデジタルの整備、安全で安心して移動できる環境の構築は、どの国でも地域観光を活性化する鍵となり得ます。
大都市中心ではなく、「穴場」や地方へと旅行需要を分散させることは、人口減少や地域格差に直面する社会にとっても重要な課題です。中国本土で起きている旅行ブームの質的な変化を追うことは、これからの観光と地域づくりを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
From hot spots to hidden gems: China's travel boom finds new balance
cgtn.com







