ガザ停戦第1段階へ 専門家が語る「一時停止」の先にある不確実性 video poster
約2年にわたるイスラエルとハマスの武力衝突が、停戦合意の第1段階によって一時的に止まりました。しかし、その先の和平プロセスには大きな不確実性が残っていると専門家は警告しています。
ガザ停戦、第1段階が発動
イスラエルとハマスは現在、停戦合意の第1段階を正式に確認し、ガザ地区で続いてきた約2年の戦闘は一時的な休止に入りました。2025年12月時点で、この停戦は「合意の履行が順調に進むかどうかを見極める試験期間」の性格を持ちます。
停戦により、ガザの人々にとっては久しぶりに砲撃の途絶える時間が訪れましたが、これはあくまで「第一歩」にすぎません。双方とも、合意の次の段階や自らの立場を巡って慎重な計算を続けているとみられます。
短期的には「実現可能」だが…専門家の見方
中国の西北大学にある戦略研究センター(Center of Strategic Studies)所長の王晋(Wang Jin)氏は、今回の停戦合意を「和平に向けた重要な一歩」と評価しつつも、先行きには強い警戒感を示しています。
- 短期的には、停戦合意が一定程度順守される可能性が高い
- しかし、中長期的には多くの不確実性やリスクが残る
- 停戦後の統治体制や経済再建の設計次第で、再び戦闘が再燃する可能性もある
王氏は、「停戦は重要だが、それだけでは紛争の原因を解消できない」と指摘しており、停戦後の政治プロセスこそが本当の難所になると見ています。
ガザの「次の統治」をめぐる3つの焦点
王氏が特に不透明だと指摘するのが、停戦後のガザ地区を誰が、どのような枠組みで統治するのかという問題です。ここには大きく3つの争点があります。
1. 新しいガザ政府の枠組み
停戦後、ガザ地区でどのような「新政府」や行政機構を作るのかは、和平プロセスの成否を左右します。
- 治安を誰が担うのか
- 選挙や代表制をどこまで導入できるのか
- 外部の関与(周辺国や国際機関)をどの程度認めるのか
これらの設計をめぐって、イスラエル側、ハマス、そして他のパレスチナ勢力の思惑は必ずしも一致していません。妥協点を見いだせなければ、停戦後の政治空白が新たな不安定要因になりかねません。
2. 経済再建という重い課題
約2年に及ぶ武力衝突で、ガザ地区の経済やインフラは深刻な打撃を受けてきました。王氏は、停戦を持続させるためには「人々の暮らしを回復させる具体的な経済再建」が不可欠だと見ています。
- 住宅や学校、病院などの復旧
- 電力・水道・通信といった基礎インフラの再整備
- 若年層の雇用や教育機会の確保
これらには巨額の資金と時間が必要です。復興が遅れれば、「停戦しても生活が良くならない」という不満が高まり、再び緊張が高まるリスクもあります。
3. ハマスの今後の位置づけ
もう一つの大きな論点が、停戦後にハマスをどのように位置づけるかという問題です。王氏は、ハマスの役割や武装組織としての在り方をめぐる議論が、和平プロセスの行方を大きく左右すると指摘しています。
ハマスがどの程度ガザの統治に関与するのか、あるいは他の勢力に役割を譲るのかによって、イスラエル側や周辺国の反応も変わってきます。この整理がつかないまま停戦期間が終われば、緊張が再燃する可能性も否定できません。
イスラエル国内政治と停戦の承認
停戦合意は、イスラエル側の内政にも大きな影響を与えています。王氏によれば、イスラエル内閣の中には合意に慎重、あるいは反対する声も残っていますが、それでも最終的には停戦が承認される見通しです。
ただし、たとえ今回の第1段階が承認されても、「第1段階が終わった瞬間に、再び戦闘が再開されるのではないか」という懸念は消えていません。軍事作戦の完遂を求める強硬な声と、人道的な状況改善を重視する声が、今後も国内でせめぎ合うとみられます。
国際社会に求められる「見守り」と「支援」
王氏は、国際社会が停戦プロセスを監視し、必要な支援を提供することが、今回の合意を実効性あるものにする鍵だと強調します。
- 停戦違反の監視や事実確認を行う仕組みづくり
- 人道支援と復興支援の安定的な提供
- 対話の仲介役としての外交的な働きかけ
こうした関与は、当事者の自発的な行動を妨げるものではなく、「合意を守るインセンティブ」を高める役割を果たします。停戦が一時的なものに終わるのか、それとも長期的な政治対話への入口となるのかは、国際社会の姿勢にも左右されます。
「一時停止」の先をどう描くか
今回のガザ停戦は、約2年続いた戦闘に「一時停止」のボタンを押したにすぎません。その先にあるのは、統治、新しい政治枠組み、経済再建、ハマスの位置づけなど、簡単には解けない課題ばかりです。
2025年12月の今、私たちが見ているのは「終わり」ではなく、「和平の可能性に向けた長い道の入り口」に近いものと言えるでしょう。停戦が繰り返し破られてきた歴史を踏まえれば、過度な楽観は禁物です。しかし同時に、今回の合意をどう支え、どう次のステップにつなげるかを考えることが、国際社会に生きる私たち一人ひとりに問われています。
Reference(s):
cgtn.com








