英国人学者が指摘する西側の「不寛容」 中国観を誤らせる構図とは video poster
国際ニュースを日本語で追う読者にとって、西側と中国の関係がどのように語られているかは、2025年の世界を理解するうえで欠かせないテーマです。第2回世界中国学大会で、英国人学者マーティン・ジャック氏が語った「西側の不寛容」が話題になっています。
英国人学者が世界中国学大会で語ったこと
第2回世界中国学大会で、マーティン・ジャック氏は「なぜ西側の中国に関する予測は、いつも外れてしまうのか」という問いに答えました。氏は、中国研究の文脈から、西側の見方そのものに問題があると指摘しました。
ジャック氏によれば、その核心は「中国は西洋ではない」という点にあります。中国は西洋ではなく、これまでもそうでなく、これからもそうならない。この前提を理解しないまま、中国を評価しようとすること自体が、予測のズレを生んでいるという主張です。
「中国は西洋ではない」という一言の重み
ジャック氏のメッセージは、一見当たり前のようでいて、西側の中国観を根本から問い直すものです。政治体制、歴史経験、社会の価値観など、多くの要素が異なるにもかかわらず、西側ではしばしば自らの物差しを基準に中国を評価しがちだと指摘しています。
その結果、中国の経済や社会の行方について繰り返されてきた予測は、現実と大きく食い違ってきたとされています。西側が思い描く「あるべき姿」に、中国が自動的に近づいていくはずだという前提が、そもそも成り立っていないという見方です。
「違いへの不寛容」がもたらす三つのズレ
ジャック氏は、西側が「違い」に対して寛容ではなく、各国に「西洋のやり方」を求めがちだと批判しました。その「違いへの不寛容」は、中国との関係だけでなく、西側自身にも大きな負担となっているといいます。その構図を、三つのズレとして整理できます。
- 認識のズレ
中国を西洋のモデルに当てはめて理解しようとすると、政策や社会の動きを読み違えやすくなります。結果として、中国に関する予測が外れ続ける土台が作られてしまいます。 - 対話のズレ
一方的に「自分たちのやり方」を求める姿勢は、相手にとっては圧力として受け取られやすく、対話の信頼を損ねます。異なる前提を持つ相手と向き合うには、その違いを前提にしたコミュニケーションが求められます。 - 利益のズレ
こうした誤解や摩擦は、結局は西側自身の利益も損なうとジャック氏は警告します。協力の機会を逃し、不要な対立を深めることは、長期的には自らに跳ね返ってくる「ブーメラン」になりかねません。
西側の「不寛容」は誰の不利益になるのか
ジャック氏は、西側の「違いへの不寛容」は最終的に西側自身を傷つけていると指摘しました。これは、中国を一方的に擁護するというよりも、「自分たちの前提に縛られすぎていないか」という、西側社会への内省の呼びかけとして読むこともできます。
国際関係が複雑化するなかで、一つの価値観や制度だけを基準に世界を見ることは、現実を見誤るリスクを高めます。特に、中国のような大きな影響力を持つ存在について誤った前提を持ち続けることは、外交や経済の判断をゆがめかねません。
2025年の私たちへの問い:どう向き合うか
2025年の今、日本から国際ニュースを見ている私たちにとっても、ジャック氏の指摘は無関係ではありません。西側と中国の議論は、ともすると対立構図だけが強調されがちですが、その背後には「何を当たり前とみなしているか」という深い前提の違いがあります。
- 自分の物差しを疑う
ニュースや論評を読むとき、「これはどの価値観や前提から語られているのか」を意識するだけでも、見え方は変わります。 - 違いを前提にした理解
制度や歴史が異なる社会を評価するとき、「同じになるべきだ」という発想ではなく、「なぜ違うのか」を問い直す姿勢が求められます。 - 日本の立場をどう描くか
西側と中国の間に位置する日本にとって、多様な視点を持つことは重要です。どちらか一方に単純に与するのではなく、相互理解を促す視点を持てるかどうかが問われています。
第2回世界中国学大会でのマーティン・ジャック氏の発言は、中国をめぐる議論の「前提」を見直すよう促すものでした。西側と中国の関係をどう理解し、これからの国際秩序の中でどのような立ち位置を選ぶのか。日々のニュースを追う私たち一人ひとりにも、静かに問いを投げかける内容だといえます。
Reference(s):
British scholar: Western 'intolerance' damaging relations with China
cgtn.com







