中国が核融合エネルギーで世界と連携 成都でIAEA会議、協力の最前線 video poster
国際原子力機関(IAEA)の核融合エネルギー会議が今年10月、中国・四川省成都で閉幕し、IAEAトップが中国の協力姿勢を高く評価しました。脱炭素とエネルギー安全保障が課題となる今、核融合をめぐる国際ニュースは、私たちの暮らしとも無関係ではありません。
成都で開かれたIAEA「第30回核融合エネルギー会議」とは
今年10月18日、IAEAの「第30回核融合エネルギー会議」が中国南西部の四川省成都で閉幕しました。この会議は、核融合エネルギーの研究者や政策担当者が集まり、最新の技術動向や国際協力の在り方を議論する場です。
今回は、中国がホスト役を務めたことで、同国の研究開発や国際協力の取り組みが自然と注目を集めました。会場となった成都は、ハイテク産業の集積地としても知られ、エネルギー技術とイノベーションを象徴する都市の一つになりつつあります。
IAEAトップが評価した「中国の協力姿勢」
会議の場で、IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、中国が他国と協力しながら核融合エネルギー技術の進展に貢献している点を評価しました。単独での開発ではなく、国際社会と歩調を合わせて進もうとする姿勢に注目が集まっています。
具体的には、次のような協力の形が考えられます。
- 研究データや知見の共有
- 研究者・技術者の交流や共同研究
- 国際的な実験プロジェクトへの参加
- 将来の安全基準やルールづくりへの貢献
こうした取り組みを通じて、中国は世界各国とともに「核融合を実用レベルに近づける」ための一端を担っているといえます。
なぜ核融合エネルギーが重要なのか
今回の国際ニュースの背景には、「核融合エネルギー」が持つ潜在力があります。核融合とは、太陽が光と熱を出している仕組みと同じ現象を地上で再現し、エネルギーとして利用しようという試みです。
しばしば、現在の原子力発電で使われる「核分裂」と比べて、次のような特徴があると説明されます。
- 燃料が海水中の水素同位体などで、理論的にはほぼ無尽蔵
- 運転時に二酸化炭素を排出しないとされ、脱炭素に貢献し得る
- 原理的には、暴走しにくく、安全性の面で利点があると期待されている
一方で、極めて高温のプラズマを制御するなど技術的ハードルは依然として高く、「夢のエネルギー」と呼ばれながらも、本格的な実用化には時間がかかると見られています。そのためこそ、各国が長期的な視野で協力し合うことが欠かせません。
中国の参加が国際協力にもたらす影響
成都でのIAEA会議で浮かび上がったのは、中国が核融合エネルギー分野で「世界と協調していく」姿勢を強調しているという点です。このことは、国際協力にどのような影響を与えるのでしょうか。
1. 研究スピードの加速
核融合エネルギーの開発には、巨大な実験設備と長期間にわたる試行錯誤が必要です。中国を含む複数の国が協力することで、検証すべきアイデアや実験結果が共有され、同じ失敗を繰り返さずに済む可能性が高まります。
国境を越えた知識の循環が活発になれば、核融合の実現に向けた「時間」が短縮されることが期待されます。
2. 費用とリスクの分散
核融合は、開発コストもリスクも非常に大きい分野です。一国だけで完結させようとすると、財政負担が重くなり、政治や経済情勢の変化で計画が中断されるリスクも高まります。
中国を含む複数の国が共同で進めれば、費用とリスクを分け合いながら、より安定的に長期プロジェクトを継続しやすくなります。
3. 将来のルールづくりへの参加
核融合エネルギーが実用化に近づけば、安全基準や運用ルール、技術の共有や移転をどう行うかといった「国際的なルールづくり」が不可欠になります。
今回のように、中国がIAEAの枠組みの中で議論に積極的に参加することは、将来のルールが特定の国だけで決められるのではなく、より多くの国と地域の視点を踏まえた形になることにつながる可能性があります。
国際協力の鍵は「信頼」と「開かれた科学」
核融合エネルギーのような長期プロジェクトでは、「政治状況は変わっても、科学協力は続けられるか」が試されます。信頼関係がなければ、重要なデータや技術は共有されません。
成都でのIAEA会議は、各国の研究者や関係者が直接顔を合わせ、互いの進展や課題を共有し、「どこまで開かれた形で協力できるか」を確認する場になったと見ることができます。
今後も、次のような点が国際協力の鍵になりそうです。
- データや研究成果をどの範囲まで公開・共有するか
- 若手研究者や技術者の国際的な交流をどれだけ促進できるか
- 安全性と平和利用を担保しつつ、過度な閉鎖性を避けられるか
これから私たちが注目したいポイント
核融合エネルギーの実用化は、まだ「一朝一夕」ではありません。しかし、今年10月の成都会議とIAEA事務局長の発言は、「世界が協調して核融合に取り組む」流れの中で、中国が重要な役割を担いつつあることを改めて示しました。
今後、私たちがニュースを追ううえで意識しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 各国がどの程度、長期的な核融合開発へのコミットメントを維持できるか
- 中国を含む国々の協力が、アジアや世界のエネルギー安全保障にどう影響するか
- 核融合の恩恵が特定の国だけでなく、多くの国と地域に公平に行き渡る仕組みを作れるか
エネルギーや気候変動のニュースは、ともすると専門的で遠い話に感じられます。しかし、将来の電力料金、産業競争力、そして環境負荷に直結するテーマでもあります。成都でのIAEA会議をきっかけに、核融合エネルギーと国際協力の行方を、私たち自身の暮らしと重ね合わせながら見ていきたいところです。
Reference(s):
China collaborating in global drive to harness fusion energy
cgtn.com







