APEC2025とプトラジャヤ・ビジョン2040 マレーシアアンカーが語るAIとグリーン転換 video poster
2020年のAPEC会合で打ち出されたプトラジャヤ・ビジョン2040が、2025年の今、AI革命とグリーントランジション(脱炭素へ向けた構造転換)を考えるうえで改めて注目されています。マレーシアのニュース専門チャンネル、ベルナマTVのアンカー、ナディア・ハニム・アブドゥル・ラティフ氏は、このビジョンがアジア太平洋のAIと環境政策の方向性に重要な指針を与えると語り、自国マレーシアがAPECの場で解決策を示す側として存在感を高めていると説明します。
プトラジャヤ・ビジョン2040とは
プトラジャヤ・ビジョン2040は、2020年にマレーシアで開かれたAPEC会合で打ち出された長期構想です。2040年を見据え、開かれた、ダイナミックで、強じんかつ平和なアジア太平洋共同体の実現を掲げています。
アジア太平洋の将来像を共有するための基本的な枠組みとして位置付けられており、現在もAPECメンバーの議論の出発点となり続けています。
AI革命とグリーントランジションの羅針盤に
ナディア・ハニム・アブドゥル・ラティフ氏は、このプトラジャヤ・ビジョン2040を、AI革命とグリーントランジションに向き合ううえで欠かせない指針だと位置付けます。AI革命(人工知能技術が社会や産業に大きな変化をもたらす動き)やグリーントランジション(脱炭素に向けた経済・社会の転換)は、アジア太平洋の各国・地域が同時に直面している大きな課題です。
同氏によれば、ビジョンが掲げる開かれた、ダイナミック、強じん、平和というキーワードは、急速に進むAIの活用や、脱炭素社会への移行を進める際にも、そのまま当てはまります。例えば次のように読み解くことができます。
- 開かれたアジア太平洋共同体:AIや環境技術に関する知見や経験を、アジア太平洋全体で共有していく姿勢
- ダイナミックな地域:新しいビジネスやイノベーションを生み出し続ける柔軟性
- 強じんな経済と社会:気候変動や技術的ショックに耐えられる仕組みづくり
- 平和な環境:地域の安定があってこそ、長期的な投資や技術協力が進むという発想
APEC2025をめぐる議論が進むなかで、こうした視点は、AIの国際的なルールづくりや、グリーントランジションに向けた協力の方向性を考える際の共通言語になり得ます。
ソリューション・プロバイダーとしてのマレーシア
ラティフ氏は、マレーシアがAPECの議論の場で、従来のように課題や支援ニーズを訴えるだけでなく、解決策を提示するソリューション・プロバイダーとしての役割を強めてきたと説明します。
アジア太平洋のなかでマレーシアは、先進的なメンバーと新興のメンバーの中間に位置する存在です。この立ち位置をいかし、AIやグリーントランジションに関して次のような橋渡し役を目指していると考えられます。
- 先進メンバーが持つ技術や資金と、新興メンバーのニーズを結びつける
- 中規模経済として、自国の経験に基づく現実的な政策アイデアを共有する
- APECメンバー間の対話を促し、共通の方向性や合意を探るプロセスに積極的に関わる
プトラジャヤ・ビジョン2040を掲げたマレーシアが、自らもその実践者として振る舞おうとしている、という姿が浮かび上がります。
日本とアジア太平洋にとっての意味
日本にとっても、APEC2025とプトラジャヤ・ビジョン2040は、AI戦略や脱炭素政策をアジア太平洋の枠組みの中で位置付け直すきっかけになり得ます。国内だけでなく、周辺の国や地域とどのように協力していくのかを考えるうえで、共通の長期ビジョンを持つことは重要です。
今後、日本の読者や実務者が注視したいポイントとして、例えば次のようなテーマが挙げられます。
- AIの倫理やデータ流通に関するAPECでの議論がどの方向に進むか
- グリーントランジションに向けた技術協力や人材交流の動き
- マレーシアを含む中規模経済がどのような提案や役割を打ち出すか
2020年に生まれたプトラジャヤ・ビジョン2040は、2025年の今も、アジア太平洋の将来像をめぐる議論の土台であり続けています。AIとグリーントランジションという新しい課題に向き合ううえで、このビジョンをどう具体的な行動につなげていくのか。APEC2025をめぐる動きは、日本を含む地域全体の進路を考えるうえで、引き続き注視したいポイントだと言えるでしょう。
Reference(s):
APEC 2025: Malaysian anchor discusses role of Putrajaya Vision 2040
cgtn.com








