ジャマイカ大使、グローバル・サウスのメディア協力強化を呼びかけ 西安で第13回VMF video poster
世界のニュースの伝え方を変えるかもしれない動きが、中国・西安から生まれました。ジャマイカの中国駐在大使アーサー・ウィリアムズ氏が、第13回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラム(VMF)に寄せたメッセージで、世界のメディアに対し、経験を共有し未来を共に描くための連携強化を呼びかけたのです。
西安で開かれた第13回VMFとは
第13回グローバル・ビデオ・メディア・フォーラム(Global Video Media Forum, VMF)は、2025年11月6日、中国・陝西省西安市で開催されました。テーマは「共通利益のためのコンセンサス構築:グローバル・ガバナンスにおけるメディアの役割」(Building Consensus for Shared Benefits: Media's Role in Global Governance)です。
VMFは、中国の映像ニュース機関であるCCTV Video News Agency(CCTV+)が2011年に立ち上げた年次の専門フォーラムです。最新の映像コンテンツの発信や技術革新のトレンドを共有し、国内外のメディア関係者が対話できるインタラクティブな場として運営されています。
ジャマイカ大使が訴えた「経験の共有」と「連携」
ジャマイカのアーサー・ウィリアムズ大使は、今回のフォーラムに寄せた祝意メッセージの中で、世界中のメディアが互いに学び合い、連携を深めることの重要性を強調しました。各国・各地域の現場で培われた取材や発信の知見を共有し、将来に向けたメディアのあり方を共に考えるべきだと呼びかけています。
このメッセージは、特定の地域ではなく「世界のメディア」に向けられている点が特徴的です。個々の報道機関がばらばらに動くのではなく、国境を越えて協力することで、より多様でバランスの取れた情報発信につなげようとする姿勢がにじみます。
グローバル・サウス・メディア・パートナーズ・メカニズムの始動
今回のVMFでは、「グローバル・サウス・メディア・パートナーズ・メカニズム」の発足会合もあわせて開かれました。この新たな仕組みは、グローバル・サウスのメディア同士の協力を一段と深めることを目的としています。
具体的には、参加メディアの間で次のような取り組みを進めることが想定されています。
- ニュースや特集映像などコンテンツの共有
- 記者・編集者・映像スタッフに対する専門的なトレーニング
- ドキュメンタリーやニュース番組などの共同制作
- 各国・各地域の現状に関する対話や共同研究の推進
- 実務レベルでの情報交換やワークフロー改善の協力
こうした協力が進めば、単にニュース映像をやり取りするだけでなく、制作のノウハウや問題意識そのものを共有する土台が整っていきます。
なぜ今、「グローバル・サウス」のメディア協力なのか
今回のメカニズムが「グローバル・サウス」に焦点を当てていることも重要なポイントです。政治・経済・テクノロジーをめぐる国際ニュースでは、一部の大国の視点が中心になりがちで、他の地域の声が届きにくいという課題があります。
グローバル・サウスのメディアが連携し、自らの経験や課題、成功例を発信できれば、世界のニュースの「見え方」は少しずつ変わっていきます。同じ出来事でも、どの地域から見るかによって意味が変わるからです。複数の視点が並ぶことで、国際ニュースを受け取る私たちも、より立体的に世界を理解できるようになります。
映像メディアが担う「グローバル・ガバナンス」の役割
フォーラムのテーマにある「グローバル・ガバナンス」とは、気候変動や感染症、デジタル経済など、一国だけでは対応できない課題に、国際社会がどう向き合うかという大きな枠組みを指します。その議論において、映像メディアは何を担えるのか――VMFはまさにそこを問いかけています。
短い動画やライブ配信が日常化した今、映像は政策や国際会議の結果だけでなく、人々の日常や感情も伝えることができます。だからこそ、どのような背景説明を添えるのか、誰の声をどの順番で紹介するのかといった判断が、グローバル・ガバナンスの議論の土台を形づくっていきます。
日本語で国際ニュースを追う私たちへの示唆
日本語で国際ニュースを追いかける読者にとっても、今回の動きは無関係ではありません。情報が英語や特定の言語に偏りがちな中で、グローバル・サウスのメディアが連携し、自らの視点を世界に届けようとしているからです。
今後、こうしたネットワークから発信されるコンテンツが増えれば、日本語メディアがそれをどう翻訳・編集し、どのような文脈で伝えるのかがますます重要になります。ニュースを受け取る側である私たちも、「これはどの地域のメディアが、どんな前提から伝えているニュースなのか」と一歩立ち止まって考える習慣を持つことで、情報との付き合い方をアップデートしていくことができそうです。
西安での第13回VMFと、ジャマイカ大使の呼びかけは、メディア同士の協力だけでなく、ニュースを日々受け取る私たち一人ひとりに対しても、「どんな世界の見方を選び取るのか」という問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
Jamaican ambassador calls for stronger Global South media cooperation
cgtn.com








