中国宇宙ステーションに初のスペースオーブン 宇宙で焼きたてチキン video poster
中国の宇宙飛行士たちが、宇宙で初めて「家の味」に近い本格的な食事を楽しみました。中国の宇宙ステーションに新しく導入されたオーブンを使い、Shenzhou-20とShenzhou-21のクルーがチキンウイングとステーキを焼き上げたのです。国際ニュースとしては小さな一歩に見えますが、「宇宙でどう暮らすか」という大きな問いに直結する出来事でもあります。
400キロ上空の「スペースキッチン」で起きたこと
今回の舞台は、地上からおよそ400キロ上空を周回する中国の宇宙ステーションです。そこに新たに設置されたのが、熱風で食材を加熱するタイプのオーブンでした。この「スペースオーブン」によって、クルーは宇宙空間でチキンウイングとブラックペッパー風味のステーキを調理しました。
完成した料理は、きつね色にこんがりと焼き上がったチキンウイングと、香辛料の効いたステーキ。しかもオーブンには浄化システムが内蔵されており、宇宙ステーション内部に匂いが充満しないよう工夫されています。閉ざされた空間で作業する宇宙飛行士にとって、匂いのコントロールは快適さと集中力を保つうえで重要なポイントです。
ポイントで整理:今回のニュースの要点
- Shenzhou-20とShenzhou-21のクルーが、中国の宇宙ステーションでオーブン調理に成功
- メニューはチキンウイングとブラックペッパー味のステーキという「家の味」に近いメニュー
- 熱風オーブンと浄化システムにより、匂いを抑えつつ本格的な焼き料理を実現
- 「生き延びる」だけでなく、「快適に暮らす」宇宙飛行へと一歩前進
なぜ「家のような食事」が宇宙飛行士に大切なのか
宇宙飛行士の食事というと、これまではパウチやレトルト、フリーズドライ食品といった「機能性重視」のイメージが強くありました。しかし、長期滞在が当たり前になりつつある現在、栄養だけでなく「心の満足感」も重要なテーマになっています。
今回のように、地上でもおなじみのチキンウイングやステーキを、焼き立ての状態で味わえることには、次のような意味があります。
- ストレスの軽減:慣れ親しんだ味は、緊張状態の多い任務中に心を落ち着かせる効果が期待できます。
- チームの一体感:「みんなで温かい料理を囲む」体験は、チームワークを高めるきっかけになります。
- 長期ミッションへの備え:将来的な長期滞在や深宇宙探査を見据えると、「どう快適に暮らすか」は欠かせない要素です。
宇宙開発は、ロケットや衛星といったハードな技術だけでなく、「宇宙での生活の質」をどう高めるかというソフト面の工夫にも広がり始めています。今回のスペースオーブンは、その象徴のひとつと言えそうです。
中国の宇宙開発と「暮らし」のアップデート
2025年現在、中国の宇宙ステーションは継続的な有人運用が続き、Shenzhou-20やShenzhou-21のクルーのように、複数のミッションが重なり合う運用段階に入っています。そこに「キッチン家電」に近いオーブンが導入されたことは、宇宙開発の視点が次の段階に進みつつあることを示しています。
これまでの宇宙ステーションでは、
- 限られた水と電力をどう節約するか
- 食料をいかに長期保存するか
- 無重量環境で安全に調理・飲食するか
といった課題が中心でした。そこに「匂いを抑制しつつ、焼き料理を楽しむ」という新しい要素が加わったことで、宇宙での暮らしが一歩「日常」に近づいたと言えます。
国際ニュースの観点から見ると、各国の宇宙機関が競い合うのは必ずしも派手な技術だけではありません。宇宙飛行士の健康やメンタルケア、生活環境の改善といった分野でも、静かな競争と協調が進んでいます。中国の今回の取り組みも、その流れの中に位置づけることができます。
これからの宇宙食はどう変わる?
宇宙ステーションでオーブン料理が実現したことで、今後の宇宙食にはどんな変化が考えられるでしょうか。現時点で具体的なメニューや計画が公表されているわけではありませんが、方向性としては次のような可能性が見えてきます。
- メニューの多様化:チキンやステーキに続き、魚料理やパンなど、焼き調理を生かした宇宙食が増える可能性があります。
- 文化の違いを超えた「宇宙の食卓」:各国のクルーがそれぞれの「家の味」を宇宙で再現する日も、そう遠くないかもしれません。
- 地上への技術還元:匂いを抑えつつ高温調理ができる技術は、家庭用や業務用の調理機器として、地上でも応用される余地があります。
私たちが普段、当たり前のように囲んでいる食卓は、実は高度な技術と豊かな環境に支えられています。400キロ上空の宇宙ステーションでチキンウイングとステーキが焼き上がったというニュースは、「人がどこで、どう暮らしていくのか」という長期的なテーマを静かに問いかけているようにも見えます。
読み手への問いかけ:宇宙で暮らす未来をどうイメージする?
今回の中国の試みは、「宇宙に行く」から「宇宙で暮らす」への転換の一場面として捉えることができます。もし自分が宇宙ステーションに半年間滞在するとしたら、どんな料理があると心強いでしょうか。どんな「日常の一コマ」があれば、地球から離れていても安心できるでしょうか。
国際ニュースを追うとき、ロケットの打ち上げや新型衛星といった大きなトピックに目が行きがちですが、こうした「暮らしのアップデート」に注目してみると、宇宙開発がぐっと身近なものとして感じられます。SNSでこのニュースをシェアしながら、自分にとっての「宇宙での一皿」について語り合ってみるのもおもしろいかもしれません。
Reference(s):
Astronauts grill chicken and steak in China's first space oven
cgtn.com








