米政府閉鎖が欧州の米軍基地にも波及 イタリアなどで給与未払い video poster
40日目に入った米連邦政府の一部閉鎖が、国内の公的サービスだけでなく、ヨーロッパにある米軍基地の運営にも重くのしかかっています。イタリアやポルトガル、ドイツでは、基地で働く現地スタッフの給与が滞り、各国政府が一時的に立て替え払いを行う異例の事態となっています。給与未払いが長引けばストライキなどの労働行動に発展する可能性も指摘されており、国際ニュースとしても注目が高まっています。
欧州の米軍基地で何が起きているのか
今回のアメリカ政府閉鎖は、ワシントンの政治対立が発端ですが、その影響は大西洋を越えて欧州の米軍基地にも及んでいます。アメリカ軍はイタリアやドイツ、ポルトガルなど各地に基地を構え、現地で採用したスタッフに支えられて運営されています。
ところが、政府閉鎖により予算の執行が滞り、基地で働く現地スタッフへの給与支払いが遅れる事態が発生しました。とくにヨーロッパでは、基地周辺の地域経済にとっても、これらの雇用は重要な収入源となっているだけに、影響は無視できません。
現地スタッフの給与未払い、その規模
影響が最も具体的に表面化しているのがイタリアです。イタリアは、アヴィアーノ空軍基地とヴィチェンツァの陸軍基地で働く現地スタッフ、およそ2,000人について、10月分の給与が支払われていないとして、アメリカ側に早期の解決を強く求めています。
同様の問題は、ポルトガルやドイツの米軍基地にも広がっています。両国では、数千人規模にのぼる基地職員の生活を守るため、政府が一時的に給与を肩代わりする措置を始めました。
- イタリア:アヴィアーノ、ヴィチェンツァの基地で約2,000人が給与未払いの影響
- ポルトガル:基地職員の給与を政府が一時的に立て替え
- ドイツ:同様に数千人規模の基地職員を対象に、政府が暫定的に支払いを実施
本来は米連邦政府が負担すべき給与を、受け入れ国の政府が肩代わりする構図となっており、この状態が長期化すれば各国の財政負担や政治的な議論にもつながりかねません。
なぜ米政府閉鎖が海外基地の給与に直結するのか
アメリカの政府閉鎖とは、予算案が成立せず、一部の連邦政府機関の業務や支払いが停止される状態を指します。今回のようなアメリカ政府閉鎖では、軍の中核的な任務は継続されるものの、文民スタッフや一部の支払いが対象となりやすいとされています。
ヨーロッパの米軍基地で働く現地スタッフの給与も、米国の予算に基づいて支払われています。そのため、予算執行が止まると、海外基地であっても給与が期限どおりに支払えなくなるケースが出てきます。今回のように、受け入れ国の政府が一時的に立て替える対応は、あくまで緊急避難的な措置といえます。
労働組合が訴える「生活の限界」
こうした状況のなか、労働組合は「このままでは生活が成り立たない」と強い懸念を示しています。給与の未払いや遅配が続けば、家賃や光熱費といった固定費の支払いにも支障が出るためです。
ヨーロッパの基地で働く現地スタッフは、地域社会に根ざした雇用の担い手でもあります。労働組合は、未払いが続くようであれば、ストライキや業務停止などの労働行動も選択肢に含めると警告しており、現場の不満と不安は高まりつつあります。
イタリア・ポルトガル・ドイツの対応と課題
イタリアは、アメリカに対し「迅速な問題解決」を求める一方、自国の労働者を守る立場から、外交ルートを通じた働きかけを強めています。ポルトガルとドイツも、給与の立て替えによって短期的な混乱を避けようとしているものの、いつまでこの対応を続けられるかは見通せません。
各国に共通する課題は次の三つです。
- 立て替え払いが長期化した場合の財政負担
- 米側からの後払いがどのタイミングで、どのような形で行われるのかという不透明さ
- 基地周辺の雇用と地域経済への影響
政府閉鎖が続く限り、受け入れ国は「自国の労働者を守る責任」と「同盟関係への配慮」の間で難しい判断を迫られることになります。
日本を含む同盟国への含意
今回の欧州での給与未払い問題は、日本にとっても無関係ではありません。日本にも在日米軍基地が存在し、基地の運営には多くの現地スタッフが関わっています。今後、政治的な対立が長引くたびに、海外基地の運営や現地雇用が揺さぶられる可能性があることを、今回の事例は示しています。
安全保障の観点だけでなく、同盟国としての信頼性や、基地が地域社会にもたらす雇用と経済への影響をどうバランスさせるかは、日本を含む各国に共通する課題です。アメリカ政府閉鎖のような国内政治の停滞が、同盟国の現場にどのように波及するのかを、あらためて考えさせられます。
これから何が争点になるのか
今後の焦点は、大きく三つに整理できます。
- アメリカ国内で政府閉鎖がいつ、どのような形で解消されるのか
- 未払いとなっている現地スタッフの給与が、どこまで遡って、どのような方法で支払われるのか
- 今回の経験を受け、受け入れ国や米軍が将来の同様の事態にどう備えるか
40日目に入ったアメリカ政府閉鎖は、一見するとワシントンの政治ニュースに見えますが、実際にはヨーロッパの米軍基地で働く人々の暮らし、そして同盟国間の信頼のあり方にまで影響を広げています。今後の交渉の行方と各国政府の対応は、日本を含む国際社会にとっても注視すべきテーマだといえるでしょう。
Reference(s):
U.S. shutdown impacts overseas bases as Europe pushes for unpaid salaries
cgtn.com








