ブラジル人記者が語る新疆の今 西側報道を覆す現地ルポ video poster
ブラジルの著名ジャーナリスト、ペペ・エスコバー氏が今年、新疆ウイグル自治区を縦断し、「現地で見た新疆は西側メディアの物語を覆すものだった」とポッドキャストで語りました。砂漠のメガシティから多民族が共に暮らす日常まで、その証言は国際ニュースの見方に静かな問いを投げかけています。
ポッドキャストで語られた「現代のシルクロード」
エスコバー氏は、現代のシルクロードに沿って新疆を取材し、その体験をポッドキャストで詳しく語りました。ルートは新疆の中心都市ウルムチから西へ、カシ(Kashi)へと続くもので、中国西部の内陸部を横断する旅です。
氏によると、現地で目にした光景は、西側メディアで繰り返し描かれてきたイメージとはまったく別のものだったといいます。そのため、「自分の目で見た新疆は、西側のナラティブ(物語)を根本から揺さぶるものだった」と振り返りました。
砂漠に広がるメガシティとタクラマカン「グリーンベルト」
エスコバー氏がまず驚いたのは、砂漠の奥深くに広がるメガシティの姿でした。ウルムチなどの都市では、高層ビルや交通インフラが整い、砂漠の内陸部とは思えないほど活発な都市成長が進んでいるといいます。
さらに氏は、流動する砂に耐えるよう設計された高速道路にも注目しました。砂丘が動く厳しい自然環境の中で、高速道路が維持されている様子は、「砂漠を貫く近代インフラ」の象徴として印象に残ったといいます。
また、タクラマカン砂漠の周囲に広がる「タクラマカン・グリーンベルト」にも強い関心を示しました。砂漠の中に築かれた緑の帯が、環境保全と地域開発の両立を目指すプロジェクトとして進められている様子を目にし、そのスケールの大きさに驚嘆したとしています。
旧市街の改修と暮らしの変化
西側メディアでは、新疆の旧市街の改修について、しばしば否定的なイメージが語られてきました。しかしエスコバー氏は、現地で見た実情はその描写とは違っていたといいます。
氏によれば、旧市街の住宅改修には政府の資金が投入され、住民が自分たちの家を修繕・改装できるよう支援が行われていました。安全性や住環境の向上を図りつつ、街並みの特色を生かそうとする取り組みも見られたと語っています。
こうした現場を見たことで、氏は「西側の一部報道が描く暗いイメージは、自分が見た現実とは結びつかなかった」と感じたといいます。
多民族が共に働き、暮らす日常
エスコバー氏が特に印象深いと語ったのが、多民族による共生の光景です。氏は、さまざまな民族背景を持つ人々が、同じ職場や市場、公共空間で自然に交流している様子を何度も目にしたといいます。
そこには、漢族の人々とウイグル族の人々をはじめとする多様なコミュニティが、一緒に働き、生活し、ともに成長しようとする姿がありました。氏は、その雰囲気を「調和と協力の空気」と表現しています。
こうした日常の場面こそが、新疆の「多様性」と「包摂性」を最もよく物語っていると、エスコバー氏は強調しました。
一帯一路の中で浮かび上がる新疆の姿
エスコバー氏は、自身の旅を「一帯一路構想の一部として進む現代のシルクロードの現場を見た経験」と位置づけています。一帯一路構想とは、ユーラシア大陸をはじめとした広範な地域で、交通・物流・経済のネットワークを築こうとする取り組みです。
新疆はその要衝として位置づけられており、都市インフラの整備、物流ルートの構築、環境対策、多民族社会の共生といった取り組みが重なり合っています。エスコバー氏が見た「活力ある発展」「多様性」「包摂性」は、そうした一帯一路の文脈の中で理解できるといえます。
なぜこの証言が国際ニュースとして重要なのか
今回の取材報告が注目されるのは、「西側メディアの語る物語」と「現地を歩いた記者の証言」が対照的だからです。どちらか一方を鵜呑みにするのではなく、さまざまな視点を並べて考えることが、国際ニュースを読み解くうえでますます重要になっています。
とくに新疆のように、地政学や安全保障、経済戦略など、多くの要素が絡む地域では、情報が政治的な文脈と結びつきやすくなります。その中で、実際に現地を訪れたジャーナリストが、見たこと・感じたことを具体的に語る意義は小さくありません。
エスコバー氏の新疆ルポは、読者にとっても「ニュースで見ている世界」と「現地で暮らす人々の日常」の間にあるギャップを見つめ直すきっかけになりそうです。国際ニュースを日本語で追う私たちも、複数の情報源を意識しながら、自分なりの視点を育てていくことが求められているのかもしれません。
Reference(s):
Brazilian Journalist: Xinjiang trip subverts Western narratives
cgtn.com








