中国本土・山西省で甘柿が「大産業」に ライブ配信が変える農村ビジネス video poster
中国本土(中国)の山西省Linyi県で、甘柿の収穫シーズンとオンライン販売が同時に最盛期を迎えています。農家が畑からライブ配信で直接発信し、かつては素朴な「小さな甘柿」だったものが、デジタルの力で「大きな産業」へと育ちつつあります。
山西省Linyi県、甘柿シーズンとともに画面越しの「収穫祭」
2025年現在、中国北部の山西省Linyi県では、甘柿の収穫が本格化しています。実際の畑が忙しくなる一方で、スマートフォンやカメラに向かって話す農家の姿も増えています。
現地では、甘柿のオンライン販売が急速に伸びており、いまや重要な販売チャネルになっています。従来の市場や仲介業者に加えて、「画面越しの直販」が農家の新しい選択肢になっているのです。
農家が発信者に ライブ配信で「採ってその場で試食」
Linyi県の農家は、自分たちの果樹園をそのまま「スタジオ」に見立ててライブ配信を行っています。視聴者はスマートフォンの画面を通して、リアルタイムで収穫の様子を見ることができます。
- 樹になっている柿をカメラに近づけ、色つやや大きさを見せる
- その場で収穫し、切り分けて味や食感を言葉で伝える
- コメント欄で視聴者の質問に答え、産地や栽培方法の話をする
こうしたライブ配信は、単なる商品説明というより、視聴者が収穫体験に「参加している」ような感覚を生み出します。視聴中にボタンひとつで注文できる仕組みと組み合わさることで、甘柿はその場でどんどん売れていきます。
eコマース拠点が支える「小さな甘柿」から「大きな産業」へ
Linyi県では、こうしたオンライン販売を支えるためのeコマース拠点も整備されています。この拠点が、収穫後の甘柿の包装や物流を支え、産業全体の「背骨」の役割を果たしています。
農家から集まった甘柿は、拠点で選別・箱詰め・ラベル貼りなどの工程を経て、各地の消費者に発送されます。物流の仕組みが整ったことで、鮮度を保ったまま遠方に届けることができるようになり、販売の範囲は地元から一気に広がりました。
こうして、もともとは素朴な「小さな甘柿」だったものが、オンライン販売、包装、物流、情報発信までを含む「大きな産業」として再定義されつつあります。果物そのものの価値だけでなく、その周辺に生まれる仕事とサービスが、地域経済の新しい柱になりつつあるのがポイントです。
農村経済と暮らしに何が起きているか
Linyi県の取り組みは、農村の経済や暮らしにどのような変化をもたらしているのでしょうか。いくつかの視点から整理してみます。
- 販売チャネルの多様化:市場や仲買いだけに頼らず、農家が自ら消費者に直接販売できるルートが増える
- 価格交渉力の変化:オンラインでの需要が高まることで、農家側が主導的に価格を設定しやすくなる
- 雇用とスキルの拡大:収穫だけでなく、配信の準備、視聴者対応、包装・出荷など、新しい仕事が生まれる
同時に、ライブ配信で分かりやすく説明する話し方や、カメラや照明の工夫、オンラインでの問い合わせ対応など、これまで農村ではあまり必要とされてこなかったスキルも求められるようになります。農業とデジタル技術が組み合わさることで、「農業者に必要な力」そのものが変わりつつあると言えます。
日本の読者へのヒント:「産地の顔」が見える時代
日本でも近年、産地直送サイトやSNSを通じて、農家が自ら情報発信する動きが広がっています。中国本土の山西省Linyi県の甘柿の事例は、次のような示唆を与えてくれます。
- 画面越しでも「顔が見える農産物」は信頼されやすく、付加価値を生みやすいこと
- 規模の小さい地域資源でも、デジタルを活用すれば「大きな産業」に育つ可能性があること
- 農業が、若い世代にとっても新しいかたちのキャリアとして選びやすくなること
スマートフォン一つで世界とつながる今、甘柿のような身近な果物が、農村の未来をつくる主役になりつつあります。次にオンラインで農産物を購入するとき、「どこで、誰が、どのように届けているのか」を思い浮かべてみると、ニュースの見え方も、日々の買い物の意味も、少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
Sweet persimmons, sweeter profits: Farmers go live for bumper harvest
cgtn.com








