中国海軍の新型空母「福建」が就役後初の実戦的訓練を完了 video poster
2025年、国際ニュースの注目を集める中国人民解放軍海軍の新型空母「福建」が、就役後初となる実戦的な洋上訓練(実兵訓練)を完了し、海南島・三亜の軍港に帰港しました。本記事では、この訓練の内容と狙い、アジア太平洋の安全保障にとって何を意味するのかを、日本語で分かりやすく整理します。
空母「福建」打撃部隊、初の実兵訓練を終える
中国海軍によると、空母「福建」を中心とする打撃部隊は、三亜を拠点とする海軍港から出航し、就役後初めてとなる実戦的な洋上訓練を行いました。訓練を終えた部隊は、すでに三亜の軍港に帰港しています。
今回の編成には、空母「福建」に加え、護衛艦「延安」「通遼」を含む複数の随伴艦が参加しました。複数の水上艦と艦載機が連携する形で、あらかじめ計画された一連の海上訓練科目が実施されたとされています。
電磁カタパルトと艦載機運用を重点的に検証
注目されたのは、空母「福建」が搭載する電磁カタパルト(電磁式射出装置)と着艦回収システムの試験です。訓練では、さまざまなタイプの艦載機が繰り返し発艦と着艦を行い、空母と航空機との適合性や、飛行甲板での運用能力が検証されました。
訓練に投入された艦載機は、次のように伝えられています。
- ステルス戦闘機とされる「J-35」
- 改良型艦上戦闘機「J-15T」「J-15DT」
- 早期警戒機「KJ-600」
これらの艦載機が、電磁カタパルトによる射出と着艦フックを用いた着艦を多数回行うことで、「福建」の発着艦システムや甲板上の航空管制・機体移動など、実際の運用に直結する部分が集中的に試された形です。
空母「福建」は何が新しいのか
空母「福建」は、中国海軍の空母の中でも、新世代の技術を採用した艦として位置づけられています。とくに電磁カタパルトの採用は、従来のスキージャンプ方式とは大きく異なります。
- 発艦能力の向上:電磁カタパルトにより、より重い艦載機や燃料・兵装を満載した状態での発艦が可能になるとされます。
- 発艦ペースの高速化:連続して航空機を射出しやすくなることで、短時間に多くの機体を飛ばす「発艦サイクル」が改善される可能性があります。
- 運用の柔軟性:戦闘機だけでなく、早期警戒機など大型の艦載機の運用がしやすくなり、艦隊全体の情報収集・指揮能力を高める狙いもあります。
今回の訓練では、とくに早期警戒機「KJ-600」が参加した点がポイントです。空母から発進する早期警戒機は、広範囲の空と海を監視し、艦隊に情報を提供する役割を担うため、実戦的な運用試験は重要なステップと言えます。
なぜこの訓練が国際ニュースになるのか
2025年現在、アジア太平洋の海洋安全保障は、日本を含む多くの国にとって関心の高いテーマです。中国海軍の空母戦力、とくに新型空母「福建」のような大型空母の実戦的訓練は、地域の軍事情勢を考えるうえで無視できない動きとなっています。
今回の「実兵訓練」は、次の点で注目されます。
- 「試験航行」から「部隊運用」への移行:造船や基礎試験の段階を経て、実際の部隊として運用するための訓練フェーズに入ったことを示します。
- 艦隊としての総合力の確認:空母だけでなく、護衛艦や艦載機を含む打撃部隊全体の連携が試されたとみられます。
- 遠洋での行動能力への布石:三亜を拠点とする部隊の訓練は、南シナ海やさらに遠方の海域での活動能力向上とも関連づけて見られがちです。
もっとも、各国が海上戦力を近代化している現在、中国海軍の動きも、その一環として位置づけて冷静に見る必要があります。日本の読者としては、「どこまで運用能力が高まりつつあるのか」という点に注目すると、国際ニュースの流れが理解しやすくなります。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回の空母「福建」の洋上訓練をめぐって、日本として意識しておきたい論点を整理します。
- 技術面のトレンド:電磁カタパルトや新型艦載機の組み合わせは、今後の空母運用の一つの方向性を示しています。米海軍など他国海軍の動きと併せて見ることで、技術トレンドが見えてきます。
- 情報・警戒監視能力の強化:早期警戒機の運用が本格化すると、空母打撃部隊の「目」と「耳」が強化され、周辺海域の状況把握能力が高まります。
- 地域の安定との関係:各国が軍事力を増強する中で、いかにして偶発的な衝突を避け、対話や信頼醸成を進めるかが、今後のアジア太平洋にとって重要な課題です。
これからの焦点:運用の成熟度と国際環境
空母戦力は、艦そのものが完成し就役しただけでは十分とは言えず、艦載機パイロット、甲板要員、艦隊司令部など、多数の人員と組織が熟練した連携を身につける必要があります。今回のような実戦的訓練は、そのための長期的プロセスの一部です。
今後は、
- 発着艦回数の増加や多様な気象条件での訓練
- 他の水上艦・潜水艦や陸上部隊との合同訓練
- 長期の遠洋航海や多国間演習への参加
といった段階が重ねられていくと見られます。国際ニュースを追ううえでは、「空母が完成したかどうか」だけでなく、「どの程度、実際に運用できているのか」という視点で、今後の報道を見ていくことが重要です。
2025年の時点で、空母「福建」の就役後初の実戦的洋上訓練が完了したことは、中国海軍の空母運用が新たな段階に入りつつあることを示すサインと言えます。アジア太平洋の安全保障環境を理解するうえで、その動きに注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
Aircraft carrier Fujian completes first live-force training at sea
cgtn.com








