中国のグリーン電力はなぜAI競争のカギになるのか video poster
AIをめぐる国際競争が激しさを増すなか、中国のグリーン電力がどこまで競争力の源泉になり得るのかが注目されています。2025年現在、この問いに対してヒントを与えているのが、エネルギーとクリーン空気研究センター(CREA)の主任アナリストで共同創設者でもあるラウリ・ミルヴィルタ氏の見方です。
ミルヴィルタ氏はCGTNのインタビューで、AIと新たな電力システムを結びつける「競争のロジック」を説明し、中国のグリーンエネルギーの強みがAI競争にどのように影響するかを語りました。
技術そのものより「どれだけ使われるか」が重要に
ミルヴィルタ氏によると、AIとグリーン電力の価値は、技術や設備そのものではなく、次のような点にあります。
- どれだけ素早く、大規模に導入(デプロイ)されるか
- どのような分野・現場で実際に活用(アプリケーション)されるか
- その結果として、どれだけ収益や付加価値(ダウンストリームのマネタイズ)を生み出せるか
つまり「最先端の技術を持っているかどうか」よりも、「社会やビジネスの中でどれだけ広く深く使われているか」が、AIとグリーン電力の競争力を左右するという視点です。
中国の強み:グリーンエネルギーの大量導入
このロジックに立つと、中国が有利な点が見えてきます。ミルヴィルタ氏は、中国がグリーンエネルギーの導入・展開で優位に立っていることが、AI競争における強みになっていると指摘します。
グリーン電力を大量に供給できるということは、AIサービスの基盤となる計算資源を、安定的かつ持続可能な形で確保しやすいということでもあります。技術開発のスピードに加え、「どれだけグリーンな電力を背景にAIを動かせるか」が競争の新しい軸になりつつあると言えます。
鍵となるのは「再生可能電力で動くデータセンター」
ミルヴィルタ氏が強調したポイントの一つが、データセンターを再生可能な電力で動かす戦略です。AIの学習やサービス提供を支える大規模なデータセンターは、多くの電力を必要とするとされています。
その電力をグリーンエネルギーで賄うことができれば、次のようなメリットが生まれます。
- AIサービスの拡大に伴う電力需要の増加と排出削減を同時に達成しやすくなる
- 電力コストとカーボン・フットプリント(温室効果ガス排出量)の両面で国際競争力を高めやすくなる
- 投資家や利用者からの「環境への配慮」に関する期待にも応えやすくなる
こうした観点から、再生可能電力で動くデータセンターをどれだけ整備できるかは、AI時代の産業戦略そのものと直結していると言えます。
ビジネスと政策への含意:AI戦略は「電力戦略」でもある
ミルヴィルタ氏の議論は、AIを巡る競争を「技術開発」だけの問題として捉えてきた見方に、静かな修正を迫るものです。AIとグリーン電力の結びつきを前提にすると、次のような示唆が見えてきます。
企業にとって
- AIサービスを展開する場所やデータセンターの立地は、グリーン電力へのアクセスを軸に考える必要がある
- 自社のAI戦略と、再生可能エネルギーの調達戦略を一体で設計することが求められる
- 「環境負荷の小さいAI」は、ブランドや投資家との関係でも競争力になり得る
政策立案者にとって
- AI産業の育成は、通信インフラだけでなく、グリーンな電力インフラ整備ともセットで考える必要がある
- データセンターと再生可能電力を結びつける制度や市場設計が、地域経済の新たな成長要因になり得る
「AI×グリーン電力」をどう見るか
2025年の今、AI競争はしばしば半導体やアルゴリズムの話題に集中しがちです。しかしミルヴィルタ氏の指摘は、「AIを動かす電力をどう確保するか」という視点を持つことの重要性を教えてくれます。
中国がグリーンエネルギーの導入で優位に立っているとされる背景には、AIを支える電力基盤をいち早く整えようとする戦略的な動きがあるとも読めます。今後、各国・各地域のAI戦略を考えるうえでも、「グリーン電力をどれだけ活用できるか」が、静かにしかし確実に重みを増していきそうです。
AIとエネルギー政策を別々に見るのではなく、「一体の競争領域」として捉え直すこと。それが、これからの国際ニュースを読み解くうえでの新しい視点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








