中国が高圧水素パイプラインで初の大規模安全試験 video poster
中国で初の高圧水素パイプライン大規模試験
中国が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uygur Autonomous Region)で、高圧の純水素パイプラインを使った初の大規模な漏えい・ジェット火災試験を完了しました。水素エネルギーの本格的な長距離輸送に向け、安全基準づくりを一歩進めた形です。
1カ月にわたり33パターンの漏えいを再現
今回の試験は約1カ月にわたり行われ、実際の運用に近いフルスケールの配管を使って、さまざまな事故シナリオが再現されました。
- 高圧の純水素を流したパイプラインを使用
- 配管からの漏えいと、それに続くジェット火災(噴出火災)を検証
- 33通りの異なる漏えい条件・場所を設定
これにより、火炎の立ち上がり方や広がり方、周囲にどれだけ熱が伝わるかといったデータが詳細に集められたとされています。
火炎特性と熱放射データが意味するもの
水素は燃焼しても二酸化炭素を出さない一方で、空気中に広がりやすく、目に見えにくい火炎になることもあるため、安全設計が非常に重要です。
今回集められた火炎特性や熱放射のデータは、次のような場面で活用されることが想定されます。
- パイプラインの設計や材質、肉厚を決める際の基礎データ
- 異常時にバルブをどのタイミングで閉めるかなど、運用手順の策定
- 周辺の建物や作業員が安全を確保できる距離の設定
こうしたデータが蓄積されることで、水素インフラのリスクを事前に計算し、事故を未然に防ぐためのルールづくりが進みます。
火炎放射ドローンと遠隔高電圧点火の新しい連携
今回の試験で注目されたのが、火炎を放射できるドローンと、遠隔操作の高電圧電子点火システムを組み合わせた点です。このような形で両者を連携させるのは、この種の試験としては初めてとされています。
人が近づくことが危険な状況でも、ドローンと遠隔点火を活用すれば、離れた場所から安全に火源を制御し、さまざまな条件での燃焼挙動を再現できます。これにより、より現実に近いデータを、研究者や技術者が安全に取得できるようになります。
大規模水素輸送とアジアのエネルギー転換への影響
中国は、水素を次世代エネルギーの一つとして位置づけ、製造から輸送、利用までのインフラ整備を進めています。今回のような高圧純水素パイプラインの安全試験は、大量輸送の前提条件となる取り組みです。
試験結果は、中国国内の安全基準づくりだけでなく、将来的に国際的な標準づくりにも影響を与える可能性があります。水素エネルギーの活用を模索するアジア各国や日本にとっても、参考となるデータや知見が含まれていると見られます。
水素はクリーンエネルギーとして期待される一方で、安全性への不安がしばしば語られます。こうした大規模試験とデータ公開が進むことで、リスクを具体的に理解し、技術とルールの両面から、安心して使える水素インフラをどう実現するかが、あらためて問われています。
Reference(s):
China conducts its 1st full-scale high-pressure hydrogen pipeline test
cgtn.com








