香港で230棟の民間ビル外壁足場ネット撤去 今週中に新たな安全管理へ video poster
香港特別行政区(HKSAR)政府は、建築署(Buildings Department、BD)の指示に基づき、民間のビル230棟で外壁の足場ネットがすべて撤去されたと発表しました。さらに今週中にも、建設現場で使用される足場ネットに対し、設置前の「現場サンプリング」と「基準適合の認証」を義務づける新たな仕組みを導入する方針です。都市の安全と建設現場のルールづくりが、静かに一歩進んだ形です。
230棟すべてで外壁ネット撤去完了
香港特別行政区政府の発表によると、建築署(BD)が外壁足場ネットの撤去命令を出したことを受け、12月9日時点で民間のビル230棟すべてで、外壁に取り付けられていた足場ネットが取り外されたとされています。
今回対象となったのは、民間所有のビルの外壁に設置されていた足場ネットです。ビルの工事や点検の際、足場と一体で取り付けられることが多いこのネットが、一斉に撤去されたことになります。
新ルールの骨子:設置前に「現場サンプリングと認証」
同じ発表の中で建築署は、建設現場で使われる足場ネットについて、新しい運用を今週中にも導入するよう努めているとしています。そのポイントは、ネットを張る前の段階で、安全基準を満たしているかどうかを確認する仕組みを整えることです。
- 建設現場で使用する足場ネットを、設置前に現場でサンプリング(抜き取り)する
- サンプリングしたネットが、関連する安全・品質基準に適合しているかどうかを確認する
- 基準への適合が認証される前には、ネットを設置できない仕組みにする
つまり、「設置したあとに問題がないか確認する」のではなく、「設置する前に基準を満たしているかをチェックする」方向への転換を目指していると言えます。足場ネットを扱う業者や施工現場にとっては、事前の検査と証明が新たなプロセスとして加わることになります。
足場ネットとは何か、なぜ安全管理が重要か
足場ネットは、工事中の建物の外側を覆うように張られる網状の資材です。一般的に、次のような役割を担っています。
- 工事中に発生する落下物が周囲に飛び散るのを防ぐ
- 建材や工具が地上に落ちるリスクを減らし、歩行者や周辺の住民を守る
- 工事に伴う粉じんが外部に広がるのを抑える
- 工事現場と周囲の生活空間を目に見えるかたちで区切る
その一方で、ネット自体の強度が不足していたり、固定方法が不適切だったりすると、強風などで破損したり、ネットが外れて周囲に危険を及ぼしたりするおそれもあります。このため、多くの都市や地域で、足場ネットには一定の安全基準と品質管理が求められています。
予防重視の安全管理へ向かう動き
今回、香港特別行政区の建築署が示した「設置前のサンプリングと基準適合の認証」は、予防を重視した管理強化の一環とみることができます。問題が起きたあとに原因を調べるのではなく、そもそも不適切な資材が現場に持ち込まれないようにする発想です。
基準に適合した足場ネットだけが現場で使われるようになれば、工事現場の作業員にとってだけでなく、周辺を行き交う歩行者や近隣の住民にとっても、リスクを抑えることにつながります。また、施工会社や資材供給業者にとっても、品質を確保することが一層重要になります。
短期的には、現場での手続きや時間的な負担が増える可能性もありますが、長期的にはトラブルの防止や信頼性の向上につながるという見方もできそうです。
今後の焦点:基準の中身と運用の行方
今回伝えられている情報からは、次のような点が今後の注目ポイントになりそうです。
- 足場ネットに適用される「関連基準」がどのような内容になるのか
- サンプリングや認証にかかる期間や費用をどの程度に抑えられるのか
- 新しい仕組みが、現在進行中の工事にもどのような形で適用されるのか
- 足場ネット以外の建設資材にも、同様の事前チェックの仕組みが広がるのか
高層ビルが立ち並ぶ都市では、建設現場は日常の風景の一部になっています。その外側を覆うネットの安全性をどう確保するかは、多くの人の暮らしに静かに関わるテーマです。香港特別行政区で進む今回の取り組みは、工事現場の安全をどこまで予防的に管理できるのかという問いを、改めて投げかけていると言えます。
Reference(s):
HKSAR removes external scaffolding nets from 230 private buildings
cgtn.com








