リゾートから貿易ハブへ 海南が挑む「封鎖して開く」戦略 video poster
2025年現在、南国リゾートとして知られてきた中国の海南島が、世界の貿易とイノベーションの新たなハブを目指して大きく舵を切っています。近く開始が見込まれる特別な税関運営を軸に、「封鎖して開く」という野心的な試みが進んでいます。
砂浜とヤシの木のイメージが強い場所が、なぜ香港やシンガポール、ドバイと並ぶ貿易・金融拠点を目指すのか。その背景には、観光だけに頼らない持続的な成長への模索があります。
リゾートから「実験室」へ:二つの顔を持つ海南
海南はこれまで、国内外から観光客が集まるリゾートとして注目されてきました。一方で、政策やビジネスの新しい仕組みを試す「実験室」としての役割も与えられつつあります。
国際メディアでは、CGTNのアンカーである李ドンニン氏が、リゾートと政策実験の両面を紹介する番組を伝えるなど、「これまでとは違う海南」の姿が描かれています。ビーチリゾートでありながら、技術や制度を試す実験場でもあるという二重の性格が、島の存在感を変えつつあります。
「封鎖して開く」特別税関運営とは
今回の転換を象徴するキーワードが「Sealing off to open up」、直訳すれば「封鎖して開く」です。近く始まるとされる特別な税関運営は、島全体を一つの大きな制度の枠で囲み、その内側ではより自由度の高い取引や実験を可能にしようという発想だと考えられます。
構想として想像されるのは、次のような仕組みです。
- 貨物や人の出入りを税関で一括管理しつつ、島内の移動や取引はスムーズにする
- 通関手続きのデジタル化を進め、物流とデータの流れを一体的に把握する
- 観光客とビジネス客の双方が利用しやすいインフラやサービスを整える
外周をきちんと管理しながら、内側の自由度を高める。この組み合わせによって、安全と開放を両立させようとするのが、「封鎖して開く」というコンセプトだと言えます。
香港・シンガポール・ドバイと肩を並べるには
海南が目指しているのは、アジアや中東の主要な貿易ハブと並ぶ存在感です。香港やシンガポール、ドバイに共通するのは、次のような特徴です。
- 世界各地と結ばれた物流・航空ネットワーク
- 安定したルールのもとでビジネスを行えるという信頼感
- 金融やサービス産業など、高付加価値産業の集積
これに対し、海南は「海と自然」という強い観光ブランドを持ちながら、制度やインフラをこれから本格的に積み上げていく段階にあります。リゾートとしての魅力を維持しつつ、貿易や金融、デジタル産業などのプレイヤーをどこまで引きつけられるかが問われています。
誰にどんなチャンスが生まれるのか
海南の変貌は、さまざまな人や組織に新しい選択肢をもたらす可能性があります。
- 島の住民にとっては、観光以外の産業で働く機会が増える
- 中国各地や世界各国の企業にとっては、新しいビジネスモデルを試す拠点になり得る
- 研究機関やスタートアップにとっては、政策と技術の実証フィールドとして活用できる
もちろん、新しい制度を定着させるには、ルールづくりや人材育成、環境との両立など、多くの調整が必要になります。それでも、「観光だけではない海南」という選択肢が生まれること自体が、大きな変化と言えます。
「海南らしさ」を保ちながら開く未来
ポストカードに写る白い砂浜と、貿易ハブとしてのコンテナ港やビジネス街。その二つのイメージが、これからの海南では同じ一枚の風景に収まっていくかもしれません。
特別な税関運営が本格的に動き出すとき、海南はどのような姿になっているのか。南国の「楽園」であり続けながら、世界とつながる「実験室」としてどこまで飛躍できるのか。変わりつつあるこの島の行方は、アジアの経済地図を静かに塗り替える一つのヒントになりそうです。
Reference(s):
Sealing off to open up: Hainan's race to be a top-tier trade hub
cgtn.com








