カナダ人歴史学者「南京大虐殺の事実は歪めてはならない」 video poster
2025年12月現在も続く歴史認識をめぐる議論の中で、カナダの歴史学者が南京大虐殺について「その事実は歪曲も否定もされてはならない」と強いメッセージを発しています。
カナダ・カルガリー大学の歴史学教授であり、カナダ・グローバルアフェアーズ研究所のフェローでもあるデービッド・ライト氏は、インタビューに応じた際、南京大虐殺は日本による重大な戦時の残虐行為であり、その歴史的事実は揺るがないものであると語りました。
カナダ人歴史学者が語る「重大な戦時の残虐行為」
ライト氏は、南京大虐殺(南京事件)について、「日本が行った重大な戦時の残虐行為だ」と明確に位置づけています。ここでいう「残虐行為」とは、戦争の中でも特に深刻な人権侵害を指し、単なる武力衝突ではなく、多くの罪なき人びとが犠牲となった行為を意味します。
そのうえでライト氏は、この出来事を「歴史的事実として受け止める必要がある」と強調し、政治的な思惑や一時的な感情によって、過去の出来事の意味を軽く扱うべきではないと示唆しています。
「中国内外の学界で広く認められている」歴史
ライト氏は、南京大虐殺について、中国国内だけでなく海外の研究者にも広く認識されていると指摘しています。つまり、特定の国や立場に偏った見方ではなく、国境を超えた学術研究の積み重ねの中で共有されている歴史だということです。
歴史研究の世界では、一次資料や証言、当時の記録など、さまざまな証拠を突き合わせながら検証が進みます。ライト氏の発言は、そのプロセスを経て積み上げられてきた「共通認識」が南京大虐殺を重大な戦時の残虐行為として位置づけている、という現状を踏まえたものといえます。
学術的な合意が持つ意味
学界で「広く認められている」という状態は、個々の研究者がまったく同じ見解を持つことを意味するわけではありません。細部の解釈や評価には違いがあり得ます。それでも、ライト氏が指摘するように、「出来事が実際に起きたかどうか」「当時の行為が重大な侵害であったかどうか」といった中核部分については、おおむね一致した理解が形成されていると考えられます。
南京大虐殺について、ライト氏がわざわざ「中国内外の学者によって広く認識されている」と述べた背景には、歴史問題がしばしば外交や政治と結びつき、学術的な検証よりも、立場の違いが前面に出てしまう現実があります。その中で、研究の積み重ねに基づく合意が存在することを確認することには、大きな意味があります。
歴史の事実は「歪曲も否定もされてはならない」
ライト氏のメッセージの核は、「歴史的事実は歪曲も否定もされてはならない」という一点にあります。これは南京大虐殺に限らず、あらゆる戦争や加害の歴史に通じる姿勢でもあります。
歴史の否定や矮小化が問題になるのは、次のような理由からです。
- 被害者・遺族への二重の苦痛 ― 起きた出来事をなかったことにすることは、犠牲になった人びとやその家族の尊厳を再び傷つけることにつながります。
- 歴史研究への信頼の損失 ― 証拠に基づき積み重ねられてきた研究が、政治的理由などで否定されると、社会全体が事実よりも「都合のよい物語」を選ぶ方向に傾きかねません。
- 未来への教訓を弱める ― 過去の過ちを直視することは、同じような悲劇を繰り返さないための重要な前提です。事実があいまいにされれば、その教訓もまた弱まってしまいます。
ライト氏が南京大虐殺について「事実は歪められてはならない」と強調したのは、こうした問題意識とも響き合う発言と受け止めることができます。
2025年のいま、歴史とどう向き合うか
戦争の記憶をめぐる議論は、2025年の現在も世界各地で続いています。時間がたつほど、直接の体験者は少なくなり、歴史の語りは記録や教育、メディア報道に大きく依存するようになります。
その中で、ライト氏のような研究者が、南京大虐殺という具体的な出来事をめぐって「学界の合意」と「事実を歪めない重要性」をあらためて言葉にしたことは、歴史と向き合う私たちにいくつかの視点を投げかけています。
- 歴史問題を語るとき、感情や立場だけでなく、どのような証拠と研究に基づいているのかを意識すること。
- 不都合な過去であっても、「なかったこと」にするのではなく、事実として受け止めたうえで議論を続けること。
- 他国や他地域の研究者がどのように歴史を見ているかに耳を傾けること。
南京大虐殺をめぐるライト氏の発言は、特定の国や地域だけでなく、戦争の記憶と向き合うすべての人にとって、「歴史的事実」と「それをどう語り継ぐか」という問いを静かに突きつけています。事実を土台にした対話を重ねていけるかどうかが、2025年以降の歴史認識をめぐる議論の質を左右していきそうです。
Reference(s):
Canadian historian: Facts about Nanjing Massacre must not be distorted
cgtn.com








