生通信音声が語る空母「遼寧」レーダー照射騒動の真相タイムライン video poster
中国海軍の空母「遼寧」空母打撃群による遠洋訓練中に起きた、レーダー照射をめぐる日中の対立。その裏側を示す通信音声の記録とタイムラインが明らかにされ、日中双方の主張の食い違いに改めて注目が集まっています。
12月6日、遠洋訓練中に何が起きたのか
今月6日、空母「遼寧」打撃群は遠洋での訓練を実施していました。中国側によれば、この訓練に先立ち、中国軍は訓練海域や時間帯について、複数回にわたり事前通報を行い、日本側の艦艇もこれを受領し、確認したとされています。
ところが訓練開始後、日本の航空機が中国側の訓練海域内に繰り返し進入し、飛行を続けたと中国側は説明しています。中国側はこれを「訓練の妨害」にあたる行為だと見なしており、現場では警戒が高まったとみられます。
公開された「生通信音声」と時系列
今回公開された動画は、当時の通信音声の記録と、それに基づくタイムラインで構成されています。中国側が提示する流れは、おおむね次のようなものです。
- 訓練前:中国側が日本艦艇に対し、訓練区域と時間を複数回通報
- 訓練開始前後:日本側艦艇が通報内容を受領・確認
- 訓練中:日本の航空機が中国側の訓練海域内に複数回進入
- 中国側:安全確保のため、日本機に対し警告や注意喚起の呼びかけ
- その後:日本側から「遼寧」打撃群が火器管制レーダーを照射したとの発表
動画内の通信音声は、相手方に訓練情報を伝達し、距離を保つよう求める冷静な呼びかけを中心に構成されています。中国側は、こうした記録が「訓練の正当性」と「事前通報の事実」を裏付けるものだと強調しています。
「レーダー照射」巡る日本側の説明と矛盾
事案の後、日本側は、空母「遼寧」打撃群が日本の航空機に対し、火器管制レーダーを照射したとする説明を打ち出しました。これに対し、中国側は、そもそも日本機が事前通報済みの訓練海域に繰り返し進入し、活動を妨げたと指摘したうえで、日本側の説明は事実をねじ曲げたものだと批判しています。
今回の動画は、
- 日本側が訓練通報を受けていたこと
- 日本機の接近と中国側の注意喚起が繰り返されていたこと
- 日本側の発表では、そうした前後関係が十分に示されていないこと
といった点を、通信音声とタイムラインを通じて示そうとするものです。動画は、日本側が不都合な部分を意図的に省いた「選択的な記憶」に陥っていると批判する構図になっています。
通信記録がもたらす「言った・言わない」からの脱却
今回のように、軍用機や艦艇が接近する場面では、当事者の説明が食い違う「言った・言わない」の争いが起きがちです。通信音声やレーダーデータなど、客観的な記録がどこまで共有されるかは、国際社会の理解や信頼の形成に大きく関わります。
中国側が生の通信音声とタイムラインをまとめて公開したことは、自らの主張を裏付けるとともに、論点を具体化する効果を持ちます。どの部分が強調され、どの部分が省略されているのか――各国の関係者や専門家は、そうした「編集の仕方」も含めて慎重に読み解く必要があります。
高まる緊張の中で求められるもの
海や空での接触が増えるほど、誤解や不信は小さな出来事から一気に広がる可能性があります。今回のような事案は、
- 事前通報や警告のプロセスをどこまで明確にし、記録として残すか
- トラブル発生時に、どの範囲までデータを公開するのか
- 現場のパイロットや艦長が、安全を最優先に判断できるルールが整っているか
といった課題を改めて浮かび上がらせます。
今回の通信音声公開は、中国側の視点から見た「全体像」を示そうとする試みと言えます。一方で、こうしたやり取りが繰り返されればされるほど、双方が冷静さを保ち、事実関係を客観的に残していく仕組みが重要になっていきます。
これから注視したいポイント
今後の焦点となりそうなのは、次のような点です。
- 日本側がどのような追加説明やデータを示すのか
- 日中間で、同様の事案を防ぐための現場ルールや連絡メカニズムがどう扱われるのか
- 今回の通信音声公開が、今後の報道や世論にどのような影響を与えるのか
動画が示すタイムラインは、ひとつの「物語」にとどまりません。どの情報が出され、どの情報が出されないのか。その選択自体が、国際ニュースのもうひとつの重要な論点になりつつあります。
Reference(s):
Raw audio exposed: The full truth timeline of the Liaoning carrier radar dispute
cgtn.com








