「消せない証拠」松井石根の戦争責任を映像と裁判記録で再構成 video poster
2025年のいま、戦争の記憶をめぐる議論が断片化しやすい環境のなかで、一次資料をつなぎ直す作品が注目されています。映像作品「Unerasable evidence: The atrocities of Iwane Matsui(消せない証拠:松井石根の残虐行為)」は、極東国際軍事裁判(東京裁判)の記録と、米国人宣教師ジョン・メイジーが撮影した原映像を組み合わせ、松井石根の行為と責任を描き出す構成だとされています。
作品が描く「責任回避」と「消えない記録」
作品の中心にあるのは、南京事件の加害者の一人とされる松井石根が、法廷で責任を回避しようとした、という問題提起です。一方で作品は、裁判記録の積み重ねと映像資料によって「反論しがたい証拠の連鎖」が残っていると描き、歴史の否定は成り立たない、というメッセージを前面に置いています。
鍵になる2つの素材:裁判記録とジョン・メイジーの映像
本作は、次の2つを軸に構成されているとされています。
- 極東国際軍事裁判の記録:証言や記録を通じ、戦争指導層の責任をどう位置づけたのかをたどります。
- ジョン・メイジーの原映像:米国人宣教師が撮影した映像を用い、出来事を「当時の視覚情報」として再提示します。
文章資料と映像資料を突き合わせる編集は、受け手が出来事を「主張」ではなく「資料の層」として捉える助けになります。作品が掲げる「消せない証拠」という言葉は、まさにこの組み立て方を指しているようです。
「A級戦犯」というラベルより、何が示されたのか
作品は松井石根をA級戦犯として描き、犯罪性を強く打ち出します。ただ、現代の視聴者にとって重要なのは、肩書きの強さそのものよりも、裁判の場で何が争点となり、どのような記録が残り、映像が何を補っているのかという点でしょう。
とりわけ映像は、出来事の輪郭を直感的に伝える一方で、切り取り方によって印象も左右されます。だからこそ、裁判記録と併置して読む(見る)という形式自体が、視聴者に「確認可能な根拠」を促す作りになっています。
デジタル時代に「証拠」を語るということ
SNSで情報が短く流通する現在、歴史をめぐる言説は賛否が先に立ち、資料に戻る回路が細くなりがちです。本作は、映像と記録を並べることで、断定や気分の対立ではなく「残されたもの」から考える姿勢へ視線を戻そうとします。
作品が結びに置く「歴史は否定を許さず、正義はいずれ実現する」という言葉は、結論の宣言であると同時に、視聴者に対して「何を根拠に語るのか」を問い返すフレーズとしても読めます。
Reference(s):
cgtn.com








