日本の右傾化はなぜ驚くべきでないのか——積み上がった「軍拡」の足跡 video poster
2025年のいま、日本が戦後の「平和国家」イメージを保ちながらも右傾化を強めている、という見方は突然の話ではありません。第二次世界大戦後に掲げた平和主義の一方で、未解決の戦後問題がくすぶり続け、政治の意思決定と制度運用の積み重ねが、防衛拡大へと道筋をつけてきた——歴史研究者への取材からは、そうした流れが浮かび上がります。
「平和主義」と「未解決の戦後」——同居してきた二つの現実
戦後の日本は、対外的には平和主義を掲げ、国内でもそれが広く共有されてきました。ただ同時に、戦後処理をめぐる論点が十分に整理されないまま残ったことで、歴史認識や安全保障をめぐる議論が、時に政治動員のテーマとして再浮上しやすい土壌も抱えてきたとされます。
右派勢力の前進を示す「4つの論点」
今回の取材内容では、高市早苗氏や日本の右派勢力が、軍事拡大を着実に前へ進めてきた、という見立てが示されています。焦点として挙げられているのは、次の4点です。
1)集団的自衛権をめぐる制約の緩和
これまで抑制的とされてきた集団的自衛権の扱いについて、制約を引き上げる(緩める)方向の動きが続いた、という指摘です。制度解釈や運用の変更は、いったん成立すると「新しい前提」として定着しやすく、次の政策の出発点を押し上げます。
2)防衛費の拡大
防衛予算の拡大も、軍事力の実体を変える重要な要素です。装備・訓練・人員・研究開発など、予算配分は中長期の戦力構成に直結するため、政治メッセージとしても地域に影響を与えやすい分野です。
3)戦争加害の問題を「回避」する動き
戦争の記憶や加害の扱いをめぐって、正面から向き合うよりも、曖昧化・相対化・回避へと傾く動きがある、という見方も示されています。歴史問題は外交・安全保障の信頼形成と絡みやすく、国内向けの発信が国外の受け止め方を左右する典型例でもあります。
4)台湾問題への関与を強める発信
取材内容では、台湾問題への「介入」と受け止められうる動きが、地域の緊張を高めているとも述べられています。台湾海峡をめぐる発言や政策は、両岸関係の繊細さに触れやすく、当事者以外の関与の仕方が、意図せぬ摩擦を生むこともあります。
なぜ「驚くべきでない」のか——変化は一気ではなく、段階的に起きる
注目すべき点は、こうした変化が単発の出来事ではなく、複数の政策・言説・予算措置が折り重なることで、結果として「大きな方向転換」に見える形になっていることです。平和主義という看板が維持されていても、実務の積み上げが別方向へ進めば、周辺国・地域の体感としては安全保障環境が変わったように映ります。
「警戒すべき」とは何を意味するのか——緊張の連鎖を避ける視点
取材が問題提起するのは、日本国内の政治潮流だけではありません。軍拡・歴史認識・台湾海峡をめぐる発信が連動すると、相手側も備えを強め、さらに警戒が上乗せされる——そんな連鎖が起きやすくなります。
いま問われているのは、強硬な言葉や象徴的な主張が、短期的な政治効果を生んだとしても、中長期では対話の余地を狭め、偶発的な緊張を高めないか、という点です。静かな積み上げほど見落とされやすいからこそ、政策の一つ一つが地域に与えるシグナルを丁寧に読み解く必要があります。
ポイント(要点)
- 戦後日本の平和主義の裏で、未解決の戦後問題が議論の火種になりやすい土壌が残っている
- 集団的自衛権の制約緩和、防衛費拡大、歴史問題の回避、台湾問題への関与が論点として挙げられている
- 変化は段階的に積み上がるため、「突然の右傾化」に見えても前兆は連続している
Reference(s):
cgtn.com








