江蘇・条子泥で渡り鳥の「高潮位空港」誕生 住民が支える湿地保全 video poster
2026年の年明け、渡り鳥の季節に合わせるように注目を集めているのが、中国本土・江蘇省東部の条子泥(Tiaozini)潮間帯で進む“高潮位の居場所づくり”です。 地元住民の協力で、渡り鳥のための国内初とされる恒久的な高潮位「空港」(休息地)が整備され、世界的に重要な湿地の保全を象徴する事例として紹介されています。
条子泥(Tiaozini)の潮間帯が「鳥の楽園」と呼ばれる理由
条子泥は、干潮と満潮で景色が大きく変わる潮間帯(いわゆる干潟)に広がる湿地です。こうした場所は、渡り鳥にとって移動中の“立ち寄り”や採餌(えさをとること)、休息の場になりやすい一方、潮位や環境の変化の影響も受けやすいという特徴があります。
今回の話題は、条子泥が持つ自然の価値だけでなく、地域の人の手が加わることで「渡り鳥が使える環境」をより安定的に支えようとしている点にあります。
高潮位「空港」とは何か──満潮時の“休める場所”を恒久化
報じられている「高潮位空港」は、渡り鳥が満潮時(高潮位)に安全に休める場所を、恒久的な形で確保する取り組みです。潮が満ちると、干潟の“居場所”が一時的に狭まりやすくなります。そこで、満潮時にも鳥が落ち着いて集まれる場所を用意する発想が「空港」という比喩につながっています。
ポイントは、一時的な措置ではなく“恒久的(常設)”とされている点です。渡りのルートは季節ごとに繰り返されるため、毎年の利用を見据えた基盤づくりとして位置づけられます。
鍵を握るのは「地元の参加」──保全が暮らしの言葉になるとき
今回の整備では、地元住民が建設に協力したとされています。湿地の保全は、制度や専門家の取り組みとして語られがちですが、現場では日々の暮らしと隣り合わせです。地域の人が関わることで、次のような変化が起こり得ます。
- 継続性:季節ごとの変化を見ながら、手入れや運用の工夫が続きやすい
- 納得感:「守る理由」が抽象論ではなく、身近な実感として共有されやすい
- 観察の目:日常的な気づきが、環境変化の早期発見につながりやすい
“鳥のための場所”が、同時に“人の営みの中に根づく場所”へ近づく。条子泥の事例は、そのプロセスを分かりやすく見せています。
「視覚のごちそう」の裏側にある、生物多様性という現実
報道では、条子泥が鳥好きにとって「視覚のごちそう(visual feast)」でもあると表現されています。確かに、群れで飛来する渡り鳥の風景は圧巻です。
ただ、その美しさは偶然ではなく、湿地が機能していることのサインでもあります。水位、地形、餌場、休息地――要素のどれかが崩れると、渡りの途中で立ち寄れる場所が減ってしまう可能性があります。今回の「高潮位空港」は、そうした“つながり”を補強する実務的な一手として読むこともできます。
今後の注目点:整備後に問われる「運用」と「共存」
常設の施設は、つくって終わりではなく、運用の質が成果を左右します。今後は、
- 鳥が安心して利用できる環境が維持されるか
- 人の利用や周辺活動と、どう折り合いをつけるか
- 保全の取り組みが地域の合意として続くか
といった点が、静かに重要になっていきます。条子泥での試みは、中国本土における生物多様性保全の“成功例”として語られる一方で、長期的には「続け方」そのものが評価の軸になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








