中国本土東部で「徐圩原発」着工、15次五カ年計画の初の原子力案件 video poster
中国本土東部で「徐圩(Xuwei)原子力発電所」の建設が正式に始まりました。第15次五カ年計画における“最初の原子力プロジェクト”とされ、発電だけでなく周辺の化学産業向けに産業用蒸気も供給する点が注目されています。
何が起きた?──「15次五カ年計画」最初の原子力プロジェクト
今回着工した徐圩原子力発電所は、中国本土の第15次五カ年計画の枠組みで進む原子力プロジェクトの第一弾と位置づけられています。発電所建設というインフラ投資であると同時に、エネルギー供給の形(電力+蒸気)を産業側の需要に寄せる設計が特徴です。
原子炉は2本立て:華龍一号(PWR)+高温ガス冷却炉
計画では、加圧水型原子炉(PWR)の「華龍一号(Hualong One)」と、「高温ガス冷却炉」を統合するとされています。
- 華龍一号(PWR):水で冷却・減速する加圧水型の原子炉。
- 高温ガス冷却炉:高温の熱を取り出しやすい方式として知られ、電力だけでなく熱の利用にも適性があるとされます。
異なるタイプを組み合わせることで、電気を作るだけでなく「熱そのもの」を地域産業に届ける発想が前面に出ています。
「電気」だけでなく「蒸気」を出す意味──化学産業の現場に直結
徐圩原子力発電所は、地域の化学産業向けに産業用蒸気を供給する計画です。化学プラントなどでは、電力と同じくらい“蒸気=熱源”が重要な工程があり、ここを石炭中心のボイラーから置き換える狙いが見えます。
エネルギー転換の議論は電力(発電構成)に目が向きがちですが、実際の産業は熱需要が大きく、電化だけでは置き換えにくい領域も残ります。蒸気供給は、そのギャップに切り込むアプローチだと言えます。
稼働後のインパクト:石炭726万トン削減、CO2 1960万トン削減見込み
公表情報によると、運転開始後には次の効果が見込まれています。
- 石炭消費を年間726万トン削減
- CO2排出を年間1960万トン削減
数字は「稼働後」の見通しですが、電力と産業熱の両面で石炭依存を下げる設計が、削減量の大きさにつながっている構図です。
今後の焦点:産業向け原子力の広がりと、運用の信頼性
原子力は、発電の安定性やCO2削減の文脈で語られる一方、実際の社会実装では、設備の運用・保守、供給の継続性、周辺産業との需給調整など“地味だが重要”な論点が積み上がっていきます。今回のように産業用蒸気まで担う場合、電力需給とは異なるリズムの需要にどう応えるのかも、実務上の注目点になりそうです。
2026年1月時点で、脱炭素と産業競争力の両立が各地の課題になるなか、徐圩原子力発電所の動きは「原子力=発電」から一歩進んだ設計思想として、静かに議論を促しそうです。
Reference(s):
Construction of new nuclear power plant starts in east China
cgtn.com








