甘粛で華北ヒョウの生息域が北へ15km拡大、AI監視が後押し video poster
中国本土・甘粛省の子午嶺(しごれい)自然保護区で、赤外線カメラによる監視データから「華北ヒョウ(North China leopard)」の生息域が広がっていることが確認されました。2023年のデータと比べ、北方向に15キロ以上拡大したとされ、地域の生態系が改善している兆しとして注目されています。
確認されたポイント:2023年比で“北へ”生息域が拡大
今回の確認は、保護区内に設置された赤外線カメラの継続的な記録に基づくものです。華北ヒョウは中国で「国家一級重点保護野生動物」に位置づけられる希少種で、食物連鎖の上位に立つ捕食者でもあります。
そのような動物が行動範囲を広げる動きは、餌となる動物の回復や、隠れ場所・移動経路の確保など、周辺環境が総合的に整ってきた可能性を示します。
何が効いたのか:復元・回廊・スマート監視の組み合わせ
発表内容によると、進展を支えた要素は大きく3つです。
- 生息地の復元:森林や植生の回復など、野生動物が暮らしやすい環境づくり
- 生態回廊(エコロジカル・コリドー):分断されがちな生息地を“つなぐ”移動ルートの整備
- スマート監視:赤外線カメラとAIを使った個体識別・動向把握
特に「回廊」の考え方は、動物が安全に移動できる道筋を確保することで、繁殖や採餌の選択肢を増やし、生息域の拡大につながりやすいとされます。
260台超の赤外線カメラとAIで、個体を“見分ける”
子午嶺自然保護区では、260台以上の赤外線カメラを運用し、AIベースのヒョウ識別も組み合わせているといいます。ヒョウは体の模様(斑紋)に個体差があるため、画像解析によって「同じ個体かどうか」を追跡しやすい動物でもあります。
こうした手法により、
- どの個体が、いつ、どこを通ったか
- 個体数の増減の傾向
- 行動圏がどの方向へ広がっているか
といった情報が蓄積され、保護対策の精度を上げやすくなります。現場の巡回だけに頼らない点も、広い保護区での管理に向いたアプローチです。
“トップ捕食者”の復帰が示すもの
トップ捕食者の存在は、ときに人間社会との距離感も含めて慎重な運用が求められます。一方で、捕食者が定着できるということは、餌動物の分布、植生の状態、人為的攪乱(かくらん)の度合いなど、複数の条件が噛み合っている可能性があります。
今回の「2023年比で北へ15キロ以上」という変化は、保護区と周辺環境の“つながり”が少しずつ機能し始めたサインとも読めます。テクノロジーを使った監視と、生息地そのものの手当てを同時に進めるやり方が、どこまで安定的な回復につながるのか。2026年も、継続的なデータの積み上げが注目点になりそうです。
Reference(s):
Smart conservation expands North China leopard habitat in Gansu
cgtn.com








