ダボスで中国副首相「弱肉強食に戻れない」—WTOルールと「米国第一」の緊張 video poster
スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)で、中国本土の何立峰(ホー・リーフォン)副首相が「世界は弱肉強食(law of the jungle)に戻ってはならない」と述べ、貿易ルールや各国の利害が揺れる局面で注目を集めています。
何立峰副首相は何を訴えたのか
何氏は演説で、「一部の国が自己利益にもとづいて特権を持つべきではない」としたうえで、「強い者が弱い者を食い物にするような弱肉強食の世界に戻ることはできない」と述べました。
同時に、「すべての国には、自国の正当な利益を守る権利がある」とも語り、各国の利害を否定しない姿勢も強調しています。
背景にあるのは、関税や通商協定をめぐる応酬
この発言が出たタイミングは、米国のドナルド・トランプ大統領が、より強硬な「米国第一」路線を推し進め、デンマークにグリーンランドの譲渡を求めている中でもあります。
何氏は、特定の国名を挙げない形で「一部の国」の一方的な行動や貿易協定を批判し、それらが世界貿易機関(WTO)のルールに反すると主張しました。
今回の発言が示す論点:「ルール」vs「正当な利益」
何氏のメッセージは、大きく分けると次の2点に整理できます。
- 国際社会は弱肉強食ではなく、ルールに基づくべきだ(特権や力の優位を戒める)
- 各国は正当な利益を守る権利がある(利益防衛そのものは認める)
ここには、国際ルールの維持を掲げつつも、各国が国内事情や安全保障、産業政策を理由に「例外」を求めやすい現実がにじみます。ルールを守るべきだという言葉が強いほど、「どこまでが正当で、どこからが一方的なのか」という線引きが難しくなるからです。
ダボスで語られた「弱肉強食」は、何を照らすのか
ダボスは、政治・経済の有力者が同じ場でメッセージを発し合うことで、各国の立場の違いが可視化されやすい場所でもあります。今回の演説は、通商をめぐる摩擦が「関税」だけでなく、同盟や領土、資源といったより広い争点に波及し得る局面で、対立の言葉をできるだけ「ルール」の語彙に寄せようとする動きとしても読めます。
一方で、WTOルールをどう解釈し、どの行為を「一方的」とみなすのかは、立場によって見え方が変わります。今後は、各国が掲げる「正当な利益」がどの範囲まで許容されるのか、そしてその調整をどんな枠組みで行うのかが焦点になっていきそうです。
※本記事は、2026年1月21日時点で入っている情報にもとづき、発言内容と論点を整理しました。
Reference(s):
Chinese vice premier tells Davos world can't revert to 'law of jungle'
cgtn.com








