2026年1月下旬、中国本土・浙江省を流れる銭塘江(せんとうこう)で、雪景色の中に「潮汐の木(tidal tree)」と呼ばれる不思議な模様が現れ、注目を集めています。干潮(潮が引く時間帯)の“削る力”がつくる自然の造形が、白い雪と重なって際立ったかたちです。
「潮汐の木」とは何か:毎日の干潮が描く“樹形”
「潮汐の木」は、川岸や干潟の表面が、潮の満ち引きの繰り返しで少しずつ浸食(しんしょく)され、枝分かれした“木のような形”に見える現象です。ポイントは、いきなり大きく削れるのではなく、日々の干潮による流れが積み重なって模様が育つところにあります。
仕組みをざっくり整理すると
- 干潮になると、水が引きながら細い流れをつくる
- その流れが地面を少しずつ削り、筋(みぞ)が増える
- 筋が合流・分岐して、結果として枝のような形に見えてくる
銭塘江が“潮の名所”とされる理由
銭塘江は、世界最大の潮汐波(tidal bore)が見られる川としても知られています。地元では、その迫力から「銀龍(シルバードラゴン)」とも呼ばれる存在です。潮汐波とは、満潮の勢いが川をさかのぼることで、水面が段差のように盛り上がりながら進む現象のこと。潮のエネルギーが大きい場所ほど、川岸の浸食や地形の変化も起きやすく、こうした模様が生まれる土台になります。
なぜ“雪”が重なると、より印象的に見えるのか
今回話題になったのは、「潮汐の木」そのものだけでなく、雪が降って白い面が増えたことで、凹凸や筋が強調され、樹形がくっきり見えた点です。自然がつくる線や分岐は、光や色のコントラストで見え方が変わります。雪はそのコントラストを一気に高め、普段は気づきにくい“地面のデザイン”を浮かび上がらせます。
静かな景色の裏にある「動き」:潮は毎日、地形を更新する
写真や映像では、雪の中に“止まった絵”のように見える「潮汐の木」ですが、つくられている過程はむしろ動的です。潮の満ち引きは毎日繰り返され、流れの強さや水位、地面の硬さなどの条件によって、模様は少しずつ変化します。同じ場所でも、翌日には枝ぶりが変わっているかもしれない——そう考えると、この現象は「一瞬の自然」でもあります。
なお、銭塘江の潮汐波は迫力が大きいことで知られる分、現地では安全確保が重要になります。自然現象を楽しむときほど、無理をせず、周囲の案内や安全な距離を意識したいところです。
Reference(s):
cgtn.com








