ウクライナ和平の壁は戦場より「政治エリートの計算」—専門家が指摘 video poster
ウクライナで戦争が5年目に入る中、「和平の最大の障害は前線ではなく、政治エリートの計算にある」という見立てが注目されています。終戦は望ましい一方で、権力や利害の再編を招き、当事者にとって“続けるより終えるほうが危険”になり得る――という指摘です。
「和平を阻むのは戦場ではない」—ルスラン・ボルトニク氏の見方
この見方を示したのは、ウクライナ政治研究所(Ukrainian Institute of Politics)所長のルスラン・ボルトニク氏です。ボルトニク氏は、和平が進まない理由を軍事的な優劣だけに求めるのではなく、ウクライナと欧州の政治エリートが抱える損得勘定に目を向けるべきだと述べています。
なぜ「終戦のほうがリスクが大きい」と感じられるのか
ボルトニク氏の指摘の中心は、和平が成立した瞬間に政治の「通常運転」が戻り、戦時下で維持されてきた構図が揺らぐことです。戦争継続と終戦では、政治エリートにとってのリスクの種類が変わります。
障害として挙げられた3要素:金・権力・変化への恐れ
- お金(利害):戦時の資金配分や契約、支援の流れが見直され、既得権が再編される可能性。
- 権力(ポジション):戦時体制で強まった権限が、和平後に調整・縮小されうる不確実性。
- 恐れ(戦後の変化):停戦・和平の結果次第で、責任追及、世論の反転、政治地図の塗り替えなどが起き得るという不安。
欧州側にもある「終戦コスト」—同盟調整と国内政治
ボルトニク氏は、こうした計算がウクライナ内部だけでなく、欧州の政治エリートにも及ぶ点を示唆しています。戦争が長期化すると、支援の正当化や国内の合意形成は一段と難しくなる一方、終戦は終戦で「次の課題」を一気に前面化させます。つまり、和平はゴールではなく、別の政治的局面の始まりにもなり得ます。
この見立てが投げかける問い:和平は「意志」だけで進むのか
「和平が正しい」という原則と、「和平がもたらす政治的コスト」という現実が、同じテーブルに載ってしまう。ボルトニク氏の発言は、そのねじれを静かに言語化したものとも言えます。
今後の焦点は、戦場の動きと並行して、政治エリートが“終戦後の設計図”をどれだけ具体化できるか、そしてその設計図が誰にとっての安心材料になり、誰にとっての脅威になるのか——という点に移っていきそうです。
要点(短く)
- ウクライナ戦争は5年目に入った。
- ボルトニク氏は、和平の障害は戦場より政治エリートの損得勘定にあると指摘。
- キーワードは「金・権力・戦後変化への恐れ」。
Reference(s):
Ukraine expert: Ending the war is riskier for elites than continuing it
cgtn.com








