中国吉林省・長白山を走る国道331号線 赤キツネと出会う山の道 video poster
中国東北部・吉林省のChangbai Mountains(長白山)を縫うように走る国道331号線。その道沿いで、赤キツネをはじめとする野生動物と出会う体験が、自然好きの間で静かな注目を集めています。国際ニュースとしても、中国の豊かな自然と、人の暮らしとの付き合い方を考えさせられる話題です。
この山あいの国道は、いくつもの「隠れた生息地」を通り抜けます。そこを熟知しているのが、野生動物写真家のWan Xingfu(ワン・シンフー)さんです。彼の視線を通じて、私たちは国道のすぐそばに広がる、もう一つの世界をのぞき見ることができます。
長白山を走る国道331号線 車窓の外は「野生の回廊」
国道331号線は、Changbai Mountainsの山あいをカーブしながら進み、森や渓谷、湿地などさまざまな環境のそばを通ります。運転席や車窓から見える景色は、単なる道路風景というより、野生動物の暮らす「回廊(コリドー)」をのぞき見るようなものです。
舗装された道路のすぐわきに、動物たちの生活圏が静かに広がっています。日中は木々の影に身を潜めている生き物も、朝晩の薄暗い時間帯には、道路近くに姿を現すことがあります。国道331号線は、移動のためのインフラであると同時に、野生動物との「境界線」にもなっているのです。
赤キツネとの遭遇 国道沿いで出会う「もう一つの住民」
この地域で象徴的な存在の一つが赤キツネです。鮮やかな毛並みと警戒心の強さを持ちながら、ときに道路脇に現れ、人の世界と野生の世界が近づいた一瞬を見せてくれます。
赤キツネは、獲物を探して森の縁を歩いたり、斜面の上から道路の様子をうかがったりします。車の中からその姿を見つけると、ひととき時間が止まったような感覚になる人も多いでしょう。国道331号線を走る旅は、単なる移動ではなく、こうした予期せぬ出会いをふくんだ「野生観察のルート」に近いものになっています。
もちろん、赤キツネだけではありません。森の奥から鳴き声が聞こえたり、遠くの斜面に別の動物の影が見えたりと、「他にも誰かがここで暮らしている」ことを感じさせる瞬間が、道中には何度もあります。
隠れた生息地を知る人 野生動物写真家Wan Xingfuさん
こうした「隠れた生息地」をよく知る案内役が、野生動物写真家のWan Xingfu(ワン・シンフー)さんです。彼はChangbai Mountainsに通い続ける中で、国道331号線沿いのどこで、どの時間帯に、どの動物が現れやすいかを、経験にもとづいて把握してきました。
Wanさんが大切にしているのは、「動物たちの生活を邪魔しない距離感」だといわれています。姿を見たい、写真に収めたいという思いよりも、まずは彼らの安全と静かな生活が優先されます。そのため、観察地点に向かうときも、音や光に気をつけながら、ゆっくりと進むことが基本になります。
国道331号線を走る車から見る風景も、Wanさんのような写真家の視点で眺めると、印象が変わります。何気ないカーブの先や、森と道路の境目が、「ここには生き物が通る道があるかもしれない」と想像できる場所に見えてくるのです。
道路と野生動物が共存するために 私たちができる配慮
自然豊かな地域を走る国道では、車を運転する一人ひとりの行動が、野生動物の安全に直結します。赤キツネなどの野生動物と共存するために、私たちができる基本的な配慮は次のようなものです。
- スピードを控えめにする:急な飛び出しに備え、見通しの悪いカーブや森の近くでは速度を落とすことが大切です。
- 近づきすぎない・餌を与えない:野生動物への接近や給餌は、事故や病気、依存を招くおそれがあります。観察はあくまで距離を保って行います。
- ライトやクラクションに注意:不要なハイビームやクラクションは、動物に大きなストレスを与えます。必要最小限の使用にとどめます。
- ゴミを残さない:食べ物の包装などのゴミは、動物を道路際に引き寄せる原因になりかねません。すべて持ち帰ることが基本です。
これらは、中国の国道331号線に限らず、世界中の自然豊かな道路に共通するマナーです。2020年代のいま、移動の自由と自然環境の保全を両立させることは、多くの地域で共通の課題になっています。
「読みながら旅する」国際ニュースとしての楽しみ方
Changbai Mountainsを走る国道331号線と、赤キツネをはじめとする野生動物との物語は、中国という国を別の角度から見せてくれる国際ニュースでもあります。政治や経済の話題とは少し離れたところにある、自然と暮らしの日常の一コマです。
スマートフォンで記事を読み、気になった場面をSNSで共有する読者にとっても、こうしたニュースは「読みながら旅をする」感覚をもたらしてくれます。「いつか行ってみたい」と地図を開くきっかけになるかもしれませんし、「自分の身近な道路でも、同じように動物が暮らしているかもしれない」と視点を変えるきっかけにもなるでしょう。
国道331号線のカーブの先で、赤キツネがこちらを一瞬だけ振り返る――。そんな場面を想像しながら、遠くの山の道と、そこで静かに続いている命の営みに思いを馳せてみるのも、2025年のいまを生きる私たちにとって、ささやかな贅沢といえるのかもしれません。
Reference(s):
Encountering red foxes and other wildlife along National Highway 331
cgtn.com







